DX

ニューノーマルといわれる新しい時代で必須な企業のDX

掲載日:2020/12/23

ニューノーマルといわれる新しい時代で必須な企業のDX

新型コロナウイルスの感染拡大でビジネスのあり方や働き方が大きく変化するなか、ITによりビジネスを変革する動き、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の必要性がますます高まっている。ニューノーマルと呼ばれる予測困難な未来を生き抜くために、企業はどう変わらなければならないのだろうか。

新型コロナ感染拡大でシステム刷新の遅れが明らかに

経済産業省の「DX推進ガイドライン」では、「DX」について以下のように定義している。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること」

これを見ると、非常に広範囲に及ぶ改革が必要であることがわかる。

ひと口にDXといってもその目的や方法は一様ではなく、それぞれの企業の置かれている状況や目指すべき方向性によってアプローチが異なってくるといえる。しかし共通して言えるのは、今までと同じような働き方では、いち早くDXを推進している新たな競合相手に太刀打ちできなくなる恐れがあるということだ。

そのためにも、他に先んじて変革を推し進めなければならないが、多くの日本企業はDXを推進するに当たって大きな不利を抱えている。それは、業務プロセスのデジタル化やAI、IoTなどの活用を妨げる「レガシーシステム(旧世代のシステム)」の存在である。

経済産業省は2018年9月に発表した「DXレポート」で、最新システムへの更新が思うように進まなければ、2025年には日本全体で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘している。いわゆる「2025年の崖」問題だ。

「DXレポート」の発表からすでに2年以上が経過しているが、その後も日本企業におけるレガシーシステムの刷新が大きく進んだとは言い難く、その事実は図らずも新型コロナウイルスの感染拡大によって露呈することになってしまった。

緊急事態宣言の発令によって、多くの企業が在宅勤務を導入せざるを得なくなった結果、社員同士のコミュニケーションやコラボレーションが寸断され、ビジネスが止まってしまったという例は枚挙に暇がない。

テレワークのための仕組みや、社員がオフィスに集まらなくても業務プロセスが回るようなシステムを整えておかなかったために、事業活動がストップしてしまうという最悪の事態を招いてしまったのだ。

いったん変わってしまった働き方が元どおりになる可能性は低く、変化し続ける「ニューノーマルの働き方」に合わせて、より柔軟に対応していく必要がありそうだ。

企業ごとのニーズに合ったDXの提案を

ニューノーマルの時代においては、働き方だけでなくビジネスのあり方も大きく変わる。なぜなら、顧客の価値観やライフスタイル、消費行動が、今までとは異なるものになってくるからだ。

感染リスクを恐れて“巣ごもり消費”が盛んになった結果、食事のテイクアウトやデリバリー、家庭で楽しめるストリーミング動画サービスなどの需要が高まったのは典型的な例で、こうした消費動向の変化をいち早く察知し、顧客が求める商品・サービスをタイムリーに提供するためにもDXが不可欠である。

DXと言うと、何やら難しい技術や仕組みを思い浮かべるかもしれないが、すでに日常的なサービスの中にもかなり浸透している。スマートフォンに表示した二次元バーコードで、キャッシュレス決済を行うサービスもその一つだ。

レジの作業が省力化され、待ち時間が短くなることで、従業員、顧客それぞれの満足度が高まるだけでなく、決済データを活用することで商品の売れ筋や顧客ニーズも分析できる。従来の決済方法をデジタルに変えることによって、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)が向上し、データドリブンな事業展開が一気に実現するのである。

また、ECサイトが「この商品を購入した方は、こんな商品も買っています」といったレコメンドサービスを提供しているのもDXの一例だ。EC上に蓄積された膨大な顧客の消費行動データをAIで分析し、似通った消費行動をしている顧客に提案を行うのである。

このように、DXは単なる業務効率化だけでなく、既存ビジネスの改善や、ビジネスモデルそのものの変革をもたらすきっかけになるが、大切なのは、「自社にとって、どんなDXが望ましいのか?」というビジョンを明確にしたうえで変革を進めていくことだ。

実際にDXを推進していくうえでは、先ほども述べたレガシーシステムをいかに刷新し、効率よく運用していくかということも大きな課題となり、中堅・中小企業の場合、社内のIT専任者が不足していることが変革のネックとなっているケースも多い。

そうした企業をサポートするためには、まず、どんな課題を抱え、何が解決のための障害になっているのかを浮き彫りにしたうえで、導入から開発、運用にいたるまでのトータルな解決策を提案することが望ましい。

ニューノーマル時代を生き抜いていくために、企業ごとのニーズにかなったDXのあり方を提案することが大切である。