【連載】

作業を効率化させる Excelテクニック集(6)

第6回 さまざまな「コピペ」と、フィルター機能を覚える

掲載日:2022/04/26

第6回 さまざまな「コピペ」と、フィルター機能を覚える

Excelには単純なコピー&ペーストだけでなく、さまざまなコピー機能がある。これらをしっかり覚えておけば、無駄な作業を増やさないで済むだろう。また、セルの内容を連続入力できるオートフィル機能の便利な活用方法についても確認して、日頃の業務にお役立ていただきたい。

第1回「押さえておきたい基本テクニック」はこちら

第2回「便利なワンランク上のテクニック」はこちら

第3回「基本的な関数を身に付ける」はこちら

第4回「ミスを防ぎ効率化を図るポイント」はこちら

第5回「ショートカットキーで作業スピードアップ」はこちら

Excelのコピー&ペースト機能

単純にコピー&ペースト([Ctrl]+[C]→[Ctrl]+[V])をすると、セルの書式(フォントやセルカラーなど)も同時にペーストされる。同じ書式の表同士での貼り付けであればそれで問題ないのだが、書式が異なる表へのコピー&ペーストの場合、書式が崩れてしまうのだ。

この仕様で、手間取った経験のある方は多いのではないだろうか。いちいち修正するのでは時間がかかってしまうため、Excelの貼り付けのオプションを覚えておきたい。

貼り付けのオプションの表示

貼り付けのオプションを選択する方法は3通りある。

1. コピーをした後、「ホーム」タブ>「クリップボード」>「貼り付け」の下の「▼」をクリック。
2. セルやセル範囲をコピーした後右クリック。
3. コピー&ペーストした後、表示される「Ctrl」アイコンをクリック。
それぞれの方法でオプション一覧を表示したら、該当のアイコンをクリックする。または、「形式を選択して貼り付け」をクリックし、「形式を選択して貼り付け」ダイアログで選択。

貼り付けオプションの種類

貼り付けオプションには「値の貼り付け」「書式貼り付け」「数式貼り付け」「演算貼り付け」などがある。

● 値の貼り付け

値の貼り付けは、貼り付け先の書式を生かして値(文字列や数値)のみを貼り付けたいときに使う。

「値の貼り付け」の欄にはアイコンが3つあるが、最後の1つは値と書式を貼り付けることになるため、注意しておきたい。

アイコン 説明
 (値) コピーしたセルの値のみを貼り付ける
 (値と数値の書式) コピーしたセルの値と数値の表示形式を貼り付ける
 (値と元の書式) コピーしたセルの値と書式を貼り付ける

値の貼り付けは、数式の結果だけをコピーしたいときにも便利だ。

例えば、数式の入ったセルを普通にコピー&ペーストすると、「#N/A」などとエラーが出たり、表の書式が崩れたりしてしまう。そこで「値を貼り付け」にすれば、数式の結果のみがペーストされる。下の例では、「#N/A」と表示されたセルには普通にペースト、「2,200」と表示されたセルには「値を貼り付け」にしている。

● 書式貼り付け

値は変えずに、フォントの種類、文字色、セル色、罫線などの書式のみをそろえたいときに使うのが「書式貼り付け」だ。

ここでは左の表の書式を右の表にペーストした。

「書式貼り付け」は、上記の方法以外にも「ホーム」タブ> (書式のコピー/貼り付け)からも行える。

1. 書式をコピーするセルを選択する。
2. (書式のコピー/貼り付け)をクリックする。
3. 書式をペーストしたいセルまたはセル範囲を選択する。
「書式のコピー/貼り付け」をクリックするのはコピーするときだけで、ペースト時はセルやセル範囲を選択するのみ。
複数箇所に書式をペーストしたいときは、(書式のコピー/貼り付け)をダブルクリックしてから、ペーストするセル、セル範囲を選択していく。

● 数式貼り付け

数式のコピー&ペーストには、「数式」のみを貼り付ける方法と、「数式と数値の書式」を貼り付ける方法がある。数値の書式というのは、%表示や桁区切りのコンマの有無などを指している。

● 演算貼り付け

演算貼り付けは、元の数値を任意の値で除算・乗算・加算・減算した値に変換する方法だ。そのうち除算貼り付けは、1円単位の数値を1,000円単位で表示したいときなどに使うもの。

1/1000にしたい場合は、以下のように行う。

1. 任意のセルに「1000」と入力し、コピーする。
2. 除算したい値のセルを選択する。
3. 「形式を選択して貼り付け」ダイアログで、「値」「除算」を選択し、「OK」ボタンをクリックする。
1000で除算した値に変換される。

乗算・加算・減算も同じ手順で行える。

行と列の入れ替え

コピー&ペーストではないが、「形式を選択して貼り付け」ダイアログを用いて、行と列を入れ替えることも可能だ。

1. 行と列を入れ替えたい表を選択する。
2. 行と列を入れ替えた表をペーストするセルを選択し、「形式を選択して貼り付け」ダイアログを表示する。
3. 「行列を入れ替える」にチェックを入れ、「OK」ボタンをクリックする。このとき、「罫線を除くすべて」を選択しておき、罫線は後から設定し直すことをお勧めする。

オートフィルの便利な使い方

セルの右下にカーソルを当てたときに表示される「+」をドラッグするとコピー&ペーストされる「オートフィル」は誰もが使っているだろう。

ただ、全てのセルに「未」と入力していきたいのに、干支とみなされて「未、申、酉…」と入力されてしまった、「1、2、3…」と入力したいのに「1、1、1…」と同じ数値が入力されてしまった、などといった経験はないだろうか。いま一度、オートフィルの使い方を復習しておこう。

連続した数値

「1、2、3…」「100、200、300…」など連続した数値を入力したいときは、基準となる数値を2つ入力し、その2つのセルを選択した状態でドラッグする必要がる。「100」という数値をコピーしていきたいときは「100」と1つのセルに入力してドラッグしよう。

日付と曜日

日付と曜日を入力し、2つのセルを選択してドラッグすると以下の左側のように入力される。

そこでオートフィルで入力したあとに表示される「オートフィルオプション」をクリックすると、日付値のメニューが表示される。ここで表示されるのは、「連続データ(月単位)」を選択すると、月ごとの連続データだ(ここでは月初)。

その他のオートフィル

オートフィルをするときに、右クリックしながらドラッグするとオプションメニューが表示される。ここで、「セルのコピー」「連続データ」を選択すれば意図しないオートフィルが働くことを回避可能だ。

また、「書式のみコピー」を選べば、セルの色やフォントなどもオートフィルで変更できる。

このように、コピー&ペースト機能、そしてオートフィル機能を正しく覚えると作業時間削減につながる。貼り付けオプションには「値の貼り付け」「書式貼り付け」「数式貼り付け」「演算貼り付け」などがあり、オートフィルは、セルのコピー、連続データ以外にもさまざまなオプションがあることは覚えておきたい。