オンプレミスとの同期でデータ運用の課題を解消
クラウド上にあるデータの保全は、これまでクラウドtoクラウドの観点で語られることが一般的だった。異なるプロバイダーのクラウドサービス間でバックアップを行うことは、可用性の観点でも保全性の観点でも有意であることは間違いない。だがそれだけでは、アクセスに関する課題は未解決のままだ。
そこで注目したいのが、クラウドtoオンプレミスのデータバックアップである。その最も手軽な方法が、

そのメリットは大きく二点。一つはオフラインでファイルが参照できるため、ルーターなどがボトルネックとなる通信速度の低下を回避できる点だ。もう一つはサブスクリプション契約終了後のデータ保全をはじめ、確実なデータ保護が行える点である。
オンラインストレージとの同期機能を備えるサーバーストレージやNASの場合、「同期フォルダ」「同期方向」「同期サイクル」「同期スケジュール」「同期先の暗号化」などの設定が管理画面ウィザードで設定できることが一般的だ。それにより、目的に見合ったフォルダ・ファイルの同期が可能になる。

主要オンラインストレージを網羅。
ウィズコロナでは、Microsoft 365やSalesforceなどのSaaSを業務に活用する動きも目立った。今後はSaaSのオンプレミスバックアップについても、一定のニーズが生じることが予想される。この場合はSaaS対応型のバックアップ製品の利用が望ましいだろう。
ビジネスにおけるオンラインストレージ利用には、もう一つ大きな課題がある。それはデータ漏えいの回避という課題だ。その解決には、ログイン認証やアクセス権限を再度見直す必要がある。
セキュリティ対策

オンラインストレージに限らず、同じパスワードを使いまわしたり、推測可能なパスワードを利用するケースが多い。一つのパスワードを知られることは、大規模なデータ漏えいにもつながる。その解決に大きな意味を持つのが2段階認証の利用である。ID・パスワード入力後、指定端末で受信したセキュリティコードを入力する2段階認証は、ユーザーの負担も大きくなるが、漏えい回避の観点では有意な対策といえる。
またエンドツーエンド暗号化(E2EE)ソフトの注目も高まっている。E2EEとは、暗号化の鍵を利用者のみが管理する仕組みのことで、例えば、オンラインストレージのサービス提供者からパスワードが漏えいした場合でも第三者が勝手にデータを復号することを防げる。E2EEソフトはこうしたリスクの軽減に貢献してくれる。
スマホ内線化を実現。IP-PBXとは何か?
緊急事態宣言期間中、代表電話の対応のため、やむなく輪番で出社したという企業も多い。代表電話を巡る問題は、紙帳票の管理やその押印、電子化されていない文書の対応と並び、テレワークの大きな課題であった。
こうした中、再注目されたのが、
VoIPを簡単に説明するなら、
IP-PBXはその名のとおり、VoIPに対応したPBX。実際には、従来のアナログ回線とVoIPにハイブリッド対応することが一般的だ。そのメリットとしてまず挙げられるのが、スマートフォンが内線収容できる点だ。VoIPにより、従来の構内回線と同様にインターネットを内線網として利用できる。
そのため、オフィスの代表番号に掛かってきた電話をどこにいてもスマートフォンで受電したり、スマートフォンから代表番号で架電することが可能になる。ハイブリッド型PBXの場合、オフィス内は従来の構内回線とビジネスフォンの組み合わせを利用し、スマートフォンの内線収容のみVoIPを利用することが一般的だ。
インターネットを利用することで、社内外の従業員の通話コストや拠点間の通話コストを大幅に圧縮できる点もIP-PBXのメリットといえる。さらに近年は、個人情報の適切な管理という観点で注目する企業も多い。
あらかじめ本人の合意を得ることなく、取引先などに私物端末の番号を教えることは個人情報保護という観点で問題も多い。また取引先に私物端末の番号が知られることを嫌うケースもある。特に業務用端末を支給していないエンドユーザー様の場合、内線電話として受電でき、代表番号で架電できることの価値は大きいといえる。
IP-PBX移行には、大きく二つの方法がある。一つは
もう一つは
Microsoft Teamsと連携するPBXソリューションに注目
こうした中、注目したいのは、マイクロソフトがMicrosoft Teamsと連携する形で提供するクラウドPBXソリューションだ。Microsoft Teamsに独自の内線番号を割り振り、PBXの内線網に収容することがその基本的な考え方だ。ゲートウェイを介しオフィスの既設アナログPBXと連携することも、収容したIP電話網をゲートウェイを介して外線網に接続することも可能となる。
既存代表番号による運用イメージ

なお同ソリューションの利用には、Microsoft 365 Phone Systemのライセンスを購入する必要がある。その際、アドオンライセンスと呼ばれるMicrosoft 365 Phone Systemは、Microsoft 365 Enterpriseと組み合わせて購入することになる。具体的には、Microsoft 365 Enterprise E1、もしくはMicrosoft 365 Enterprise E3 との組み合わせで購入できる。ちなみにMicrosoft 365 Enterprise E5には、機能として組み込まれているためアドオンの購入は必要はなくMicrosoft 365 Phone Systemが使える。
Microsoft TeamsとPBXを接続するには、VoIP Gatewayと呼ばれるSession Border Controllerの導入が必要となる。機器の導入と設定が完了するとMicrosoft Teamsアプリが入っているスマートフォン・PCに既存固定電話機から内線や外線電話の発着信ができるようになる。

Microsoft 365 Enterpriseはもちろん、Microsoft 365 Phone Systemは、大塚商会BP事業部が提供するくらうどーるで調達できる。既存ライセンスのアップグレードやアカウントの追加提案など、パートナー様のビジネスにつなげていただきたい。
IP-PBXは、通話ログ管理が容易に行えたり、CRMやCTIの仕組みがより容易に構築できるようになるメリットがある。音声認識エンジンを活用したAIによるテキスト化技術の進化もあり、今後、音声コミュニケーションとITの融合が進むことが予想されている。
リモートワークの電話対応ならインターコムのHassoも
IP-PBX以外でもリモートワークで課題となる電話応対を解決するサービスがある。インターコムのHassoは、会社宛ての電話をクラウド経由でPCへ取り次ぐシステムで、在宅中のスタッフが応対できるサービスだ。スタッフ間の電話転送やFAQページへの誘導など、機能も充実しているため機会損失やクレームの削減に役立てられる。
Hassoの導入の際に回線の契約やサーバーの設置などは不要。会社で契約している固定回線のキャリアにHasso用電話番号への転送を依頼することで完了となる。電話番号を変えることなく、社員各自のPCで受電できる。
かかってきた電話には、ネット回線につながったPCさえあれば応対可能となる。システムにログインしている全員が電話を受けられ、社員間の内線通話や保留電話の取り次ぎもシステム上で処理できる。また、伝言メモや社員の携帯へ取り次げることも利便性が高い。対応履歴も記録でき、オフィスと同等かそれ以上の電話応対環境を構築できる。
そのほかにも会社の事情に合わせて体制を組めるのも強みだ。例えば、スマートフォンから問い合わせがあった場合には、SMSで返信し、WebサイトのFAQへ誘導するといった対応や、人員が少ない場合は音声ガイダンスによる自動応対なども構築できる。音声ガイダンスや専用Webサイトを作成する際には、多数のテンプレートがあり、Hassoのシステム上で作成できる。
これらの機能を活用すれば、営業時間外の顧客の問い合わせにも対応できる。営業時間内は通話で対応し、営業時間外はWebへ誘導するなど、曜日や時間によって案内する内容やフローを変更することも可能だ。ちなみに営業時間のオン・オフは、カレンダーの設定で簡単に設定できる。
Hassoは、リモートワークで課題となる電話応対の問題を手軽に解決できるサービスだ。パートナー様の提案アイテムの一つとして、ご活用いただきたい。