【連載】

作業を効率化させる Excelテクニック集(1)

第1回 押さえておきたい基本テクニック

掲載日:2022/02/15

第1回 押さえおきたい基本テクニック

Excelの基本的な操作方法を見直すことで、作業時間を圧縮できる。そのために覚えておきたいテクニックを見直してみよう。なお、全10回にわたる本連載は、Microsoft 365版のExcelを使用してお送りする。

Excelで大切なことの一つは、誰が見ても分かりやすく、他人と共有したり引き継いだりしたときにすぐに内容を理解できることだ。そのための第一歩として、見やすい表作りのテクニックを押さえよう。

用途を考慮してフォントを決める

Excelをデータツールとしてのみ扱うなら、フォントの種類やサイズにこだわる必要はない。しかし、作成したデータを他者と共有する場合などはこだわりたいポイントとなる。

デフォルトでは、フォントは11ポイントの游ゴシックとなっている。このまま使ってももちろん問題はないが、Excel 2013までのバージョンを使っている会社と共有する場合、游ゴシックが入っていないこともある。同じフォントがない場合は他のフォントに置換して表示されるため、データが確認できなくなることはないが、同じフォントで見てもらいたいなら、最初からMS P ゴシックやメイリオにしておくと良いだろう。

【シチュエーション別テクニック】フォントを変更したい

①シート、セルごとにフォントを変えるときは、「ホーム」タブ>「フォント」のフォントとサイズを選択する。

②ブック全体のフォントを固定で変更したいときは、「ファイル」タブ>「その他…」>「オプション」を選択する。


「Excelのオプション」画面で「新しいブックの作成時」の「次を既定フォントとして使用」と「フォント サイズ」を選択し、「OK」をクリックする。

行の高さ・列の幅を調整する

Microsoft 365の最新バージョンでは、行の高さがデフォルトで「18」になっている。この設定ならそのまま使えるが、バージョンによってはデフォルトで13.5などになっていることがある。その場合は文字が読みづらいため、高さを18~20に変更すると良いだろう。

【シチュエーション別テクニック】列幅をそろえたい

列幅は、同じ内容の項目は同じ幅にそろえておくと見やすい。下図の例では、1月・2月…の幅がそろっていないと分かりにくい。複数セルの幅をそろえるときは、該当の列を選択して右クリック。「列の幅」を選択し、幅を入力して「OK」をクリックする。

文字位置を決めておく

Excelの基本としては、文字列は左、数値は右にそろっている。文字列と数値の区別は明確にしておいた方が、データが取り扱いやすい。好みやデータの種類によって、部署ごとにルールを決めておけば良いだろう。

項目の階層ごとに色分け・インデントで差別化する

項目に階層があるときは、親項目の行に色を付け、子項目はインデントで1字下げにすると分かりやすくなる。

インデントは、「ホーム」タブ>「配置」の右下のアイコンをクリックするごとに1文字分ずつ右に下がっていく。その左のアイコンをクリックすると1文字分ずつインデント位置が左に戻る。

【シチュエーション別テクニック】複数セルのインデントを設定したい

複数セルのインデントを設定するときは、[Ctrl]キーを押しながら、設定するセルをクリックして選択し、インデントアイコンをクリックする。

単位の入力方法を決める

円・人・個などの単位を数値のセルに入力するのはNG(100円、100人、100個など)。単位まで入れてしまうと、文字列として認識されてしまって計算ができなくなるのだ。

どうしてもセルごとに単位を入れたいときは、「セルの書式設定」で「分類」を選び、表示される「記号」から選ぼう。日本の通貨の場合、\のみが設定できる。

【シチュエーション別テクニック】セルに単位を表示させたくない

セルごとに単位を表示させない場合はどうすればいいのか。よくあるのが、項目欄にカッコつきで単位を入れる方法だろう(例:A支店(円)、AB部(円)など)。

単位が全て同じなら、表外に「単位(円)」などと記入しても良い。あるいは、下図のように単位を入力する欄を設けると見やすく、データも扱いやすくなる。

また、数字にはコンマを入れた方が圧倒的に見やすいのは言うまでもないだろう。もし、数字にコンマが表示されない場合は、「セルの書式設定」画面で「表示形式」>「数値」を選択し、「桁区切り( , )を使用する」にチェックを入れる。

罫線を上手に使う

表を見やすくするには、罫線を使い分けることが大切だ。

罫線を入れるセルを選択し、「セルの書式設定」画面で罫線の種類と引く箇所を選択する(ここでは、表内の細い罫を引く方法を提示する)。

ここで覚えておきたいのは、罫線はセルとセルの間に引かれるのではなく、各セルに付属するものであるということだ。

上図のケースでは、14行目(「DE部」の下の空欄の行)を選択して上部に罫線を引けば、画面上は同じように罫線が入る。しかし、その方法で罫線を設定してしまうと、13行目(DE部)のデータをコピー&ペーストしたときに、罫線はペーストされない。また、表のみを範囲設定して印刷した場合、罫線は印刷されない。

このように、Excelを他者と共有する場合は、情報を引き継ぐことを考えて見やすい設定を考えよう。用途やデータ量を鑑みて、部内ルールを定めるのも重要だ。

※参考文献『Excel最強の教科書[完全版]』(SBクリエイティブ刊)