サービス業

コロナ禍で需要が急拡大する
「体表面温度測定サーマルカメラ」

掲載日:2021/02/09

コロナ禍で需要が急拡大する「体表面温度測定サーマルカメラ」

新型コロナウイルスの感染拡大はいまだ続いており、社会に大きな影響を与えている。二度目の緊急事態宣言は、飲食業や宿泊業といったサービス業を中心に、さまざまな業種・業界で感染防止対策の重要性を改めて認識させることとなった。そんな中で需要が拡大しているのが、来訪者の体温(体表面温度)を非接触で測定できるサーマルカメラだ。設定温度よりも体温が高い人をリアルタイムで検知してスクリーニング(振るい分け)することで、人の手を使わず効率的に感染防止対策を実施できる。

なぜサーマルカメラが注目されているのか

病院や大型店舗の入り口で見かけることの多くなったサーマルカメラは、赤外線を使って人や物の熱を非接触で計測することを目的としている。

最近ではAIを搭載して“人”に対する認知精度を向上させている製品も多い。こうした高性能サーマルカメラは、対象がマスクを着用していても発熱状況を高い精度で計測できるほか、複数人を同時に計測できるタイプの製品もあるため、スタジアム、ホール、大型商業施設、駅といった大人数が通行する場所でも効果を発揮する。

また、カメラの計測結果に沿って、対象者の体温をAR画像でリアルタイムに表示するソリューションもさまざまな場所で利用されている。ちなみに、サーマルカメラの計測結果に沿って色付け処理をした画像が、サーモグラフィだ。

サーマルカメラの導入には、次のようなメリットがある。

●来訪者の体温をリアルタイムで計測し、発熱者を素早く検知できる
●AIによって認知精度を高め、複数人を同時に計測することができる
●非接触で検温する人員を最小限に抑えられる
●設置や移動が簡単
●機材が小型なので小規模な店舗やオフィスの入り口にも設置可能
●感染防止に積極的であることをアピールできる

サーマルカメラが感染防止対策に効果的なことはもちろん、積極的に取り組んでいる姿勢を分かりやすい形で顧客にアピールできる。そのため、サーマルカメラを今すぐ導入したいと考えている店舗や企業は非常に多く、魅力的な商材といえるだろう。

サーマルカメラのタイプ

一般的にサーマルカメラは「タブレットタイプ」「タレットタイプ」「ハンディタイプ」に大きく分類できる。

タブレットタイプはカメラで撮影した画像および計測結果をリアルタイムで液晶に表示することができる設置型のサーマルカメラで、三脚などに固定して設置する。液晶と一体になっているため導入コストが比較的安く、測定結果をAR画像として表示できる機能を持っていることが多い。

タレットタイプも設置型のサーマルカメラだが、三脚に固定する以外にも、天井や壁に固定して設置するものもある。タレットタイプは、複数人の同時体温測定や入館システムと連動した監視カメラとして利用するなど、高性能な運用をする際に導入されることが多い。

ハンディタイプは手に持って利用するタイプのサーマルカメラで、どこでも利用できるというメリットがある反面、検温に人員が必要になるというデメリットもある。

どのタイプを導入するかは顧客がどのような運用をしたいのかによって異なるが、最も手軽なのはハンディタイプ、高性能な運用をするのであればタレットタイプを選択することいいだろう。

タブレット型のサーマルカメラには、パナソニックの頑丈タブレット「TOUGHPAD FZ-M1J」の温度センシングモデル、NSSの「アクセスコントロール&サーマルAIカメラ」などがある。機能、コスト、設置や設定の容易さなど全体のバランスから、タブレットタイプを提案することが多くなりそうだ。設置型なので、検温のための人員を入り口に待機させる必要がないことも大きい。

タレット型はサーマルカメラだけではなく、PC、ネットワーク機器、デジタルサイネージなどと併せた統合的なソリューションとして提供されることも多い。しかし、NSSの「体表面温度測定サーマルカメラ(ドームタイプ/ガンタイプ)」であれば、Windows PCとLANケーブルで接続するだけで運用できるほか、PoEハブによる給電も可能だ。最大20名の体温を同時計測(スクリーニング)できるため、人の往来が多い入り口に設置するのにも適している。

最後にハンディタイプのサーマルカメラだが、これを扱っているメーカーは非常に多く、機能や値段もさまざまだ。しかし、NSSが扱っているハンディタイプのサーマルカメラは、PCに接続することが可能であるほか、三脚に固定して運用することも可能だ。

運用イメージを明確に適切な提案を!

コロナ禍でサーマルカメラが特需となっているのは明らかだが、「すぐに運用を開始したい」という顧客の要求を重要視するあまり、運用イメージを明確にしないまま提案するのは危険だ。

例えば感染防止対策として導入するサーマルカメラは入り口に設置する必要があるが、あまりにも外に近い位置に設置すると正しく温度を計測できない。また、大勢の人が出入りする場所に一人ずつ立ち止まって計測するタイプのカメラを導入すると、通行が妨げられてソーシャルディスタンスを保つことが難しくなり、感染リスクを高めてしまうことにもなりかねない。

設置場所や人の出入りの量などを想定し、どのタイプが適しているのか見極める必要がある。

また、一定以上の発熱をしている人を検知した場合、その後どのような対応をするのかも決めておく必要がある。アラートの方法だけでも、担当者全員のスマートフォンに通知する、その場で警告音や音声アナウンスを流す、他の人に知られないように担当者だけに通知するなどさまざまな方法があり、どのような運用をしたいかによって導入しなければならないソリューションは異なる。

さらに、検知した対象者をどのように扱うか(入館をお断りする、別室に案内する)などについても、事前に取り決めておく必要がある。サーマルカメラを提案する際には、顧客がどのような運用をしたいかを明確にすることが非常に重要となる。

運用イメージを明確化し、顧客の要望に沿った提案ができれば、サーマルカメラは非常に魅力的な商材だ。不特定多数の人々が利用する施設でサーマルカメラを導入する場合には、政府の「特別事業支援補助」が適用されるため、導入負担を軽減できる上、感染防止対策に効果的であり、導入することで感染防止対策に積極的であることをアピールできる。コロナ禍の収束が見えず停滞している今こそ、時流に沿って顧客のメリットとなる提案をしよう。