マーケティング

注目される動画マーケティングの担う役割

掲載日:2021/05/25

注目される動画マーケティングの担う役割

テレワークの普及で働き方が変わり、デジタルマーケティングへの注目度が高くなっている。中でも、その一種である動画マーケティングには企業や商品の認知度・売り上げアップが期待でき、動画編集への関心も集まる一方だ。動画マーケティングがどのような役割を果たすのか、事例を交えて解説する。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、人との接触や移動が制限された。多くの企業がテレワークを導入し、今まで対面で行うことがほとんどであった営業活動についても、オンライン営業やインサイドセールスへの移行が増加している。

対面でのコミュニケーションの機会が減少する中で注目度が高くなっているのは、ITを活用したデジタルマーケティングだ。とりわけ「動画マーケティング」に対しての期待は大きい。

動画マーケティングとは?

動画マーケティングは、動画広告など映像コンテンツの配信を通してターゲット層へアプローチを行う、デジタルマーケティングの一種だ。

テキストや静止画像だけでは表現しきれない具体的なイメージを伝えられるため人の記憶に残りやすいのが特長で、企業や商品の認知度を上げて購買意欲をかき立てたり、ブランディングを実現したりすることが目的とされることが多い。

スマートフォンの普及により自宅にいなくとも気軽に動画を視聴できる現代、ユーザーのニーズに合った動画を作成できれば、視聴だけでなくSNSでの拡散の可能性も広がる。

また、営業・マーケティング活動においても、担当者それぞれの営業スキルや環境などに左右されずに情報伝達の質を担保しやすくなり、商談後の先方社内でのデータ共有や、データの再確認が可能になる。説明にかかる時間を短縮することでより多くヒアリングの時間を確保するなど、業務の効率化も期待できるのだ。

動画マーケティングは、商品の購入や売り上げアップを促進するのに適した方法であると考えられる。

また、「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析(株式会社サイバー・コミュニケーションズ、株式会社D2C、株式会社電通、株式会社電通デジタル)」によると、インターネット広告費は総広告費全体の36.2%の市場であり、中でもビデオ(動画)広告は、2020年のインターネット広告媒体費1兆7,567億円のうち2割を超える3,862億円。前年比121.3%という結果であった。コロナ禍でユーザーのネット接続時間が増え、動画への注目度が上がったことがうかがえる。

企業の動画マーケティング取り組み事例

以前から動画による広告はテレビCMなどで行われていたが、費用面の問題などもあり、積極的に行える企業は少数だった。しかし、近年では制作ツールの発展によって、より低コストでの動画編集が行えるようになった。そのため、動画マーケティングを行う企業が増加しているのだ。

動画広告で販売件数目標対比180%

旅行業を営むA社は、自社サービスをさらに利用してもらいたいと、そのサービスのオプション機能にフォーカスしてPRを行うことに決めた。

サービスの魅力をきちんと訴求すべく、動画広告を利用してのプロモーションを行ったところ、結果的にオプションサービスの販売件数は目標対比180%を記録した。さらにTrueViewで配信した際の完全視聴率が45%ほどを記録し、旅行業界の事例平均よりも高い結果を出すことができたのだ。

セール期間に合わせて2週間配信した動画は、テンポが良くつい最後まで見てしまうものだった。A社は、今後も力を入れて動画を活用していくという。

顧客へ直接アクションできるような広告の仕組み作り

ソフトウェア開発を行うB社は、動画広告の視聴後に直接アクションがあるような広告の仕組みを作り、自社YouTubeだけでなくサービスページや広告にも動画を活用した。

サービスページに動画を掲載することで、ページに訪れた見込み顧客に自社のプロダクトのデモを行い、どのような課題を解決できるのかを効果的に伝えることが可能になった。また、動画広告ではCPA(Cost Per Acquisition)を40%削減、CTR(Click Through Rate)を200%向上させることに成功したのだ。高い効果を得たB社は、今後もデジタルマーケティングに力を入れていくようだ。

このように、動画マーケティングは文章や静止画と比較してより印象に残り、よりコンバージョン率(ウェブサイトなどに訪れた人が商品やサービスを購入・契約する割合)が上がる。

一方で、印象に残りやすい分、低質な動画を配信してしまうとかえってマイナスなイメージを持たれてしまったり、そもそも動画編集には時間やコストがかかってしまったりするという懸念点もある。

なるべく操作が複雑でなく、高クオリティな動画を編集できるソフトを使用し、動画編集を行うことが望ましい。

BP事業部おススメ動画編集ツール

実際に動画編集を進める際は、以下のような製品を導入することで動画マーケティングの実現が期待できる。

Adobe Premiere Rush

Adobe Premiere Rushは機能がシンプルで使いやすく、簡単な編集で素早く動画をアップできる動画編集ソフトだ。最大の特長は、PCを使わずともスマートフォンやタブレットを使って動画編集ができること。アプリ内で利用可能な機能も必要なものが厳選されており、動画編集の初心者でも使いやすいよう整備されている。

また、アカウントを共有する端末ならば制作中の動画に編集を加えることもできる。そのため、例えばスマートフォンで撮影した動画を外出先でつなぎ合わせ、帰宅後にPCから細かく編集するような使い方もできる。

Adobe Premiere Pro

今までに動画編集の経験がある方や、これから動画編集に力を入れたいという方にはAdobe Premiere Proがおすすめ。

基本的な映像編集のほか4K画質やVR向けなど幅広い種類のフォーマットやカメラに対応しており、プロ向けに作られているアプリケーションであるため、音声やタイトル、トランジション、色補正などのツールも多く用意されているのが特長だ。Photoshopなど他のAdobeソフトと連携させ、高いクオリティの動画を作ることができる。

Microsof 365 PowerPoint

Microsoft 365 に含まれるPowerPointも、手軽に動画編集を行うことが可能である。

専用の動画編集ソフトをインストールする必要がなく、低コストで動画編集ができるうえに、豊富なアニメーションや画面切り替え、デザインテンプレートが提供されている。さらにMP4など動画ファイルへの変換も容易であるため、コスト面や編集スキルに不安がある方におすすめだ。

SNS利用者が増加することが予想されたり、5G回線の利用が本格化したりと、動画マーケティング市場は今後も拡大していくことが予想される。動画マーケティング、デジタルマーケティングが担う役割はさらに大きくなりそうだ。

また、動画編集だけでなく、運用や分析の面にもビジネスチャンスがあるかもしれない。うまくトレンドをキャッチすることが必要である。