ペーパーレス化

ペーパーレス化推進で
好調なスキャナー市場最前線

掲載日:2021/04/27

ペーパーレス化推進で好調なスキャナー市場最前線

企業、行政、教育機関などの広い範囲でペーパーレス化が勢いを増している。紙の書類に印鑑を捺す経費精算などの運用がコロナ禍でのテレワークの障壁になり、さらにSDGsの「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」が追い風となって、ペーパーレス化が一気に加速している。そこで今回はペーパーレス化の現状とメリットについて、スキャナー「ScanSnap」などを製造・販売している株式会社 PFUに話を伺った。

コロナ禍で高まるスキャナーのニーズ

道宗 琢昌氏
営業本部
パートナービジネス統括部
第二営業部
道宗 琢昌氏

PFUのスキャナーには業務用のfiシリーズと個人用のScanSnapがあるが、コロナ禍でScanSnapの売れ行きが急激に伸びたという。

PFUパートナービジネス統括部 第二営業部の道宗 琢昌氏は「テレワーク手当が出た企業もあり、自宅で使うためにスキャナーを購入された方も多かったようです」と語る。

複合機のスキャン機能と違い、スキャナー専用機は異なるサイズの名刺やA4書類なども重ねて一気に読み込める。

PFUが行った「ScanSnap×テレワーク支援プロジェクト」のアンケートでは「資料をデータ化することで、テレワーク環境下での業務の生産性が向上しましたか?」との問いに95%ものユーザーが「テレワーク業務の生産性が向上した」と回答している。

その理由として、書類の回覧がオンラインで行えるため業務にスピード感が出たこと、PDF化で検索性が高まり必要書類がすぐに見つかるようになったことなどが挙げられている。

フラッグシップモデルのScanSnap iX1600
  

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ペーパーレス化のメリットを整理する

平井 将也氏
デジタルサービス推進統括部
プロモーション推進部
平井 将也氏

ペーパーレス化はコロナ禍だけではなく、今後企業が取り組むべき課題の一つであろう。ここで改めて、そのメリットを整理してみると、大まかに次の5点が挙げられる。
・コスト削減
・物理的なスペースの確保
・セキュリティの向上
・業務の効率化
・書類の検索性の向上

では、実際にスキャナーを導入することで、どれだけの紙書類を減らせるのだろうか。

PFUの現・横浜本社は2011年の東日本大震災後に川崎から横浜に移転した。PFUデジタルサービス推進統括部 プロモーション推進部の平井 将也氏によると、それをきっかけに書類の電子化を進めたところ、オフィスで使用する紙の分量は92%ダウンできたそうだ。

「意外と紙で残さないといけないものは少ない、という発見にもなりました。また、オフィスの20%が紙の書類の保管場所にとられていたので、紙を処分して生まれたスペースをコミュニケーションの場に有効利用することもできました」

さらに会議の80%以上をペーパーレスで行うようになり、その後、コロナ禍で緊急事態宣言が出たときも同社は即座にリモートワークへ移行できたという。PFUの実例からもコスト削減、スペース、テレワーク推進のメリットが分かる事例だ。

アフターGIGA商材としてのスキャナー

山口 篤氏
デジタルサービス推進統括部
プロモーション推進部
部長 山口 篤氏

テレワーク以外に期待されているのが、生徒1人1台端末が実現した後のいわゆる「アフターGIGAスクール」商戦におけるスキャナーの普及だ。

実際にPFUが25校の小中高等学校を対象に実施した「ドキュメントスキャナー ICT教育支援プロジェクト」では、ペーパーレス化により採点作業と事務作業の効率が上がったという結果が出た。

答案をまとめてスキャンして採点ソフトで一括採点し、採点結果をすぐに分析。これにより教員85%の採点作業時間が半分以下に削減できたと実感しているというデータもでている。

また別の学校では、入試での9,000枚のマークシートの採点にスキャナーを導入することで、採点にかかる時間を低減させることができた。この効率化は単に採点が楽になるだけではないと、デジタルサービス推進統括部 プロモーション推進部の山口 篤氏は語る。

「特に私立の学校では、合格発表が早い学校に進学するケースが多く、発表を1日でも前倒しすれば、合格した生徒が他校に流れるリスクが減ります。つまり採点の効率化が学校経営にも直結するのです」(山口氏)

採点以外に教員の事務作業についても紙資料をデータ化したことで検索性が高くなり、書類を探すのに割かれていた時間が軽減、自宅でも外出先でも作業が可能になった。また紙で資料を持ち歩いていたときよりもセキュリティ面で向上したとも答えている。

経理などバックオフィスのテレワーク

さらに法律の面でもスキャナーには追い風が吹いている。2021年度税制改正大綱で企業の紙の管理を電子化するためのe-文書法の改正が予定されており、それによって、スキャナーの需要が増えることが期待されているからだ。

e-文書法とは、会計帳簿、契約書、領収書、請求書、納品書など財務・税金関係書類、定款、株主総会・取締役会議事録などの会社関係書類などを電子データで保存してもよいという法律だ。

ペーパーレスにつながる法律だが、現在は見読性、完全性、機密性、検索性をはじめとする多くの要件があり、タイムスタンプの付与など中小企業には対応が難しいものもあった。

しかし、2021年度税制改正大綱には、この要件の緩和も盛り込まれており、中小企業でも対応できる可能性が高まっている。

これにより従来は紙で保管することが義務付けられていた公的書類の運用もペーパーレス化が推進でき、今後、中小企業の経理担当や人事担当などのいわゆるバックオフィスでも、スキャナーを使うことでわざわざオフィスに行かなくても対応できる業務範囲が広がることが期待されているのだ。

「今はアナログからデジタルへの移行期であり、スキャナーはそのための架け橋となる存在です。まずはスキャナーとOCRソフトを導入して、経理精算や書類での決裁などの運用を紙と同様に行うことをおすすめしています」(山口氏)

ペーパーレス化の今後

今後、世界的に、SDGsや環境問題からもペーパーレス化はますます進んでいくことが予想される。スキャナーの今後について平井氏に聞いてみた。

「コロナ禍がおさまっても、以前のように全社員がオフィスに戻ることはないと思われます。テレワークが一般化すれば、いずれは紙の書類を使わずに全てが電子化する可能性はありますが、今はまだそこまでは至りませんし、スキャナーの需要は今後も続くと見ています」(平井氏)

またPFUにはスキャナー、OCRソフトのほか、セキュリティ対策のiNetSecシリーズもラインアップしており、こちらの注目度も高まっているという。

「スキャナーの導入で紙をデジタル化してテレワークできる回数が増えた企業が、BYOD対策・セキュリティ対策のために不正接続防止ツールiNetSecの導入を検討するケースが増えています」と道宗氏。

コロナ禍、環境問題、そしてまだまだ紙が多い文教分野におけるアフターGIGA商戦とさまざまな要因からペーパーレス化はさらに加速し、スキャナーの需要は今後も増加が見込まれている。追い風が吹くペーパーレス化の需要に対応するために、まずはスキャナーとOCRソフトを提案してみてはいかがだろうか。