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社内の問い合わせ負荷を軽減
チャットボットのニーズが急増中

掲載日:2021/04/27

社内の問い合わせ負荷を軽減チャットボットのニーズが急増中

コロナ禍によってテレワークが増加したことで、情シスのヘルプデスク業務や総務、人事部門への問い合わせが増加している。こうしたバックオフィスへの問い合わせ負担を軽減するため、社内用のチャットボットの導入を検討する企業が増えている。そこで今回は社内向けFAQチャットボット「Syncpit(シンクピット)」を提供しているエムオーテックス株式会社の営業本部 営業企画部 部長 山岸 恒之氏にチャットボットの最新動向について話を伺った。

コロナ禍で問い合わせが10倍に

コロナ禍でテレワークの導入が進む中、総務や情シス担当の問い合わせ業務が大きな負担となっている。「パスワードを忘れてしまった」「引越しをするが転居届のファイルの保管場所を教えてほしい」など従業員からの問い合わせは日々押し寄せてくる。

問い合わせを受ける担当者自身もテレワークの中で自分の業務を進めている。しかし、問い合わせがあればその都度、作業の手を止めて内容を確認し、適切な対応をとらなければならないため、集中力は途切れ、業務の効率が低下する、といった問題が起きているのだ。

この問い合わせの負荷を軽減するために、チャットボットの導入を検討する企業が増えているという。バックオフィス特化型FAQチャットボット『Syncpit』を提供しているエムオーテックスの山岸氏はコロナ禍による変化について次のように語る。

「『Syncpit』はコロナ禍の前にリリースしました。当時は少しずつユーザー数が増えていくことを予想していましたが、多くの企業がテレワークを導入したことでチャットボットへのニーズが高まり、問い合わせは以前の10倍以上に増え、ご導入いただく企業も一気に増加しました」(山岸氏)

ビジネスチャットとの連携で使いやすさを実現

山岸 恒之氏
エムオーテックス株式会社
営業本部 営業企画部 部長
山岸 恒之氏

Syncpitは、「Chatwork」「Microsoft Teams」「LINE WORKS」「Slack」「Google Chat」といったビジネスチャットと連携させ、ビジネスチャット上でSyncpitのボットに対して質問することで回答が得られる仕組みとなっている。

普段利用しているビジネスチャットから利用できるので、技術的な敷居も低く、誰でも利用できるというメリットがあり、従業員への面倒な使い方の説明も不要となる。

問い合わせ業務の負担を軽減するため、社内マニュアルやFAQを用意している企業は多いが、これらに書かれている情報であっても問い合わせが来るケースは後を絶たない。たくさんの情報の中から、目的の情報を調べる手間をかけるより、聞いてしまった方が早いと気軽に考える人が多いためだ。

この課題をSyncpitは、FAQをボットにセットすることで解決している。ユーザーが問い合わせたい内容をビジネスチャット上で質問すれば、チャットボットが自動応答し、そこで提示されるマニュアルやFAQを読めばユーザー自身で問題を解決することができる仕組みになっているのだ。

「Syncpitは、バックオフィス特化型のFAQチャットボットというコンセプトで開発されているため、プログラミングは不要で、情シスが仕組みを構築しなくても、部門やチームの中で手軽に導入ができます。情シスや総務によく寄せられる質問をあらかじめ150種類以上プリセットFAQとして提供しているため、導入手順に従っていただければ、最短30分で運用を開始できます」(山岸氏)

プリセットFAQは、自社にあった内容に編集もできる。Syncpitのコンソールからも編集できるが、CSV形式でエクスポート/インポートが可能であるため、Excelなど使い慣れたツールでの編集も可能となっている。

なお、気になる導入、運用コストについても、初期費用3万円、1ユーザーあたり月額100円という非常に安価な設定となっている。

「当社ではSyncpitを可能な限り安価にすることで、多くの企業に手軽にご導入いただきたいと考えています。また、60日間の無料期間もあるので、最初は5ユーザーくらいで試用してみて、そのまま導入されるお客様が多いですね」(山岸氏)

サービス連携でメリットが拡大

SyncpitはエムオーテックスのMDM(モバイルデバイス管理サービス)「LanScope An(ランスコープ アン)」、株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供するクラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」と連携が可能で、今後もさまざまなサービスとの連携を計画している。

「例えばLanScope Anと連携すれば、業務用のスマートフォンを紛失してしまった場合、ビジネスチャットからSyncpitのボットに『スマートフォン紛失』と入力すれば、LanScope AnのAPIを利用してスマートフォンの位置を特定する、リモートロックを掛ける、紛失届を提出するといったことが可能になります。

本来であれば、情シスの担当者がLanScope Anの管理コンソールから操作する内容ですが、Syncpitと連携することで、ユーザー自身で解決できるようになります」(山岸氏)

また、KING OF TIME連携では、各ユーザーの勤務実績情報をビジネスチャットで本人に毎日自動通知し、打刻漏れの防止や残業の上限規制遵守、有給休暇取得の促進が可能だ(KING OF TIME連携には月額300円のベーシックライセンスが必要)。

このようにSyncpitと様々なサービスを連携し、ユーザー自身が自己解決できることを増やしていくと、バックオフィス部門はより生産性の高い業務に集中できるようになるのだ。

社内ナレッジの蓄積で業務効率は大きく改善する

Syncpitを導入する基準について山岸氏は次のように語る。

「月に10回問い合わせがあるとすれば、年間で120回の対応になります。それであればチャットボットを導入した方が効率的です。問い合わせる側はちょっとした質問のつもりでも、対応する側にとっては何度も同じことを聞かれ、そのたびに資料を取り出して、送付するなどの作業が大きな負荷となっているのです」

問い合わせの中には『入社時に渡す資料はどこですか?』など毎年同じ質問が繰り返されることも多い。それらをチャットボットに蓄積していくことで、社内のナレッジとなり、問い合わせ業務の負荷は大幅に軽減できるのだ。

「多くの企業でビジネスチャットの導入が進んだ今だからこそ、それらと連携するチャットボットのニーズは今後さらに進むと考えています」と山岸氏。

コロナ禍でヘルプデスク業務の効率化を考えている企業は増えている。そんな時にチャットボットの提案は興味を持って聞いてもらえる可能性が高い商材となるだろう。また、提案の際にはその他サービスとの連携も含めた総合的な提案をすることで、さらなるビジネスチャンスの拡大を狙うことも可能だ。チャットボットのニーズが増えている今だからこそ顧客ニーズに沿った複合的な提案してみてはいかがだろうか。