医療
2021年3月からスタート
医療機関・薬局向けオンライン資格確認とは?
掲載日:2021/02/26
マイナンバーカードの普及に向けて、日本政府は2021年3月よりマイナンバーカードを保険証としても使えるようにすることを決定。その運用にあたって、全国の医療機関や薬局は、マイナンバーカードを読み取って患者の医療保険情報などを確認するための「オンライン資格確認」のシステム整備を進めることになった。だが、実際にはまだ多くの医療機関にその設備は整っておらず、パートナー様にとってのビジネスチャンスが期待できる。そこで今回は、オンライン資格確認の仕組みとそこで求められる端末について解説しよう。
オンライン資格確認に必要な商材はこちら
オンライン資格確認とは
マイナンバーカードが保険証として使えるようになることは前述のとおりだが、受け入れる側に必要となる「オンライン資格確認」のシステムを詳細に把握しきれていない医療機関・薬局も少なくない。
「オンライン資格確認」は、患者のマイナンバーや保険証の情報をもとにオンラインで医療保険などの資格が確認できるシステムだ。目視での本人確認も可能だが、政府は顔認証付きカードリーダーの導入を推奨しており、これを利用すると患者が自身のマイナンバーをリーダーにかざすだけで資格取得が可能になる。
カードリーダーで読み込まれたデータは、「オンライン資格確認端末」を通して支払基金国保中央会の「オンライン資格確認等システム」に送られ、そこから資格情報などが「オンライン資格確認端末」にフィードバックされ、そのデータは、医療機関のレセコン(医療会計)や電子カルテなどにも反映される。
オンライン資格確認により、医療機関・薬局にとっては、事務手続きが簡略化され、コスト低減も見込まれるというメリットがある。
一方、患者にとっても受付が簡単になることや、令和3年秋からは過去のデータに基づいた診療や薬の処方が受けられるようになるなどのメリットが打ち出されているため、2021年3月の制度開始早々にマイナンバーカードでの受診に訪れる患者が増えると考えておくべきだろう。
オンライン資格確認に必要な端末とは
医療機関や薬局では、「オンライン資格確認システム」を用意しなければならない。これは、資格確認を行うWindows端末で、OSはWindows 10 Enterprise LTSCが推奨されている。
必要なソフトは、以下の3点だ。
- マイナンバーカード処理ソフト
- 本人確認用カードリーダーソフト
- オンライン資格確認等連携ソフト
また、このWindows端末は、顔認証付きカードリーダーとの接続と、レセコン(医療会計)との連携が必須となる。
そのため、既存システムの改修やネットワーク環境の整備も必要になってくる。
オンライン資格確認の助成金とは
医療機関や薬局には、端末の導入やシステム改修は負担になるため、厚生労働省保険局ではオンライン資格確認システム導入のための財政補助を行っている。
令和3年3月末までに、顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関・薬局は、次のような補助を受けられる。
病院 | 大型チェーン薬局 (グループで処方箋の受付が4万回以上の薬局) |
診療所 薬局 (大型チェーン薬局以外) |
|||
顔認証付き カードリーダー 提供台数 |
3台まで無償提供 | 1台無償提供 | 1台無償提供 | ||
その他の費用への 補助内容 (レセコン改修等) |
1台導入する場合 | 2台導入する場合 | 3台導入する場合 | 基準とする事業額42.9万円を上限に、実費補助 | |
基準とする事業額210.1万円を上限に、実費補助 | 基準とする事業額200.2万円を上限に、実費補助 | 基準とする事業額190.3万円を上限に、実費補助 | |||
※令和3年3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関・薬局を対象とする |
※その他の費用:1.オンライン資格確認の導入に必要となる資格確認端末(パソコン)の購入・導入、2.ネットワーク環境の整備、3.レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修等。
※消費税分(10%)も補助対象であり、上記の上限額は、消費税分を含む費用額。
出典:厚生労働省保険局「オンライン資格確認導入に向けた追加的な財政補助について」
医療機関・薬局の手続きは、以下のステップで行う。
- 1. ポータルサイトへのアカウント登録
- 2. 顔認証付カードリーダーの申し込み(令和3年3月末まで)
同時に、地方厚生(支)局都道府県事務所等への保険医療機関等の指定申請 - 3. システムベンダーへ見積り依頼・発注
- 4. ポータルサイトでオンライン資格確認利用申請
- 5. 受付業務などの変更点の確認
- 6. 必要書類の受領・準備
- 7. ポータルサイトで、補助金申請
オンライン資格確認では、ネットワークを使うことのセキュリティや、マイナンバーカードを用いることの個人情報保護への問題が懸念点として挙げられ、導入に不安をもつ医療機関・薬局もある。パートナー様は、端末を納品するだけに留まらず、ネットワーク整備とともにセキュリティ対策についても合わせて提案した方が良いだろう。
患者側が、マイナンバーを保険証として使いたいとして訪れる可能性がある以上は医療機関・薬局の対応は必至となる。そうなれば補助制度がある令和3年3月末までに手続きを行ったほうがいいことは、医療機関・薬局側も理解しており、締切前の3月が大きな商機となるだろう。
医療機関・薬局には、次のようなオンライン資格確認システムの導入メリットも伝え、補助金の出る3月末までの申請をすすめていただきたい。
- 患者の保険資格がその場で確認でき、資格過誤によるレセプト返戻が減る
- 患者の薬剤情報・特定健診情報が閲覧できる
- 災害時は、特別措置でマイナンバーカードによる本人確認ができなくても、薬剤情報の閲覧ができる
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