テレワーク

リモートワーク時代の人事評価制度とは?

掲載日:2020/12/23

リモートワーク時代の人事評価制度とは?

コロナ禍を受け急速に普及したリモートワーク。多くの企業が準備期間を置かず在宅勤務への切り替えを余儀なくされたこともあり、リモートワークを巡る課題は多い。例えば、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが制約されるリモートワークでは、情報が断片化する傾向がある。そのため管理職と部下の間に認識のズレが生じ、公平な人事評価が難しくなるのだ。

人事評価が企業の成長を左右する

コロナ禍においても企業の業績を上げ続けるためには、労働生産性を高めていくことが必要不可欠である。労働生産性を向上させるためには従業員の成長が課題であり、企業がいかに従業員のモチベーションを維持できるかがカギとなる。

そこで大きな役割を果たすのが、企業の中長期的な目標と連動した人事評価の仕組みだ。目標に対する努力が給与という評価に反映されることで、従業員のモチベーションが維持されると考えられるからだ。

ではなぜリモートワークだと人事評価が難しくなるのか? その理由と解決策について考えていきたい。

リモートワークでは人事評価に必要な情報が断片化してしまう。そういったなかで公平な評価をすることは大きな課題となっている。コロナ禍を受け、急遽リモートワークに移行した企業の場合、その課題は定期人事異動後に表面化するとの指摘がある。これまでオフィスで顔を合わせて働いてきたメンバーと新メンバー、果たして公平に評価することはできるのだろうか。

公平に評価をしていくためには、評価項目の明確化は欠かすことができない取り組みといえる。こうした仕組みが未整備である場合、まずはそこからスタートする必要がある。

企業が求める評価項目を明示したうえで、達成度に応じて人事評価を行う。目標が売上として設定できる営業部門以外は、達成度の評価が難しいと考えられがちだが、決してそんなことはない。

例えば、総務・経理部門であれば「コピー用紙削減のアイデアを全社朝礼で提案することで、前年比20%の削減を目指す」「月に2度行ってきた経費精算を月1回集中的に行うことで、ミスをゼロにする」など、従業員の成長を促す多様な目標設定が可能だ。

近年、人事評価パッケージシステムを導入する企業も増えている。さまざまな業務に対応した目標と評価の物差しが利用できる点がメリットとなるようだ。

評価項目を明確化したうえで、この仕組みが従業員の成長に貢献していくには、達成度に応じたアドバイスをはじめとするフォローアップが不可欠だ。

管理職や人事部門との間で定期的に面談を実施し、達成状況の客観的分析とアドバイスをすることで、従業員の成長を促せる。定期的なコミュニケーションは、公平な人事評価をするうえで重要な役割を果たすに違いない。

リモートワークにおける人事評価の課題とは?

今までの働き方であれば、仕組みを整えることによってそれなりに公平な評価ができるかもしれない。しかし、リモートワーク環境における人事評価の場合はどうか。

オフィスと違い、互いの顔が見えない中での人事評価の難しさについて考えてみよう。

リモートワークを実践し、コミュニケーションにおける表情や振る舞いなど、言葉以外の多様な情報の重要さに改めて気づかされた方も多いだろう。

ミーティングや日報をWebツールに置き換えることは容易だが、そこから漏れ落ちる情報にも価値がある。仕事への姿勢や熱意はその分かりやすい例だ。また、オフィスであれば気づけたはずのモチベーション低下を見逃してしまうことも十分考えられる。

リモートワークを人事評価という視点で考えた場合、各従業員へのフォローアップをどう実現していくかがまず大切になる。

従業員の勤務態度を把握し、アドバイスや注意喚起を必要に応じて行うには、定期面談の頻度を高めることが有意な対策だ。幸いリモートワークでは、通勤時間だけでなく電話の取り次ぎ対応や移動などに費やされてきた時間も大幅に削減されるため、面談時間を捻出することも以前に比べて容易になる。

また、設定した目標の達成度を可視化する仕組みを用意することも大切だ。その際、売上や利益率などの数字に基づいた目標設定が難しい部門における対応が問題になるになる。業務に応じた目標設定をフォーマット化して提供する人事評価パッケージシステムの導入は解決策の一つになりそうだ。

人事評価システムを活用すれば、達成状況の共有も容易になるうえ、面談をより有意義なものにすることができる。

企業にとって従業員は財産。正しい人事評価は「従業員への感謝」といえる

離職者を対象とした調査では、「努力と給与が見合っていない」は常に上位にランクインする離職理由の一つだ。

労働人口が減少に向かう中、人材確保はこれまで以上に難しくなることは間違いない。人材育成とともに、育成した人材が働き続けられる環境の構築は今後さらに強く求められる。その際に大きな意味を持つのが、横並びの人事評価からの脱却と、誰もが納得できる人事評価の仕組みの構築にあることは明確である。

コロナ禍で浸透しつつある新しい働き方のなかでは、それぞれの努力と目標達成に対して正しく評価することがこれまで以上に重要になる。

管理職や人事担当者は、より従業員のフォローアップに力を入れることに並行して、目標管理などの機能を実装する人事評価システムの採用も検討してみてはどうだろうか。

◆リモートワーク時代の人事評価チェックポイント!
□業務の成果だけで判断していないか
□どれだけ自分を管理できているか
□オンラインツールは整備されているか
□コミュニケーションは取れているか
□新しい評価基準の策定はできているか