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Windows 11 への無償アップグレード期間は?注意事項も解説
掲載日:2024/06/20
この記事では、Windows 11 への無償アップグレード期間や、アップグレードに必要な準備、具体的なアップグレード手順などをご紹介します。
Windows 11 へのアップグレードは、Windows 10 を使用しているユーザーは無料で行えますが、事前のバックアップや最低システム要件など、確認しておくことも多いため慎重に実行することが大切です。アップグレードに失敗してしまう場合の対処法についてもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
Windows 11 への無償アップグレード期間はいつまで?
Windows 11 への無償アップグレード期間について、Microsoftでは以下のように回答しています。
- Q.無料のアップグレードが可能な期間はいつまでですか?
- A. 対象となるシステムに対する無料アップグレードに特定の終了日は設けていません。しかし、Microsoft は無料アップグレードに対するサポートをいずれ終了する権利を留保します。
参照:互換性のあるPC用の Windows 11 を入手する方法(Microsoft)
このように、2024年現在では無償アップグレード期間に終了日を設けていないものの、有料化する可能性はゼロではないため、なるべく早めにアップグレードを済ませておくとよいでしょう。
なお、一度アップグレードしたものの、業務で使用しているソフトウェアが Windows 11 に対応しておらず、元の状態に戻したいといったケースもあるでしょう。このような場合、アップグレードから10日以内であれば、ファイルやデータを保持したまま Windows 10 に戻せます。
Windows 10 のサポートは2025年で終了
Windows 10 の最終バージョンである22H2のサポートは2025年10月14日に終了します。サポート終了後は、Windows 10 の脆弱性を狙ったサイバー攻撃など、セキュリティリスクも高まります。万が一被害に遭った場合、企業の機密情報や個人情報の漏えいなどにつながる可能性もあるため、サポート期間内かつ無償期間中にアップグレードを行うのがよいでしょう。
また、Windows 11 では、Windows 10 での機能やデザインの使い心地を踏まえて、よりユーザーにとって使いやすい機能やUIが追加されています。新機能を活用することで業務効率化や生産性の向上も期待できるため、このような観点からも Windows 11 への早めのアップグレードは推奨されます。
Windows 10 はサポート期間の終了後でも使える?
サポート期間の終了後も Windows 10 のパソコンは使用できます。しかし、OSの脆弱性や機能に関するサポートの対象外となるため、基本的にはサポート期間が終了したOSの使用はおすすめしません。
サポート期間中である場合、OSの不具合の修正やセキュリティ対策、脆弱性への対処、機能の改善といったあらゆるサポートをMicrosoftが行ってくれます。しかし、サポート対象外となった場合、上記の作業をすべて自己責任で行わなければなりません。また、万が一ウイルスなどに感染し、パソコンの操作に支障が出た際もMicrosoftでは対処してもらえなくなるため、業務の停滞やセキュリティ被害の拡大といった影響を及ぼす可能性があります。
これまでにMicrosoftが行っていたサポート内容を自力で対処するには高度なスキルが必要となり、時間や労力も費やすことになるため、サポート期間外のOSの使用はできるだけ避けましょう。
教育機関はGIGAスクール構想への対応も必須
一般企業と同様に、教育機関でも Windows 11 へのアップグレードが急務となります。先述のとおり、サポートの期限が切れた Windows 10 を使い続けていると、セキュリティリスクが高まります。
学校全体で Windows 10 を使用している場合、教員だけでなく、児童や生徒のパソコンも危険にさらされることとなります。子どもたちのパソコンがウイルスに感染したり、第三者からの不正アクセスなどのサイバー攻撃を受けたりする恐れがあるため、Windows 11 へのアップグレードは必須です。
特に学校では、授業や校務で使用するシステムが Windows 11 に対応していないなどの理由からアップグレードを後回しにしているケースも多いため、注意が必要です。
Windows 11 へアップグレードする前に確認しておくこと
ここまでご紹介したように、Windows 11 へのアップグレードはなるべく早く行うのがおすすめです。ただし、Windows 11 へアップグレードする前に、次のような点を必ず確認しておきましょう。
アップグレード可能なパソコンに条件がある
Windows 11 へのアップグレードは、現在使用しているパソコンのスペックが Windows 11 の最低システム要件を満たしていることで行えます。
そのため、最新版の Windows 10 を使用していても、パソコンが古い機種の場合など、Windows 11 のシステム要件を満たしていない場合はアップグレードが行えないため、パソコンの買い替えが必要です。
自身のパソコンがシステム要件を満たしているかは、設定画面から確認できます。
- スタートボタンをクリックする
- 「設定」をクリックする
- 「更新とセキュリティ」をクリックする
- 「Windows Update」内で「この PC で Windows 11 を実行できます」と表示されているか確認する
参照:Windows 11 無償アップグレード方法や条件を解説(Microsoft)
具体的なCPUなどのスペックを記載した最低システム要件は、後ほど詳しくご紹介します。
Windows 11 に対応していないソフトウェアや周辺機器がある
Windows 10 に対応していても、Windows 11 では互換性が確認できていないソフトウェアや周辺機器もあるため、事前に対応OSを確認しておくことが大切です。万が一非対応の場合は、別のソフトウェアや周辺機器を使用する必要があります。
このように別の製品に取り換える必要のあるものが多かった場合は、ソフトウェアや周辺機器の整備に時間がかかる可能性があるため、サポート期間中に対応が間に合うよう早めに確認しておきましょう。
UIが一新される
Windows 11 では、Windows 10 からUIが変わり、タスクバーの配置などが変更されます。Windows 10 では、画面の上部や左右の端にタスクバーを配置できましたが、Windows 11 では下部に固定されます。
そのため、普段からタスクバーを画面下部以外の位置に固定している場合は、新しいUIに慣れない可能性があります。アップグレード後も新しいUIでスムーズに操作できるよう、あらかじめタスクバーを画面下部に設定し、慣れておくとよいでしょう。
なお、Windows 11 では、タスクバーのアイコンが中央ぞろえで配置されます。ユーザーの利便性を加味しての仕様ですが、Windows 10 のように左ぞろえで使用したい場合は、設定変更が可能です。
削除される機能やアプリがある
Windows 10 では使用できたものの、Windows 11 で廃止された機能も複数あります。例えば、ビデオ通話ツールの「Skype(スカイプ)」は、Windows 10 ではデフォルトで搭載されていましたが、Windows 11 では廃止され、個人向けのMicrosoft Teamsが搭載されており、Skypeを使用する際はMicrosoft Storeからダウンロードする必要があります。
このように、Windows 10 でよく使っていた機能やアプリが廃止されているケースも考えられるため、代用できる機能やアプリをあらかじめ準備したうえでアップグレードに臨むと安心です。
簡易ステータスがウィジェットに切り替わる
Windows 10 では、ロック画面で天気やカレンダー、メール、アラームなどを表示する簡易ステータス機能が備わっていました。しかし、Windows 11 では廃止され、代わりにウィジェット機能が追加されています。ウィジェット機能では引き続き天気やカレンダー、メール、最新ニュースなどをロック画面やタスクバーの「ウィジェット」アイコンから確認できます。
Cortanaが使用できなくなる
Windows 10 では、音声アシスタントである「Cortana(コルタナ)」が搭載されていました。しかし、Cortanaは2023年に廃止されており、現在はMicrosoft CopilotをはじめとしたAI機能を活用することで、Cortanaのような検索支援などが行えます。
なお、Copilotはプレビュー版が Windows 11 のみに提供されていましたが、ユーザーの要望を受け Windows 10 でも使用できるようになりました。しかし、サポート期間は延長されることなく2025年10月14日で終了のため、ご注意ください。
Windows 11 へアップグレードする際に必要な準備
Windows 11 への無償アップグレード前には、データのバックアップやシステム要件の確認など、次のような事前準備が必要となります。
重要なデータやファイルをバックアップする
アップグレードを実行する前に、業務で使用するデータやファイルは、外付けのHDDやクラウドなど、外部のデバイスや媒体にバックアップを取っておきましょう。万が一アップグレード中に不具合が生じ失敗した場合や、アップグレードが正常に完了しなかった場合、パソコン内のストレージに保存していたデータやファイルにも影響を及ぼす可能性があります。
アップグレードに必要なシステム要件を確認する
Windows 11 へのアップグレードでは、パソコンがMicrosoftから提示されている最低システム要件を満たしている必要があります。
自身のパソコンがスペックを満たしているかは、先述したように設定画面の「Windows Update」画面から確認できますが、具体的な必要スペックは以下のとおりです。
CPU | 1GHz以上で2コア以上の64bit互換プロセッサー または System on a Chip(SoC) Intel:第8世代以降 AMD:Zen2以降 |
---|---|
メモリ | 4GB以上 |
ストレージ | 64GB以上 |
システムファームウェア | UEFI、セキュアブート対応 |
TPM | バージョン2.0 |
グラフィックカード | DirectX 12 以上(WDDM 2.0ドライバー)に対応 |
ディスプレイ解像度 | 9インチ以上で8bitカラーの高精細(720p)ディスプレイ |
そのほかに必要なもの | Microsoft アカウント インターネット接続 Windows 10 バージョン 2004 以降 Windows 10 ライセンス |
上記のスペックを満たしていないパソコンを使用している場合は、パーツのグレードアップや、Windows 11 を搭載しているパソコンへの買い替えが必要となります。
Windows 8.1 からアップグレードする場合
Windows 10 以前の Windows 8.1 を使用している場合は、2023年1月10日にサポートが終了しているため、早急に Windows 11 へアップグレードすることをおすすめします。ただし、Windows 8.1 を搭載しているパソコンの場合、先述した Windows 11 の最低システム要件を満たせていない可能性が高いです。
パソコン本体の使用年数が5年を超えている場合は、市場で展開されている最新機種のパソコンと大幅にスペックの差が出ていることも多いため、Windows 11 搭載のパソコンへ買い替えるのもよいでしょう。
Windows 11 へのアップグレード手順
Windows 11 へのアップグレード手順は、次のとおりです。
Windows 11 のアップグレード方法は、「Windows Updateからのアップグレード」と「Windows 11 インストールアシスタントを使用したアップグレード」の2種類があります。インストールアシスタントを使用することですぐにアップグレードが完了しますが、Microsoftでは前者のWindows Updateからのアップグレードを推奨しています。
【Windows Updateからアップグレードする手順】
- スタートボタンをクリックする
- 「設定」をクリックする
- 「更新とセキュリティ」をクリックする
- 「Windows Update」内の「Windows 11 へのアップグレードの準備ができました─しかも無料です!」から「ダウンロードしてインストール」をクリックする
- ソフトウェア ライセンス条項を確認し、「同意してインストール」をクリックする
- 更新プログラムのダウンロードとインストールが完了し、「再起動が必要です」と表示されたら、「今すぐ再起動する」をクリックして再起動するか、「再起動のスケジュール」をクリックし、アップグレードの時間を指定する
参照:Windows 11 無償アップグレード方法や条件を解説(Microsoft)
【Windows 11 インストールアシスタントを使用したアップグレードの手順】
- Windows 11 インストールアシスタントページにアクセスする
- 「今すぐダウンロード」をクリックする
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックし、インストールアシスタントを起動する
- 表示されるライセンス条項を確認し、「同意してインストール」をクリックする
- 更新プログラムのダウンロードとインストールが完了したら、「今すぐ再起動」または「後で再起動する」を選び、パソコンを再起動する
業務用のパソコンをアップグレードするときの注意点
業務用のパソコンをアップグレードするときは、必ず企業のIT管理者などに確認を取ってからアップグレードを進めましょう。業務で使用するソフトウェアが Windows 11 と互換性がない場合、業務を進められなくなる恐れもあるため、アップグレードの最低システム要件を満たしていたとしても、管理者からの指示を仰ぐことが大切です。
また、Windows 11 へのアップグレードには時間がかかり、ネットワークにも負担がかかります。そのため、一度に多くの台数をアップグレードしてしまうと、社内のネットワークが圧迫されて通信が遅くなり、さらに時間がかかってしまう原因にもなるため、業務をしていない時間帯にアップグレードしたり、ほかの従業員とタイミングをずらしたりするなどの調整が必要です。
なお、更新プログラムのダウンロード中は通常通りパソコンを操作できるため、ダウンロードのみ業務中に行い、パソコンを操作しない時間帯にアップグレードを行うといった方法もおすすめです。
アップグレードがうまくいかないときの対処法
Windows 11 へのアップグレードが途中で失敗するなど、うまくいかないときの対処法をご紹介します
システム要件を満たしているか確認する
先述したMicrosoftが提供する最低システム要件を満たせていない場合、Windows 11 へのアップグレードは実施できません。システム要件のうち、どれか一つでもスペック不足の要素がある場合はアップグレードを進められないため、自身のパソコンのスペックとシステム要件を再度ご確認ください。
なお、必要スペックを満たしているか・Windows 11 との互換性があるかの確認は、Microsoftの公式サイトでも行えます。
最新バージョンの Windows 10 へ更新する
Windows 10 のバージョンが21H2など最新バージョンの22H2になっておらず、アップグレードが実施できない場合があります。特に、バージョン22H2以前のOSを使用している場合は、すでにサポート期間外となっているため、セキュリティ面でも危険です。
Windows 10 の最新バージョンへアップデートできる場合は早急に対応し、その後 Windows 11 へのアップグレードを実行しましょう。
不要なデータやファイルを削除する
ストレージの容量が足りず、アップグレードに失敗してしまうことがあります。不要なデータやファイルが多くたまっている場合は、整理してからアップグレードに臨みましょう。
また、Microsoftでは Windows 11 のアップグレードに必要なストレージの空き容量として「64GB以上」と記載していますが、さらに余裕を持って容量を確保しておくと安心です。
セキュリティソフトを無効化する
パソコンにインストールされている「Microsoft Defender ウイルス対策」などのセキュリティソフトが作動し、アップグレードを実行できない場合があります。システム要件を満たしているのにアップグレードがうまくいかない場合は、一度セキュリティソフトを無効化してみることをおすすめします。
Microsoft Defender ウイルス対策を無効化する手順は、Microsoftのサポートページからご確認ください。
デバイスドライバーを更新する
キーボードやモニターなどのデバイスドライバーが最新の状態でない場合にも、アップグレードが失敗する可能性があります。
デバイスドライバーは、Windows 10 では以下の手順で状態の確認・更新が行えます。
- タスクバーの検索ボックスに「デバイス マネージャー」と入力する
- デバイスマネージャーを起動する
- デバイスの一覧が表示されたら、デバイス名をダブルクリックする
- 表示されたドライバーを右クリックする
- 「ドライバー ソフトウェアの更新」を選択する
- 「どのような方法でドライバーソフトウェアを検索しますか?」と表示されるので、「ドライバー ソフトウェアの最新版を自動検索します」を選択する
- 「オンラインでソフトウェアを検索しています」と表示された後、「ドライバー ソフトウェアをダウンロードしています」と表示され、ドライバーがインストールされるので、しばらく待つ
- 「ドライバー ソフトウェアが正常に更新されました。」と表示されるので、「閉じる」をクリックする
- 「ハードウェアの削除を完了するには、コンピューターを再起動しなければなりません。今コンピューターを再起動しますか?」と表示されるので、「はい」をクリックして再起動する
クリーンインストールを行う
アップグレードがうまくいかない場合は、クリーンインストールを行うことで、アップグレードが成功する可能性があります。クリーンインストールは、既存のOSやインストール済みのソフトウェア、設定情報などをすべて削除してから、OSをインストールし直す方法を指します。クリーンインストールを行うと、パソコンに保存したデータやファイルなども削除されるため、あらかじめ別の媒体にバックアップを必ず取っておきましょう。
Windows 10 でのクリーンインストールの手順は、Microsoftのサポートページに詳しく記載されています。
メーカーに問い合わせる
上記の方法を試してみてもアップグレードに失敗する場合は、パソコンに何らかの異常が生じている場合があります。自力での解決が難しいときは、パソコンを製造しているメーカーに問い合わせることをおすすめします。
また、各メーカーのWebサイトには、よくある質問やFAQなどのページを設けていることが多いため、あわせてご確認ください。
Windows 11 とMicrosoft 365 Educationで新たな教育環境を実現
教育現場では、教員の長時間労働や、より効率的な子どもたちの学習環境の構築が課題となっています。このような課題を解決するソリューションとして、大塚商会では Windows 11 とMicrosoft 365 Educationを提案します。
Microsoft 365 Educationに新たに含まれるAI学習支援機能「Learning Accelerators」は、AIの技術を活用し、子どもたちの音読や発表、文章などをリアルタイムで評価し、教員の採点や指導内容の策定を効率化できます。ほかにも、Learning Acceleratorsには子どもの学習や教員の校務をあらゆる角度からサポートする機能が豊富に備わっています。
教員の労働環境や、子どもたちの学習環境の改善にさらに力を入れて取り組みたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
この記事では、Windows 11 への無償アップグレード期間や、アップグレードに必要な準備、具体的なアップグレード手順などをご紹介しました。Windows 11 への無償アップグレード期間の終了時期は未定ですが、今後有料化されることも考えられるため、なるべく早めにアップグレードを済ませておきましょう。
アップグレードがうまくいかず、記事内の対処法を試しても失敗してしまう場合は、パソコンに何らかの異常が生じている可能性が高いため、メーカーに問い合わせるか、Windows 11 を搭載したパソコンへ買い替えることをおすすめします。