【連載】

作業を効率化させる Excelテクニック集(2)

第2回 便利なワンランク上のテクニック

掲載日:2022/02/22

第2回 便利なワンランク上のテクニック

Excelには多くの機能があり、なかなか全てを使いこなすには至らない。しかし、機能を覚えることに時間を費やすよりは、自分の業務に関わる機能に精通する方が大切だろう。ここで紹介するテクニックについても、業務に直結するものをまず身に付けよう。

第1回「押さえておきたい基本テクニック」はこちら

作業しやすくなるExcelの表示方法

リボンを折りたたむ

画面をできるだけ広く使いたいときは、「リボン」を折りたたんでおく。非表示にする方法は3通りだ。

● その1 任意のタブをダブルクリック
● その2 リボンの右下の「∨」をクリックし、「タブのみを表示する」を選択
● その3 「Ctrl」キーと「F1」キーを同時に押す

一時的にリボンを表示させるときは、タブをクリックする。また、常時リボンを表示させる場合は非表示にするときと同じ手順をとる。

ウィンドウ枠を固定する

データが縦または横に長くなってしまうと、スクロールしたときに見出しセルが見えなくなり、数値の示すものが何であるのかが分かりにくくなる。こういうときに利用したいのが「ウィンドウ枠の固定」だ。

固定するセルにカーソルを置き、「表示」タブ>「ウィンドウ枠の固定」を選択する。このとき、「先頭行の固定」や「先頭列の固定」を選択してもよい。

スクロールしたときに、上の手順でカーソルを置いたセルから右と下のみが動き、見出し行と列は常に表示されるようになる。

非表示とセルの結合は極力使わない

グループ化

Excelには、行または列を選択し、右クリックして「非表示」にする機能がある。データが増えてくるとこの機能を使いたくなるが、他者に渡したときに隠れている行や列を見落とされるリスクがある。

このとき、グループ化機能を使うと便利だ。非表示にする行または列を選択して「データ」タブ>「グループ化」を選択する。

グループ化されると、下図のように「+」「-」が表示される。「-」をクリックするとグループ化された行または列は非表示され、「+」をクリックすると表示される。

選択範囲内で中央に配置

複数列にまたがるデータや文字列を中央に配置する場合、セルを結合することが多いのではないだろうか。しかし、この方法では、行や列を挿入したり、コピー&ペーストをしたりする際に不都合が生じることもある。

そのため、セルの結合ではなく、「選択範囲内で中央」という機能を使うのがおすすめだ。まず、文字を中央に表示するセルを選択し、「ホーム」タブの「配置の設定」をクリックする。

「セルの書式設定」画面の「配置」タブで、「選択範囲内で中央」を選択し、「OK」をクリックしよう。

こうすることで、セルを結合したときと異なり、各セルを別々にクリック可能だ。この機能は縦方向には使えないため、縦方向のセルの中央に文字を配列したい場合は「セルを結合して中央そろえ」を使う。

条件付き書式を覚えよう

指定した条件に該当するセルを自動でピックアップして、書式を変更するのが「条件付き書式」だ。これを設定すると、平均より上位のデータのみ目立たせたり、エラー値を見つけやすくしたりできる。

条件付き書式を設定するセルを選択し、「ホーム」タブ>「条件付き書式」をクリック。ここでは平均より上位のデータをピックアップするため、「上位 / 下位ルール」>「平均より上」を選択する。

そうすると「平均より上」というダイアログが表示されるので、文字の色、背景色を選択しよう。

平均より上位のデータが入力されているセルが指定の色で表示される。「条件付き書式」>「アイコン セット」で任意のアイコン(ここでは矢印)を選択すると、色と同時にアイコンも表示可能だ。

条件付き書式では、ほかに以下のようなことが指定できる。

● 指定の値より大きい / 小さい
● 指定の範囲内
● 文字列
● 日付
● 重複する値
● 上位 / 下位10項目
● 上位 / 下位10%

さらに、自分で新たな条件を設定することも可能だ。例えば、エラーが出ているセルを目立たせる場合は条件付き書式を設定するセルを選択し、「ホーム」タブ>「条件付き書式」をクリックして「新しいルール」を選択する。

「新しい書式ルール」ダイアログで、「指定の値を含むセルだけを書式設定」を選択し、「次のセルのみを書式設定」で「エラー」を選択。文字色や背景色などは、「書式」をクリックし、「セルの書式設定」画面で設定できる。

「OK」をクリックすると、エラーの出ているセルが設定した書式どおりに表示される。

設定した条件付き書式を解除するときは、「条件付き書式」>「ルールのクリア」からクリアにしよう。

また、「新しいルール」で「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択すると数式を使ったルールが自在に作れることも覚えておきたい。

【例】
小さい方から2番目の値のセルに色を付ける場合:=C2=SMALL($C$2:$C$7,2)
大きい方から2番目の値のセルに色を付ける場合:=C2=LARGE($C$2:$C$7,2)

この両方を組み合わせ、大きい方から2番目をピンク、小さい方から2番目を緑にしたものが以下の画面となる。

関数については、連載第3回でも説明するが、()内の$C$2:$C$7はC2~C7のデータを表し、最後の2は2番目という意味だ。

各種データの入力方法一覧

現在の日付や時刻・住所などを楽に入力する方法や、数字の頭の0を入力するための方法など、1つずつ確認してみよう。

現在の日付、時刻を入力

日付は、「Ctrl」キーと「:」キー、時刻は「Ctrl」キーと「;」キーを同時に押すだけだ。

郵便番号から住所を入力

日本語入力モードにして、郵便番号を「000-0000」の形式で入力し、スペースキーを押すと候補が表示される。

その候補から、入力する住所を選ぼう。

頭に「0」がある数字を入力

「0123」「0987」といった数字を入力すると、0が表示されず「123」「987」となってしまう。これを回避するには2つの方法がある。

まず、0の前に「’」を入力する方法だ。上記の場合だと「'0123」「'0987」と入力すればいい。次に、セルの書式を「文字列」にする方法だ。ただし、いずれの場合でも数値としては扱えなくなるため、計算などで使う場合は用いない方がいい。ID番号など、文字列として入力したいときのみ使うことを覚えておこう。

このように、Excelのさまざまな機能を活用することで作業がしやすくなる。場合によっては避けるべき機能も把握して、自身の業務に活用できるテクニックをまず習得したい。

参考:『Excel最強の教科書』SBクリエイティブ