ワークスタイル変革

テレワーク環境を向上させる
グループウェア活用

掲載日:2021/02/02

テレワーク環境を向上させるグループウェア活用

コロナ禍によって在宅・モバイル・サテライトオフィスでのテレワークを推進する企業が増えている。それに伴い注目されているツールの一つがグループウェアだ。コミュニケーションツールといえば、チャットやWeb会議ツールもあるが、グループウェアとそれらのツールに違いはあるのか、また導入する企業はどこにメリットを感じているのか。「サイボウズOffice」を始めとするグループウェアを20年以上取り扱っているサイボウズ株式会社に聞いた。

グループウェアとチャット・Web会議ツールの違い

グループウェアは一言で説明するなら、社内やチームで活用する「情報共有ツール」だ。掲示板やメッセージを使った通達やコミュニケーション、スケジュール・タスク管理などを行うことができる。

サイボウズOfficeを例にすると、下記の機能が用意されている。
●スケジュール
●掲示板
●ファイル管理
●メッセージ
●メール
●ワークフロー
●報告書
●アドレス帳
●プロジェクト
●ToDoリスト
●タイムカード
●カスタムアプリ

足立宜親氏
サイボウズ株式会社
パートナー第1営業部
足立宜親氏

サイボウズ株式会社の足立宜親氏によると、グループウェアを使う最大のメリットは社内やチーム内での情報格差をなくすことにあるという。

コミュニケーションや情報共有の問題なら、チャットツールやWeb会議ツールでも解決できそうだが、グループウェアを導入するメリットはどこにあるのか。

「テレワークでは、Web会議ツールを活用することが多いですが、参加者が同じ時間に参加することが基本となります。またチャットは後からも参照できますが、やはりリアルタイムなやりとりがメインとなります。もちろん後から録画を見る、チャットの流れをたどるなども可能ですが、基本は同じ時間に使うのが前提になり、参加した人、できなかった人などメンバー間で情報格差が生じるケースがあります。それをカバーできるのが情報をストックして自分のタイミングで見ることができるグループウェアなのです」

グループウェアの大きなメリットは、欲しい情報に容易にたどりつけることにある。例えば、スケジュールの機能を例にとると、そこに記入されている過去の会議を開けば、その会議にひも付いたコメントや議事録を通して素早く内容を把握することができる。休暇などで1週間業務を離れていたとしても、スケジュールのUIからなら過去1週間に何が起きたのか一目で分かる。そこから必要な情報にアクセスすれば効率的だ。

チャットの履歴やWeb会議ツールの録画から情報を得ようとすると、かなりの時間を割くことになりかねない。

また、会議や営業活動などをスケジュールに入れるときはコメントをつけて参加者に送ることができる。スケジュール変更が必要になった時などもここで連絡を取り合えば簡単かつ確実だ。

スケジュールは全体に共有され、議事録なども閲覧することができる

サイボウズOfficeでユニークなのは、PC版では、あえてプッシュ通知機能を付けていないということだ。

「チャットは通知が来るたびにチェックしなければならず、便利であるものの集中が遮断されやすいという声もあります」(足立氏)

そのため、サイボウズOfficeでは自分に都合が良い時間に情報を確認するようにと考えられている。

ただし、リアルタイムで情報を追っていたいケースに備えて、モバイル版ではプッシュ機能を付けている。

チャットにはスピード感や同時にやりとりができる同期性などの特長があるが、グループウェアには、自分のタイミングで情報を取りに行けるというメリットがある。そのため「グループウェアは、チャットやWeb会議ツールの併用をお勧めします」と足立氏は言う。

非同期での情報共有はグループウェアで、従来の電話に代わるリアルタイムでの会話はチャット・Web会議と使い分けることで、より確実な情報共有を実現することができるのだ。

グループウェアは新人研修や業務引継ぎにも有用

新人の業務日報を社内全体で共有することで上司以外のメンバーからもアドバイスを受けることができる。

サイボウズのグループウェアは実際にどのように使用されているのだろうか。

足立氏によると、「掲示板」機能で日報を掲示している企業があるという。グループ内の誰もが見ることができるようになっているため、上長が確認するだけにとどまらない。活動中に生じた疑問や不安に思う点を日報に書き込んでおけば、解決策を知る同僚からのコメントが付く。その業務に関連した有用な情報をもらうことも可能だ。

グループ内の複数の人が見るということで、よりていねいに日報を書くようになり、その時点で自分での気づきになることもあるという。

掲示板に記載した情報はデータとして残るため、配置換えや転職により担当者がその業務を離れた場合も、後任は該当業務の履歴を追える。引継ぎのために、引き継ぎ書を作ってレクチャーしていた時間が削減されるというわけだ。

またこうした機能は、これから訪れるコロナ禍での新人研修にも有効となる。

「対面での研修ならその場で隣の人に聞いて確認することもありますが、オンラインではそれができません。グループウェアを使った新人研修では、研修を聞きながら新入社員が新人用のスレッドに分からないことをどんどん書き込んでいくという使い方をしています」(足立氏)

名刺交換の方法など、実際に目の前で行えば簡単に伝わることもオンラインでの研修では分かりにくい。そんな場合「名刺入れはどこに置いておけばいいのでしょうか?」という質問をスレッドに書き込んで、あとで講師がそれを見て講義の最後に回答するなど、グループウェアを使うことでより充実したオンライン研修を行うことができるのだ。

また、掲示板機能では、業務外のコミュニケーションや部活動に使用されているケースも多い。「出張先のランチ、おすすめのところはありますか?」などといった情報を他地方の従業員から得られるなど、グループウェアならではの使い方だろう。

テレワークが増えると、一見所属部署以外の従業員とのコミュニケーションをとる機会は激減してしまうように感じるが、それもグループウェアで補っていけるのではないだろうか。

チャットやWeb会議では特定の相手とのやりとりに限定されてしまうが、グループウェアでは普段接することのない社員とも業務内外でやりとりの範囲が広がっていく。

グループウェアを導入している意外な業種

グループウェアは、営業やバックオフィス、IT系企業はじめデスクワークで使われているイメージだが、業種について足立氏に聞いてみると「農業、福祉、保育や工場などの現場でも用いられている」という。

足立氏によると、「グループウェアサービスはたくさんありますが、弊社は20年以上の歴史があり、使い勝手と分かりやすさにこだわって取り組んできました。その結果、画面が分かりやすく、操作が簡単という理由で、ITに弱いと思われている業種においても選ばれるケースが多いですね。また60歳以上のユーザーが利用している企業も多いです」

グループウェアの商機はここから拡大する

コロナ禍においてサイボウズではグループウェアへの問い合わせは増えているものの、導入数が激増しているといるような現象は現段階ではまだ起きていないという。

しかし、テレワークが一時的なものから継続的なスタイルへと変化していく中で、Web会議とチャットに加えて、情報共有に特化したグループウェアへのニーズはこの先大きく伸びていきそうだ。

在宅ワークから、一歩進んだ「場所も時間も問わない新しい働き方」の提案、そしてそれに有用なグループウェアを、お客様に伝えていきたい。

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