サービス業

コロナ禍で需要が急増
ラベルプリンターの意外な用途とは

掲載日:2021/04/27

コロナ禍で需要が急増ラベルプリンターの意外な用途とは

新型コロナウイルス感染拡大は、ビジネスを取り巻く人やモノに大きく影響を与えている。これまであまり注目されていなかった製品が注目されるようになり、需要を拡大しているケースも少なくない。ラベルプリンターもコロナ禍で需要が拡大している製品の一つだ。今回は飲食店を中心に引き合いが多いというラベルプリンターについて、ブラザー販売から話を伺った。

食品関連でラベルプリンター需要が急増

近年、食品関連企業においてラベルプリンターの需要が拡大している最大の理由は、2015年に改正された「食品衛生法」と「食品表示法」の経過措置が2020年3月の末日で5年の期限が切れたことに起因している。

食品の安全性を確保し、自主的かつ合理的に食品を選択する機会を確保することを目的としたこれらの法律により、原材料、栄養価、消費期限などの表示ルールがより厳格になっている。そのため、新基準の食品表示を可能にする新しいラベルプリンターを導入する企業が増えたという。

船戸 裕弥氏
マーケティング推進部
商品企画2G
船戸 裕弥氏

これらの事情について、店舗向けのプレセールスの経験を持ち、現在はブラザー販売マーケティング推進部 商品企画2Gに所属する 船戸 裕弥氏は「2020年4月に向けて、新基準の食品表示用にラベルプリンターの駆け込み需要がありました。それ以降も中堅・中小の事業者を中心に、期限には間に合わなかったが、これから対応するといったお客様がいらっしゃいます」と説明している。

さらに食品関連で需要を拡大させたのが、コロナ禍による緊急事態宣言だという。多くの飲食店がお弁当などテイクアウト商品やデリバリーサービスを開始し、それらの商品に貼付するラベルを印刷したいというニーズが生まれることにつながったのだという。

「やはりコロナ禍でテイクアウトやデリバリーを始めたいという飲食店のお客様は多いです。手探りで始めた店舗は手書きで対応するといったケースも多いのですが、利用されるお客様が増えてくると手書きでは対応しきれなくなっていきます。手軽に印刷できるラベルプリンターを導入しようという流れになります」(船戸氏)

コストパフォーマンスが高く導入が容易

船戸 裕弥氏
営業本部 営業統括部
DIST本部統括G
一宮 孔司氏

船戸氏の説明を聞く限り、ラベルプリンターによるビジネスチャンスは、比較的規模の小さい事業者やこれまでテイクアウトやデリバリーを展開していなかった店舗に多いようだ。しかし、そういった事業者や店舗への導入については、導入コストや導入の難易度が敷居になることが多い。

導入コストについて営業本部 営業統括部 DIST本部統括Gの一宮 孔司氏は「当社の製品は競合他社の製品と比べてコストパフォーマンスが高いことが特長の一つです。高価格帯の製品でも10万円前後ですし、小規模店舗などで利用いただける小型の製品であれば3万円程度です。同等の機能であれば、当社の製品の方が安いことが多いです」と説明する。

もちろん単にラベルプリンターを導入しただけではすぐに使い始めることはできない。ラベルのデザイン、印刷内容といったセットアップが必要になる。

「セットアップもPCがあればお客様だけで終わらせてしまうことが多いくらい簡単です。全ての感熱ラベルプリンターには、ラベル作成ソフトウェア『P-touch Editor』が付属しています。こちらをご利用いただければ、すぐにでもラベルを印刷できるようになります」(一宮氏)

なお、P-touch Editorには、あらかじめさまざまなラベルのテンプレートが提供されている。一宮氏は「P-touch Editorには、新基準の食品表示ラベルや店舗で使えるさまざまなラベルのテンプレートを60種類ほど用意しています」と説明している。

新基準の食品表示ラベルに対応したテンプレートも用意されている
店舗で利用できるテンプレート
消費期限も自動的に計算して印刷可能

また、ブラザーはラベルプリンターのメンテナンスについても、ユーザーに有利な施策を行っている。

「ハードウェアですので、運用していれば故障することもあります。ラベルプリンターはローラーやヘッドが故障することが多いのですが、一部の製品ではこれらをお客様ご自身で交換していただけるようパーツとして供給しています。これまでのようにメンテナンスを依頼し、サービスマンが修理するのを待つといった運用は必要ありません」(船戸氏)

食品だけではない! ラベルプリンターは製造や物流でも活躍

急速に需要が拡大したため食品関連での導入が目立っているが、本来ラベルプリンターは製造や物流などの現場をはじめ、さまざまなシーンで利用される製品だ。そのため、ブラザーでもさまざまなラインアップを取り揃えている。

例えば直近のコロナ禍における売れ筋は、食品ラベルなどの印刷に適した2.5インチの感熱方式・スタンドアロン型のモデルである。

特に液晶付きモデルでタッチキーによる印刷枚数や内蔵テンプレートの呼び出しができるTD-2130NSAは、小売や飲食などの店舗を中心によく売れているという。

また、より小規模な店舗で1日数枚から多くても10枚程度しか印刷しないのであれば、無線LANやBluetooth対応でありスマートフォンからも印刷可能な低価格モデルQL-820NWBなどにニーズがある。

さらに製造ラインや通信販売のラベルなど100枚以上の高耐久なラベルプリンターが必要な場合には、TD 4510D、TD-4550DNWBといった製品が用意されている。

意外な箇所にも需要の可能性がある

今回法改正やコロナ禍によって意外な需要が掘り起こされたラベルプリンターだが、実はプリンター単体の販売以外にもメリットが多い商品でもある。

「プリンターは導入すれば終わりではなく、その後も感熱紙などの紙やシールなどのサプライ品を含めて提供できるという点でパートナー様のメリットが大きい商品です」(一宮氏)

新たにテイクアウトを始めた飲食店や、今までは手書き対応でラベルを発行していた事業所が人員削減で業務を効率化したい場合など、意外なところにラベルプリンターのニーズは潜んでいる。これまでラベルプリンターを取り扱って来なかったパートナー様もぜひこの機会に拡販してみてはいかがだろうか。