ワークスタイル改革

成果の出るオンライン研修のイロハ

掲載日:2021/05/11

成果の出るオンライン研修のイロハ

新型コロナウイルスの感染拡大により、全国で急速に普及したテレワーク。しかし、テレワークの導入により新たに発生した問題も存在し、中でも社員研修をどうやって行うかという課題は、多くの企業が抱えている。この課題を解決するために有効なのが、オンライン研修である。その特長と注意点を解説する。

オンライン研修とは

これまで多くの企業では、社員研修としてOJT (On-the-Job Training)や対面研修が主流だった。しかし、職場で実際に実務をこなしながら職業訓練を行うOJTや、担当者と顔を突き合わせて説明を受ける対面研修は、コロナ禍の感染拡大のリスクから選択しづらい手法である。

当然のことながら、電話やメールで研修をすることは困難で、職場のスキームを電話口で説明したり、顔を見て反応を確認しながら解説していた内容を、メールの文章だけで理解してもらうことは難しい。

そこで、コロナ禍においては、ITツールを活用したオンライン研修を導入することをおすすめする。現状の諸問題解決に特化したツールを用いることで、効果的な研修を実現しよう。

オンライン研修は、大きく二つの形式に分類される。

● ライブ配信型

多くの社員に同時に研修を受けさせる場合は、ライブ配信サービスの利用がおすすめだ。大人数が同時にWeb会議へ接続でき、スムーズに音声と映像を配信できる。会議室に多くの社員を集めて講師が説明するような形の研修であれば、容易にWeb上で再現可能だ。

● eラーニング型

必要な情報を重点的に社員に学習してもらいたい場合は、eラーニングサービスを導入しよう。多くのeラーニングサービスは、業種や部門に合わせたオリジナルの学習コンテンツを作成可能だ。動画や書類を任意の順番・タイミングで表示させる機能はもちろん、問題集形式のテストを設ける機能などが備わっていることも多く、遠隔地の社員にも必要な情報を丁寧に伝えることができる。

オンライン研修のメリット・デメリット

オンライン研修は感染対策として有効なだけではなく、さまざまなメリットを兼ね備えている。例えば、インターネット上で研修が完結するため、貸し会議室などの会場を確保する手間や費用がかからないことは大きなメリットだ。また、サービスによってはログが保存されるため、参加者が自分の都合に合わせて後日研修の内容を再確認することもできる。

一方で、オンライン研修ではロープレのような実習ができないというデメリットも存在する。また、受講者がどの程度研修の内容を理解しているのか把握が難しいという点もデメリットである。

成果の出るオンライン研修のポイント

オンライン研修で確実に成果を出すためには、いくつかのポイントをおさえることが重要だ。まず、実施以前に参加者がツールの機能や特性を理解する必要がある。特にツールの操作方法については十分に説明してから研修に入ることが望ましい。必要な情報を効率よく伝えるにあたって、使い慣れないツールの操作に戸惑って画面から目をそらすようでは本末転倒である。

また、積極的に画面共有機能を利用することも重要だ。多くのWeb会議ツールは画面共有機能を備えている。これは、参加者の利用する端末の画面を他の参加者に共有する機能である。この機能を利用し、プレゼンテーションソフトで作成した資料などを見せることにより、口頭では説明しづらい内容も分かりやすく伝えることが可能だ。

チャットやアンケートといった機能の併用も効果的だ。チャットは文字でログが残るため、分かりづらかった点を講師に伝えて、追加で説明をしてもらったり、後から研修内容を振り返る際も便利である。また、複数人が口頭で意見や質問を発することは研修を煩雑化する原因になるが、チャットであれば一度に多くの発言があっても整理されて表示されるため、内容を参加者で共有しやすい。

さらに、チャットで伝わりきらなかった反応は、研修後にアンケートを取ることで効率的に確認できる。アンケートの内容をフィードバックし、次回の研修に役立てよう。

おすすめ製品紹介

オンライン研修を実施するにあたって、以下の製品をおすすめしたい。

● Microsoft 365 Teams

マイクロソフト社の提供するクラウドサービスMicrosoft 365に含まれるTeamsは、Web会議やチャットなどの機能を持つコラボレーションツールだ。無料版も用意されているが、有償版ではWeb会議の録画機能や1TBのファイルストレージなどを利用することができ、オンライン研修はもちろん、事前の資料配布や事後のアーカイブ共有などにも活用が可能だ。

  

商品紹介記事はこちら

● Zoom

Zoomは、オンライン研修においても利便性の高いサービスだ。2020年のテレワーク需要増加により多くの人々が利用を経験しており、操作方法を説明する手間が省けることも魅力的だ。また、画面共有やチャットといった機能も備わっており、基本的なコミュニケーションを取る際に便利な手段が一通り揃っていることも嬉しい。一度のビデオ通話に最大1万人まで参加できるため、大人数のオンライン研修も容易に実現できる。

● Cisco Webex

Cisco Webexは、Zoomのように画面共有やチャットといった機能を利用可能なほか、一度のビデオ通話に最大4万人までが参加できる。また、Cisco独自のeラーニングサービスが設けられており、希望することでこれを受講することも可能だ。独自のeラーニングサービスでは、IT技術を中心に、特にネットワーク関係の業種で有用な知識を習得できる。

● EasyLearning Express

EasyLearning Expressは、クラウド上で運用可能なeラーニングツールだ。ブラウザ上で利用可能なため、特別なアプリをインストールすることなく、すぐに利用できる。また、複数端末で進捗を引き継ぎながら進めることができるため、仕事の合間や外出時も気軽に学習することができる。

さらに、システムの運用はサービス側が担当するため、オンライン研修の担当者は講習の内容にのみ集中できる。サーバーの管理や教材配布の状況などを気にすることなく利用できる点が魅力的だ。

以上のようなツールを導入することで、オンライン研修は格段に選択しやすくなるだろう。ただし、対面して研修を行っていた頃に比べると、やや受講者に心細い印象を与えるかもしれない。だからこそ、こまめな連絡でコミュニケーションを取り、安心してオンライン研修へ集中できる環境を作ることが重要だ。