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電子承認システムにビジネスチャンス到来!

掲載日:2021/01/12

電子承認システムにビジネスチャンス到来!

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業でテレワークが導入される中で、大きな問題として浮上したのが印鑑を捺すための出社だった。特に印鑑での捺印が多い官公庁ではその影響が顕著だ。それを受け、現在日本政府が進めているのが「印鑑廃止」「電子承認への移行」の動きだ。ビジネスチャンスにもつながるこの流れに乗るために、電子承認の基礎知識と電子承認システムについて理解しておこう。

電子承認には種類がある!?

はじめに、電子承認と呼ばれるものの中身について説明しよう。電子承認とは紙にサインや印鑑を捺すのと同じように、電子化された文書に捺印や署名ができるシステムのこと。主な電子承認には「電子署名」「電子サイン」「電子印鑑」の3つの種類がある。それぞれ詳しく見ていこう。

●電子署名

電子署名は実際の印鑑でいうと「実印」に当たる。2001年4月1日に「電子署名法」が施行となり、電子署名は手書きの署名や押印と同様に通用すると法的にも認められている。第三者機関(電子認証局・時刻認証局)を通じて発行された電子証明書とタイムスタンプにより、文書の本人証明や改ざん防止ができ、より厳格な電子文書をつくることが可能だ。

「電子署名と電子証明書」の関係は「印鑑(実印)と印鑑証明書」と同様と考えてよい。第三者機関を通じて行うので、容易かつ頻繁に使うものではない。紙の契約書において実印を押印するような重要な契約書に限って利用される。

●電子サイン

電子サインとは、電子契約において意思表示などをするためのプロセス全般を指す。
以下のようなものは全て電子サインの一種だ。
・メールアドレス・パスワード、企業ID、ソーシャルIDなどでの承認
・タブレットなどに表示された署名欄への自署サイン
・電子署名
認印、銀行印等届出印、実印が利用シーンや法的効力の程度が異なるのと同様にどの電子サインを利用するかは電子文書の重要性によって決まってくる。第三者機関を通さない電子サインは比較的容易に利用可能であり、見積書・請求書、領収書などの日常的な業務での活用に適している。

●電子印鑑

電子印鑑とは印鑑でいえば、シャチハタなどの「スタンプ式印鑑」のようなもの。印影を画像データ化し、紙文書に押印するように電子文書への押印を可能とする。電子印鑑があれば、PDFやWord、Excelなどで作成された文書に簡単に押印できる。模倣が容易であることから、トラブルになったときに証拠としては弱い。社内を中心とした文書への利用にとどめたほうが無難だろう。

電子承認システムとは

電子承認システムとは、申請から承認に関わる一連の流れを全て電子上で一貫して管理することができるシステムのこと。承認者がテレワークで同じオフィスにいないなどの場合にも文書のチェックや承認を行うことができる。承認システムを導入すれば無駄な紙を使うこともなくなり、ペーパーレス化が実現できる。紙の書類が減ることで、今まで大量にあった書類の山も整理しやすくなり、メリットも多そうだ。では、電子承認システムはどのように選べばいいのだろうか。

●電子承認システムを選ぶうえでのポイント

電子承認システムの選定に当たっては、セキュリティや既存システムとの連携など、以下の3つに留意する必要がある。それぞれのサービスをよく比較して、顧客に合った電子承認システムを提案することが重要だ。

① セキュリティへの対応

電子承認システムでは重要情報を取り扱うことが多いため、最も大切なのはネット上で安全に重要情報を送受信できることだ。必ずサービスのセキュリティに関する情報をチェックし、セキュリティ対策のアップデートが頻繁に行われているか、問題が起きた時にどのように対処したのかなどもチェックしておこう。

② 使用しているサービスとの連携

電子承認システムでは顧客情報や契約情報をクラウドで一元管理する。これらのデータを有効活用したいと考える場合もあるだろう。そのため、他機能との連携がどのくらい可能か、特に提案先の企業が使っている既存サービスと連携できるのかが重要な選定ポイントとなる。事前に連携できるサービスを確認しておこう。

③ 扱っている書類への対応

電子承認システムでは多彩な文書の取り扱いが可能だ。大抵の文書は問題ないため見落としがちだが、中には法律上適用できない文書、特殊な対応が必要な文書も存在する。導入しようとしているシステムが、提案先の企業が実際に利用しようとしている文書に対応しているかを確認しておく必要があるだろう。

注目の電子承認システム「Adobe Sign」

この電子承認システムで今注目を集めているのが、アドビ社が提供している「Adobe Sign」だ。同製品を知ることで電子承認システムの商機を知ることができるだろう。

そこで、アドビ株式会社デジタルメディア事業統括本部大塚商会営業部 部長の山村孝幸氏に話を伺った。

まず、新型コロナの感染拡大前後での問い合わせなどの変化について聞いてみると「新型コロナは『Adobe Sign』の案件創出数に大きく影響を与えており、その前後でアドビ社での案件創出数には大きな差があります。具体的な数字でいえば、2020年度の『Adobe Sign』案件創出数は、昨対比で25倍以上にもなります。実際に毎四半期ごとに案件創出数が伸長しています」と電子承認に関しては、かなりの案件増になっていることが分かる。

山村氏が担当している大塚商会に限っていえば「クローズした案件数も2020年は昨年比16倍以上にもなっています。また、弊社の大塚商会営業部メンバーも昨年より増員し、急増するさまざまな業種の顧客からの『Adobe Sign』のお問い合わせに対して日々積極的な提案活動を展開しています」とのことだ。

最後に 、「Adobe Sign」の強みについて聞いてみた。「無償版Acrobat Readerで月2回、有償版Acrobatでは年間150件の電子サインを使用でき、有償『Adobe Sign』法人版も選択頂けるなどラインナップが充実しています。また『Adobe Sign』の強みの最も重要な点は、契約した文書データの将来的な見読性を保証していることです。そのほかに、弊社以外のクラウドサービスと柔軟に連携可能であることも大きな強みとなります」と解説してくれた。

山村氏の話からも分かる通り、電子承認システムは、今大きなビジネスチャンスが到来しているといえるだろう。新型コロナウイルス終息の兆しも見えないなか、国をあげて脱ハンコの動きもある。このビジネスチャンスを逃すことのないよう、ぜひこの機械に提案してみてはいかがだろうか。