営業支援

成果が出せるオンライン営業を考える

掲載日:2020/12/23

テレワークに潜むセキュリティの落とし穴

従来の「足で稼ぐ」フィールドセールスに対して、近年増えているのが内勤でWebや電話を使って行うインサイドセールス。コロナ禍でフィールドセールスが難しい中、インサイドセールスは強制的に加速せざるを得ない状況だ。しかしながらオンラインで行う営業は、対面での営業に比べて成果が出にくいのではないかという声もある。そこで、オンライン商談システム「RemoteOperator Sales」を販売し、自社でもオンライン営業を行っている株式会社インターコムにそのポイントを聞いた。

オンライン営業は顧客との関係が深くなる

上林 鼓太郎氏
株式会社インターコム
営業本部
東日本営業部
第二営業部
サブグループ長
上林 鼓太郎氏

営業をオンラインに切り替えると、営業先との関係が希薄になるのではないかという不安を抱く企業も多いのではないだろうか。

株式会社インターコム 営業本部東日本営業部第二営業部 サブグループ長の上林 鼓太郎氏によると、「実際にオンライン営業をメインにすると、顧客との関係が深くなるケースも多いです。訪問営業だと10分の会話だけで切り上げるというわけにもいかないですが、オンラインなら何か相談などがあったときに気楽に10分、15分といった短い時間で話をすることができます」とのこと。

つまりオンラインを利用すれば、対面での営業に比べて短い時間でも気軽に顧客と対話ができるようになる。

ただし、オンラインでは行えないことはもちろんある。例えば手触りや香り、味などは実際に手に取ったり食べてみたりしない限り確認ができない。それを補うにはどうすればいいのか。

「弊社の顧客の中にはオンラインで伝わらない部分は、営業先に事前にサンプルを送って実際に触ってもらう、動画を作成してイメージをつかんでもらう、といった対応をされている企業様もあります。工夫することによって、対面でしかできないこともしっかり補えているようです」(上林氏)

従来、オンライン営業に向いているのは、IT系の特にサブスクリプション型製品を展開する企業だとされてきた。

同社のRemoteOperator Salesを導入する企業の業種も当初は無形商材を扱う企業が多かったが、徐々に有形商材を扱う企業にも広がっているという。では、いったいどのような業種で導入されているのだろうか。

「いわゆる接客業、具体的には不動産やウエディング業界でも導入いただいています。また、ある百貨店では、ECサイトではカバーできないアドバイスやおすすめをオンラインで行ってコンシェルジュ的に利用したい、と導入を進めているケースもあります」と上林氏は話す。

確かに今までは店舗に出向かないといけなかったシチュエーションも、最近ではオンラインでフォローするといったケースを見かけるようになった。コロナ禍での外出自粛により、オンラインで済むことはわざわざ対面で行う必要がないといった意識も浸透しつつあるようだ。

購入者の意識も変わってきている

コロナ禍をきっかけに意識が変わってきたのは営業する側だけではなく、購入する側も同様だ。

「以前なら、これは対面で説明を聞かないと…と言っていたお客様でも、感染リスクもあってオンラインでの商談をすんなりと受け入れていただけるようになっています。そのため、対面での営業からオンライン営業への移行は、かなりハードルが下がってきているのではないでしょうか」と上林氏は話してくれた。

また、オンライン営業を始めたことによりフィールド営業だけでは難しかった遠方の顧客へのアプローチも可能になり、都心と地方の垣根がなくなるなど、コロナ禍で仕方なくオンラインに切り替えた企業でもそのメリットを大きく感じているとのことだ。

オンライン営業にあるといいツール

これからオンラインを始める、またはオンライン営業を拡大していくために使えるツールにはどんなものがあるのかも確認しておこう。

1. SFA/CRM

SFA(営業支援システム)とCRM(顧客管理システム)は、営業形態にかかわらず業務をコンパクトにするために便利なシステムだ。

オンライン営業のみならず、営業活動において顧客や営業の進捗状況を管理し、営業部署全体で情報を共有しておくことが便利なのは言うまでもないだろう。

2. MA

MA(マーケティング・オートメーション)は、マーケティング業務を自動化・可視化するツール。リード(見込み客)をリスト化し、適切なタイミングで営業をかけるのに有用だ。

3. オンライン商談ツール

オンラインでの営業に最も大切だといえるのはオンライン商談ツールだ。Web会議システムやチャットツールでも画面を見ながらの会話は可能だが、商談に特化したツールのほうがさらに優位だ。

川又 諭氏
株式会社インターコム
営業本部 東日本営業部 第二営業部 グループ長
川又 諭氏

株式会社インターコム営業本部東日本営業部第二営業部グループ長の川又 諭氏によると、オンライン商談ツール RemoteOperator Sales導入についての問い合わせは今年4月以降昨年比で5~6倍にも増えているという。

「今はオンライン営業への過渡期で、これからもまだ変化していくでしょう。ドアノックとしてRemoteOperator Salesを取り入れて大切なコミュニケーション部分を強化したうえで、SFAやCRM、MAへとつなげていくやり方もあるのではないでしょうか」と川又氏は語る。

では、一般的なWeb会議ツールとオンライン商談に特化したRemoteOperator Salesでは何が違うのだろうか。その大きな違いは、Web会議ツールでは音声通話もツールを通して行うが、RemoteOperator Salesでは音声通話は電話を使う点にある。

「Web会議ツールで時間を決めておいても、営業先顧客がなかなかオンラインにならず結局電話をかける羽目になることもあります。そこで、まず電話で通話をしてからオンライン商談ツールをつないで資料やデモンストレーションを見せるという形式にしています。オンライン通話では音が途切れるなどのアクシデントもあり得ますが、電話ならその心配がありません」(上林氏)

さらにRemoteOperator Salesは相手が使っているデバイスを把握する機能もある。それにより相手がスマートフォンで話していることが分かったら、スマートフォンに合った資料の見せ方をするなどを臨機応変に変えることもできるのだ。

また、資料をダウンロードしてもらいたいときには、ダウンロードボタンを表示することも可能だという。

オンライン営業で大事なことは

ツールさえそろえれば、オンライン営業が成功するわけではない。まずは社内全体で意識を変えて、コンセンサスをとることが大切だ。

「営業は足で稼ぐべき」という考えを否定するのではなく、オンライン営業のメリットをしっかり社内全体に共有し、意識を揃えていくことが大事なのである。

オンライン営業と従来のフィールド営業の使い分けも必要になってくるだろう。移動に30分以上かかるならオンライン、それより近い場合は訪問などと線引きのルールをあらかじめ社内で決めておくのもいいのかもしれない。

オンライン営業のポイントを「細かいことですが」と前置きしたうえで、上林氏が教えてくれた。

「Webカメラの設置位置が顔より下にあると相手を見下ろすことになるので、目線の高さに合わせると感じがよくなります。資料の作り方も、オンラインを意識して、1ページに多くの情報を盛り込まず、スライドを増やしてページをめくることで見せるようにすることがポイントです。文字サイズは30ポイント以上にしておくと、PCであってもスマホであっても見やすいものになります」。

こういった小さな工夫の積み重ねが成功につながる。

オンライン営業を始めたことで、営業件数が増えてうれしい悲鳴を上げている企業も少なくない。ツールをうまく取り入れて、オンライン営業を加速させていきたい。