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従業員エクスペリエンスを高めるソリューション「Microsoft Viva」

掲載日:2021/06/08

従業員エクスペリエンスを高めるソリューション「Microsoft Viva」

2021年2月に発表され、大きな話題を呼んだMicrosoftの従業員エクスペリエンス プラットフォーム「Microsoft Viva」。コロナ禍の新しい生活様式においてあらためて注目されている「変化への柔軟な対応」に、Vivaはどのように活用できるのか。Vivaの機能やそこに込められたMicrosoftの思いとは何か。日本マイクロソフト株式会社の広瀬 友美氏に話を伺った。

「Microsoft Viva」開発の背景

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業で働き方が見直された。しかし、急激に変化したコミュニケーションや生活スタイルにストレスを抱えている人は少なくない。ストレスを放置してしまうと業務パフォーマンスの低下や離職につながり、企業・個人双方にとって好ましくない状況を招くことになる。

こうした課題を背景に、Microsoftが2021年2月4日に発表したソリューションが「Microsoft Viva」(以下、Viva)だ。Vivaは「Employee Experience(従業員体験:従業員が組織に所属することで得られる体験)」という新しいカテゴリに位置するクラウドベースのソリューションだ。

広瀬 友美氏
日本マイクロソフト株式会社
Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部
プロダクトマーケティングマネージャー
広瀬 友美氏

「コロナ以前から、働き方や生活スタイルなどの変化は継続的にありました。情報があふれ、スピード感のある対応が求められる中でも、常に良いパフォーマンスを発揮できる強いチームをつくるためには従業員エクスペリエンスの向上が非常に重要です」と日本マイクロソフト株式会社 Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャー 広瀬 友美氏はいう。

従業員はウェルビーイングに時間を割くことができたり、所属する組織とのつながりが十分にあると感じたりと、自分自身が成長する機会を得られる状態にあるとき、よりパフォーマンスを発揮するという調査結果もある。重要なのは業務の中で、それらの体験ができること。それが Vivaを活用することによって可能になるのだ。

また、VivaはTeamsと連携したソリューションである。

「Teamsは単なるWeb会議ソリューションではなく、コラボレーションプラットフォームという位置付けで、従業員一人一人がいつでもどこでも最高のパフォーマンスを発揮できる手助けをするソリューションです。多くのソリューションがあると使い方を覚えるのが大変なうえ、業務開始時には全てを立ち上げなくてはなりません。そういった負担もTeamsさえ開けば仕事ができる、というような環境を整えていただくことで解消し、従業員エクスペリエンスを高めるための第一歩となるのです。そのため、Vivaも必然的にTeamsと連携したソリューションになっています」(広瀬氏)

従業員エクスペリエンスを高める手段「Viva」

Vivaが提供する4つのモジュール

Microsoftの他の製品やサービス同様、Vivaは時代の変化やニーズに伴って変化、進化をしていくと広瀬氏はいう。現時点では4つのモジュールで構成されているが、今後、拡張性も期待できる。ここからは、現在提供されている4つのサービスそれぞれの機能を見ていこう。

Viva トピック

Viva トピックは、Microsoft 365内に蓄積された組織内の情報整理をAIの活用により自動で行うモジュール。例えていうなら、社内のWikiを構築するようなイメージだ。

【機能概要】
① コンテンツの活用可能な知識への変換
AI を使用して組織のコンテンツを自動で識別し、処理して簡単に利用可能な知識として整理
② トピックページへの情報の整理
AI により自動的にカスタマイズされたトピックページで、組織の管理者が情報を精査し、共有
③ 情報の検索と利用の簡易化
関連するトピックカードを従業員が日常的に使用するアプリに配信

日々情報が変化していく中で、Viva トピックはリアルタイムで情報をまとめていく。仕事をするうえで必要な情報や、組織の中でやり取りされている単語、それらに関連する人物などをAIがトピックページにまとめて表示する。そしてユーザーはTeams上で確認できるのだ。

「Viva トピックは、情報量が爆発的であるこの時代において非常に価値のあるソリューションです。組織全体の情報を関連付け、まとめるという作業を人の手で一から行うと膨大な時間がかかります。さらに情報は日々更新されていくため、終わりのない作業となる可能性が高く、とても大変です。こういった機械的な作業はAIを活用することで、大幅な時間と労力の削減になります。一人一人の従業員は今よりもさらに創造的な仕事ができるようになります。日本語対応がスタートしたら、ぜひ日本のお客様にも体験していただきたいです」(広瀬氏)

Viva コネクション

Viva コネクションはSharePointとYammerの機能をベースに構築しているモジュールで、従業員全員が会社へのつながりを保てるよう支援する。自分が知っておくべき社内のニュースや情報、Yammerコミュニティへの投稿、社内ツールへのアクセスが集約されているため情報を探し回る手間を省くことにもつながる。また、VivaコネクションのTeams内アプリは、デスクトップだけではなくモバイル版も提供される予定であるため、いつでもどこでも簡単に必要な情報や人とつながることができるのだ。

【機能概要】
① 全員のつながりを維持できるような支援
従業員が自らに関連性のあるコミュニケーションやコミュニティを簡単に見つけられるようにすることで、組織全体で有意義な関係の構築を推進
② 従業員が貢献しやすい環境を整備
全ての従業員がアイデアを提案しフィードバックを共有できるようにして、インクルーシブ(包摂的)な文化を醸成
③ 組織の一体感とモチベーションを高める
ビジョン、ミッション、戦略的優先事項に沿って組織全体を調整

画面上には、全社員が知っておくべき会社のニュースや情報に加え、同僚から共有されたファイルやYammerコミュニティへの投稿など従業員個人に最も関連性があると思われる情報が自動的に表示される。必要だと思われる情報をAIが提案してくれるため、多くの情報の中でも効率的に必要な情報を確認することができるのだ。

「社内の情報は、点在していると見つけるのがとても大変な場合もあります。毎日業務で使用するTeamsの中からアクセスができるという環境は、実は重要なのです。Teamsから確認できることで、業務の合間に情報を確認することが可能になり、あちこちに情報を探しに行って集中力が途切れてしまうこともなくなります」(広瀬氏)

Viva インサイト

Viva インサイトは従業員一人一人の生産性とウェルビーイングの向上を支援するモジュールだ。

【機能概要】
① パーソナライズされたアクション可能なインサイトを提供
個人、チーム、組織にパーソナライズされた情報と推奨事項を提供して、バランスの取れたより良い仕事習慣を確立し、さらに大きな成果を得ることができるように支援
② 働き方が従業員とビジネスに与える影響を定量化
仕事のパターンが従業員のウェルビーイング、生産性、成果にどのような影響を及ぼすのかを、プライバシーに配慮しつつデータに基づいて可視化
③ 複雑なビジネス上の課題を解決
先進的なツールと追加のデータソースを使用して高度な分析を行い、ビジネス上重要な課題を解決して、変化に素早く対応

「日々の業務に忙殺されてしまいそうなところをAIが助けてくれる、というようなイメージを持っていただければと思います。スケジュールなどから疲れていそうなユーザーには、少し休憩やフォーカス時間を取るべきではないかという提案をしてくれるなど、忙しすぎてパフォーマンスが下がってしまったり、燃え尽きてしまうといった組織にとってリスクのある状況に陥ることを事前に防ぐことができるよう支援するソリューションです」(広瀬氏)

Viva ラーニング

Viva ラーニングは、業務の流れの中での学習を支援するモジュールだ。自分に対して推奨されるトレーニングや、組織から受講が求められているトレーニングをTeams内のアプリを通じて管理できる。

【機能概要】
① 学びを日常の一部に
従業員がMicrosoft Teamsに統合された学習リソースを簡単に発見、共有、利用できるようにして学びの文化を醸成
② 利用できる全ての学習コンテンツを1 カ所に集約
LinkedIn Learningなどの世界水準のサードパーティコンテンツやMicrosoft Learningをはじめ自社独自の教材を一元化して手軽に学習できる環境を構築
③ 成果を引き出す
リーダーと従業員が学習をカスタマイズして割り当て、学習内容とビジネス上の成果を結び付けて確認

「実は2月にVivaの情報を発表した後、お問い合わせを一番多くいただいたのはこのViva ラーニングで、パブリックプレビューを募集した際には24時間でその枠が埋まってしまうほど、全世界のお客様から注目されているモジュールです。従業員一人一人のスキルアップと成長は組織にとって欠かせない重要なものだと、どの企業も位置付けているのだと思います」(広瀬氏)

LinkedInの調査※によると、従業員の94%がスキルアップへの投資を行う企業では長く働きたいと感じているという。個人の成長に目を向けられる企業が求められている今、Viva ラーニングは注目すべきソリューションといえるだろう。

※出展:「4th Annual 2020 Workplace Learning Report」

「Viva」への期待

個人個人が生き生きと、心身ともに健やかにそして幸せを感じながら働くことができる環境こそがビジネスの継続的な成長に貢献するという考えの下に発表された、Microsoft初の従業員エクスペリエンス プラットフォームであるVivaは、変化していく環境への柔軟な対応が求められる現代において重要な役割を果たすソリューションだ。

「今回発表された4つのモジュール全てが、従業員エクスペリエンスを向上させるために必要な要素だと考えています。デジタル社会でテクノロジーを最大限活用して、多くの組織で従業員一人一人が最大限の能力を発揮できる環境づくりに役立てていただけることを期待します」(広瀬氏)

2021年6月現在、一部プレビュー中のモジュールもあり、全てのモジュールが一般提供されているわけではない。ロードマップを参考に、今後の発表を楽しみに待とう。