各種のサブスクリプションをパートナー様が販売できるコマースプラットフォーム「くらうどーる」。主力となるマイクロソフト製品は、2023年12月末をもってレガシーモデルの契約更新を終了し、NCE(ニューコマースエクスペリエンス)へ一元化される。BP事業部が運営するSPS(Sales Portal Site:セールスポータルサイト)でも注目度の高いNCEについての情報とお得なキャンペーン情報、「くらうどーるプラス」の最新情報などを紹介したい。

レガシーモデル更新終了とNCE一元化により何が変わる? そして新規契約のポイントは?

マイクロソフト社は2024年1月以降、NCEと並行して提供してきたレガシーモデルの更新終了をアナウンスした。Microsoft 365などの主力製品が対象になることもあり、エンドユーザー様の関心も高いNCEを理解するためのポイントをあらためて整理したい。

レガシーモデルの更新終了。NCEへの一元化が進む

現在、サブスクリプション、永続ライセンスを問わず、マイクロソフト製品の販売モデルはNCE(ニューコマースエクスペリエンス)への統合・一元化が進んでいる。その一方で、Microsoft 365をはじめとする一部のサブスクリプション製品については、旧来のレガシーモデルとNCEという二つの販売モデルが併存する状況がこれまで続いてきた。

大塚商会BP事業部が提供するコマースプラットフォーム「くらうどーる」の場合、ほぼすべてのレガシー契約は、すでにNCEへの移行を終えている。そのためレガシー契約の終了により直接的な影響を受けるのは、教育機関のお客様と、一般企業向けのレガシー契約を継続している一部のエンドユーザー様に限られる見通しだ。なお「くらうどーる」としてのレガシー契約への対応については、年内に発表が行われる予定だ。

その一方で、すでにレガシー契約からの移行を終えているとはいえ、Microsoft 365やOffice 365など、マイクロソフト社の主力サブスクリプション製品の契約ルール変更は、エンドユーザー様の関心も高い。ここであらためてNCEについて整理しておきたい。

レガシーモデルからNCEへの移行

プラットフォームの統合で、より管理しやすい環境を実現

まず、見ていきたいのが、レガシーと呼ばれる従前の販売モデルとNCEの違いである。ポイントは大きく二つある。一つは製品・サービスの提供方法の変更だ。これまでマイクロソフト社は、Enterprise Agreement(EA)、Select Plus、MPSA(マイクロソフト製品/サービス契約)、CSP(サブスクリプション型ライセンス)など、さまざまなライセンスプログラム・プラットフォームを通じて製品・サービスを提供してきた。しかし、複雑化された購買体験はエンドユーザー様やパートナー様にとって、理解が難しい面もある。

一方、NCEでは、従来のプログラムを大企業を対象とした「エンタープライズモーション」、中堅・中小企業を対象とした「Breadthモーション」、個人を含めあらゆる規模の顧客を対象とした「セルフサービスモーション」の3カテゴリーに再整理したうえで、それらをMicrosoft Customer Agreementと名付けられた統一化された顧客体験のもと提供する。

「エンタープライズモーション」と「Breadthモーション」の違いは、原則として前者がマイクロソフト社の高度な関与を必要とする大手企業を想定するのに対し、後者が価格交渉以外の独自の契約条件を必要とせず、パートナー様からの再販がスムーズに行いやすい中堅・中小企業の案件を想定する点にある。

メリットとしてマイクロソフト社が挙げるのは以下の3点だ。一つは、その名の通り、顧客体験の改善である。エンドユーザー様は購入の手段や場所をより柔軟に選択しつつ、一貫性のあるシンプルな方法で購入できるようになるため、ライセンス管理の煩雑さが大幅に改善されると考えられることがその理由だ。次にパートナー様の付加価値提供に関する効果である。マイクロソフト製品および関連サードパーティ製品の販売プラットフォーム一元化は、パートナー様がBreadthモーションを主軸としてエンドユーザー様のクラウド投資の最適化を支援するうえで大きな役割を果たすことが期待される。最後に、契約手続きの簡素化による、営業担当の本来業務への集中の実現である。マイクロソフト社はそれを、NCEでシンプルでスピーディな取引が可能になると表現する。

NCEの契約期間と請求頻度

月契約月払い、価格ロック、キャンセルポリシーが新登場

もう一つ理解すべきことがある。それは契約期間と支払い頻度に関する選択肢の拡張である。レガシーの場合、マイクロソフト社のサブスクリプションは「年契約月払い」「年契約一括払い」しか選択できなかった。NCEではそれらに加え、「月契約月払い」の選択が可能になった(3年契約は現時点では未対応)。

各契約プランの細かな違いについては下表を参照いただきたいが、ここで注目したい点がいくつかある。一つは、新設された月契約月払いは、年契約、3年契約の販売価格(通常価格)より20%割高な価格で提供される点。次に、年契約は契約途中の解約/ライセンス減数が行えない点である。

ライセンス利用状況を問わず契約期間内に支払いが生じることは、ライセンス数の変動が見込まれるエンドユーザー様にとっては大きな悩みどころになるに違いない。通常価格の20%増しに設定された月契約価格から考えると、契約期間が10カ月を超えると年契約の方が割安になるため、それが目安になるだろう。

為替変動も影響するため単純化は難しいが、急激に進むグローバルインフレを考慮すると、年契約の価格ロックに魅力を感じるエンドユーザー様も少なくないはずだ。

契約期間に関する縛りが生じた一方、新たにキャンセルポリシーが設定されたことも注目したいポイントだ。キャンセル可能期間は7日間。期間内であれば利用期間に応じて日割計算されるキャンセル料を支払うことで解約できる。なお、NCEでは永続型ライセンス(Software in CSP)についても、30日間のキャンセル期間が新たに設定された。こちらは期間内であれば全額が返金される。

マイクロソフト社の新たなキャンセルポリシーに「くらうどーる」は、ほぼ対応しているが、他社が提供する一部プラットフォームは未対応というケースもあるようだ。各社が提供するコマースプラットフォームの機能は横並びというイメージが強いが、必ずしもそうではない点には注意する必要がある。

パートナー様からリセラー様へ多段商流にも対応

細かい部分だが、月払い契約の課金ルール変更も注目しておきたいポイントだ。「くらうどーる」はこれまで、マイクロソフト製品を月途中から利用した場合は、月末までの日割り計算分と翌月1カ月分を初回分として翌月月初に請求してきた。NCE移行後はマイクロソフト社のルールに準じ、本来の起算日を起点とした1カ月について翌月月初に請求する形に変更されている。

それにより、例えば9月15日に利用を開始したエンドユーザー様の場合、10月14日までの使用料が初回分として10月月初に請求される。

ライセンス追加購入時の課金も同様のルールにもとづき行われる。具体的には、4月15日を起算日にするエンドユーザー様が4月25日にライセンスを追加購入した場合、5月の月初に5月14日までの日割り分が既存ライセンス分と合わせて請求される。また、6月15日を起算日にするエンドユーザー様が7月1日にライセンスを追加購入した場合、8月の月初に7月14日までの日割り分が既存ライセンス分と合わされて請求され、翌月以降は通常料金が請求される。

次に注目したいのは、NCEによる多段商流への対応である。レガシーはIndirect Provider(大塚商会BP事業部などのディストリビューター)→Indirect Reseller(パートナー様)→エンドユーザー様という単純化された商流にしか対応してこなかった。しかし実際には、パートナー様とエンドユーザー様の間に別のリセラー様が介在しているということも珍しくない。

それに対しNCEでは、最大2段階のAdditional Reseller(以下AR)と名付けられたリセラー様を経由した商流にも対応する。「くらうどーる」でも既にAR1社の商流には対応済みであり、AR2社にもこの10月に対応を開始する予定だ。なおARは、マイクロソフト社のPartner ID(旧MPN ID)を持ち、Partner Centerより Microsoft Partner Agreement(MPA)の許諾を受けている必要がある。

マイクロソフト社の新たなキャンセルポリシーに「くらうどーる」は、ほぼ対応しているが、他社が提供する一部プラットフォームは未対応というケースもあるようだ。各社が提供するコマースプラットフォームの機能は横並びというイメージが強いが、必ずしもそうではない点には注意する必要がある。

多段商流のイメージ

サブスクリプションの販売は「くらうどーる」におまかせ!

最後に大塚商会BP事業部の「くらうどーる」について簡単に紹介しよう。サブスクリプションに代表されるクラウドビジネスでは、月額/年額課金、従量課金など、複雑な課金管理の仕組みが不可欠だ。そのための仕組みをパートナー様に提供するのが、大塚商会BP事業部の「くらうどーる」「くらうどーるプラス」になる。2つのコマースプラットフォームは取扱商材に違いがあり、前者「くらうどーる」はMicrosoft 365、Office 365、Office LTSC 2021、WindowsServer、Azure Planなどのマイクロソフト製品のほか、Adobe製品、Autodesk製品を取り扱う。「くらうどーるプラス」では、サイボウズ製品月額サービスの取り扱いを開始したので詳しくは、次頁をご覧いただきたい。

また、BP事業部が10月31日までの期間限定でパートナー様に提供する、Microsoft 365 年契約年払い製品の1カ月お値引きキャンペーンについても触れておきたい。対象製品は、「Microsoft 365 Business Basic/Standard/Premium」「Microsoft 365 Apps for Business/Enterprise」「Office 365 E1/E3/E5」「Microsoft 365 E3/E5」の各製品。NCE移行が迫られるエンドユーザー様との商談において大きな役割を果たすことが期待される。

なお注目される大規模言語モデル(LLM)と組織内データの連携を実現するMicrosoft 365 Copilotだが、月額30ドル/ユーザー前後で提供され、提供時期は未定だが、Microsoft 365 Business Standard/Business Premium/E3/E5 のアドオン製品として提供される。BP事業部では今後も随時パートナー様に迅速に提供していく考えだ。

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