AIによる産業革命が目の前に迫る!データ分析ツール「dotData(ドットデータ)」

新しい発想のAIデータ分析プラットフォームdotDataの活用により、営業活動の生産性向上を実現した大塚商会は、2021年6月より自社のdotDataリソースを利用したAIデータ分析サービスの提供を開始した。そして今年4月には、米国dotData社に26億円を出資することを発表。dotDataを中核に同社が描く、明日のITビジネスの姿について、上席執行役員 マーケティングオートメーションセンター長の地主 隆宏とトータルソリューショングループ 経営支援サービス 兼 AIビジネス推進プロジェクト 執行役員の山口 大樹という2人のキーパーソンに尋ねた。

最初にdotDataに注目された経緯を教えてください。

地主:大塚商会はかなり早い段階から、営業担当やサポートスタッフが得た多様な情報を営業支援に生かす取り組みを続けています。2000年代に運用を開始した、全ての営業担当の利用を前提とした営業支援システム「Sales Process Re-engineering(SPR)」では、ビッグデータ分析にベンダーの協力の下独自のAI開発も行ってきました。しかし、営業活動を支援する予測モデルの精度向上には、これまで多くの工数・時間を必要としてきました。こうした中、我々が出会ったのが、NEC史上最年少で主任研究員に抜擢された藤巻遼平さんという天才が発想した、全く新しいデータ分析基盤でした。NECさんもその可能性にすぐにお気付きになったらしく、藤巻さんをCEOに据えた新会社をアメリカ西海岸にカーブアウトし、世界に向けて新たなサービスのご提供を開始しました。それがdotDataです。実は、大塚商会で最初にdotDataに注目したのは、大塚 裕司社長なんですよ。どうやら我々がAI導入に苦労する中、社長もAIへの理解を深めていたようです。さっそく我々がPoCを実施したところ、これまで手作業で行う他なかったデータ分析の前段の作業を自動化するdotDataの優越性は明らかでした。データ分析における工数削減の意義は極めて大きく、より多くの試行錯誤を繰り返し行うことで、分析精度向上にも大きな役割を果たします。2018年に導入したdotDataは、その後のSPRの精度向上に大きな役割を果たしています。

上席執行役員 マーケティングオートメーションセンター長
地主 隆宏

大塚商会のSPRはメディアなどで取り上げられる機会も多いのですが、具体的にどのような仕組みなのですか?

地主:お客様に何を売ったか、どのようなサポートを行ってきたかという情報はもちろん大切です。しかし私たちが特に注目しているのは、営業日報に記録されたお客様の生の声です。「訪問したらこんな相談をされた」「商品をご提案するとこんな反応が返ってきた」という情報は、お客様のマインドや状態を知る大きな手掛かりになります。営業日報を分析し、こうした生の声をAIで抽出、分析したうえで、翌々日の訪問先をレコメンドするというのがSPRの基本的な考え方です。レコメンドに従うか否かの判断は営業担当に委ねられますが、レコメンドに従った場合と対照群を比較すると、前者の成約率の方が5%高いというエビデンスも得られています。

次にお聞きしたいのは、dotDataを用いたデータ分析をサービスとして販売した経緯です。

山口:これまでAIを用いたデータ分析を実践するのは、大企業に限られてきました。その理由としてまず挙げられるのが、機械学習を分析や予測に活用する高度なスキルを持つ人材を確保することの難しさです。外部の専門家に分析を依頼すると1回のPoCに1,000万円以上の費用が必要になることも珍しくないため、中堅・中小企業のAI活用は極めてハードルが高いのが実情でした。しかし我々が持つdotDataのリソースの一部を切り出してご提供することで、従来のデータ分析と遜色ないサービスをその1/10の費用でご提供することが可能になります。dotDataによる大幅な工数削減に加え、我々が自社データ分析で培ってきたノウハウをユースケースとしてパターン化してご提供できることがその理由です。今後、データ分析の裾野は確実に広がると見られる中、中堅・中小企業の身の丈に合ったサービス提供は大きな意味を持つと考えています。

中堅・中小企業の場合、一般論として大企業のようなビッグデータの蓄積があるわけではありません。そうした場合、データ分析の成果もおのずと制約されると考えるべきなのでしょうか?

地主:誤解されている方も多いのですが、データの量自体には大きな意味はないんです。データ分析ではむしろ、独自のユニークなデータの有無が重要です。自社でしか持ちえないデータの蓄積があれば、例えば、過去の気象データのような入手可能なデータと組み合わせることで多様な分析が可能です。大塚商会のAI分析サービスは、すでに30社以上にご提供していますが、その半数以上は年商100億円以下の中堅・中小企業です。

AI分析サービスのユースケースを具体的に教えてください。

山口:大塚商会の事例でいうと、ある店舗の売上を他店舗の実績に基づき予測するという使い方は最も分かりやすい例になるでしょう。この場合、特徴量に注目することで売上アップに直結する施策についてもAIがレコメンドします。マネージャー層による施策立案は、どうしてもバイアスがかかりますが、AIは先入観なしにデータに基づく施策を提案するため、意外なヒントが得られるとお客様からも好評です。

執行役員 トータルソリューショングループ 経営支援サービス 兼 AIビジネス推進プロジェクト
山口 大樹

なるほど。まさにデータに基づく意思決定ですね。

山口:ただし、AIが常に最適解を提示してくれるとは限りません。投入するデータの質や設定課題の難易度などにより、お客様が期待する精度を得られないことも想定する必要があります。「成功を保証できないサービスに投資するなんてとんでもない」というお客様には売れません。逆に「成功するとすごいことになるね」とAIを前向きにとらえてくれるお客様には、最適なサービスであると言えます。私自身の経験からお話しすると、「コピー機はいらない」というお客様にコピー機を売るより難しいのではないでしょうか(笑)

AI分析サービスのユースケースを具体的に教えてください。

山口:大塚商会の事例でいうと、ある店舗の売上を他店舗の実績に基づき予測するという使い方は最も分かりやすい例になるでしょう。この場合、特徴量に注目することで売上アップに直結する施策についてもAIがレコメンドします。マネージャー層による施策立案は、どうしてもバイアスがかかりますが、AIは先入観なしにデータに基づく施策を提案するため、意外なヒントが得られるとお客様からも好評です。

最後にパートナーの皆様にメッセージをお願いします。

山口:経営課題の多様化に伴い、その解決策としてAIやデータサイエンスの活用が進んでいます。社内に専門チームを持つことが難しい中堅・中小企業の場合、アウトソーシングの動きも広がると思われますが、そうしたサービスの提供は手間がかかります。大塚商会のAI分析サービスであれば、従来同様「特定店舗の売上アップ」や「高い離職率の改善」といった提案型のセールスができるうえ、データをご提供いただければ面倒な分析は我々が行うため、パートナーの皆様はこれまでと同様のビジネスを行うことが可能です。ぜひ大塚商会のAI分析サービスにご注目いただきたいと考えています。

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