業務改善

「脱ハンコ」実現までのステップ

掲載日:2021/08/24

「脱ハンコ」実現までのステップ

企業の間でここ数年、急速に「脱ハンコ」の流れが進んでいる。一方で、業務からハンコを撤廃する際にどんなステップを踏めばいいのか困惑している企業も多いだろう。そんな企業に向けて脱ハンコを実現するメリットやその際に注意すべきポイントの解説を踏まえ、おすすめの製品を紹介する。

根強く残る日本の「ハンコ文化」の見直し

日本では今日に至るまで、長らくハンコ文化がスタンダードであった。賃貸物件や携帯回線など、顧客としてサービスを契約する際に押印が求められるケースを想像すると枚挙にいとまがない。もちろん、多くの企業において業務中のやりとりでハンコを求められることも日常的だった。「内容を確認した証明に、各部署の責任者がハンコを押して回覧板方式で書類をやりとりする姿」を目にしてきた方も多いのではないだろうか。

しかし、ここ数年でハンコ文化の風向きが大きく変わってきている。そのきっかけとなったのは、言うまでもなくコロナ禍だ。書類にハンコを押して次の部署に回すような作業は、コロナ禍で急速に広まったリモートワークにおいて明らかに相性が悪い。

また、国税庁は2021年4月1日より税務関連書類の押印義務を原則として廃止すると発表した。公的機関も流れに乗ったことにより、社会全体の脱ハンコ化が一層加速することだろう。

脱ハンコによるメリットとは?

そもそも、なぜ脱ハンコが必要なのか。それは、今日の企業活動や労働において脱ハンコによるさまざまなメリットが期待できるからだ。

何より、押印という作業自体に発生する手間を削減できることが最大のメリットである。リモートワークが浸透し始めたばかりの2020年前半は、業務フローの見直しが十分ではない企業も多く、「ハンコを押すためだけに出社する」といった姿も見受けられた。そのために多くの時間や工数がかけられてきたことだろう。

押印自体が業務の妨げになるケースもある。例えば、これまで多くの管理職は、毎月末に何十枚もの書類に確認のハンコを押す作業を強いられてきた。朱肉と書類を交互にハンコで押す仕事に魅力を感じる人は少ない。この面倒な作業を廃止するだけで時間的にも精神的にも大きくゆとりが生まれ、生産性の向上が期待できる。

さらに、脱ハンコは自由な働き方を推進するうえでも大きな効果を持つ。そもそも押印とは、書類とハンコと担当者が同じ場所に存在しなければ成立しない作業である。したがって場所に左右されず働くことができるリモートワークにとっては大きな足かせだ。今日のコロナ禍による働き方の変化においてはもちろん、多様な働き方を実現する社会にとっても必要な作業とは言い難い。

また、脱ハンコはペーパーレス化にも有効だ。ハンコを使わないことが当たり前の世の中になることで、紙書類をベースとした業務上のやりとりが減り、複合機や用紙代、郵送代などの費用の削減にもつながる。

脱ハンコを実現するためには

脱ハンコ実現のためには、まず「その押印や署名は本当に必要なのか」「紙での発行が必要なのか」ということを検討することが求められる。

加えて必要な作業は、業務における電子契約ソリューションの導入だ。電子契約ソリューションとは、契約書の作成や捺印、保管などを電子的に管理する方法である。電子契約ソリューションを導入する際に重要なのは、電子契約のベースとなる法律「電子帳簿保存法」に対応しているか否か。すなわち訂正・削除・追加の履歴がわかるか、検索機能が確保されているか、などを確認する必要があるのだ。

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類を電子データとして保存することを認める法律である。この法律で定められた要件を満たさない帳簿書類のデータは別途紙に印刷して保管する必要があるため、せっかく電子契約ソリューションを導入しても、利便性に欠ける結果となる。

BP事業部おすすめ製品紹介

脱ハンコを実現するためのソリューションのひとつとして、「Adobe Sign」をおすすめしたい。Adobe Signは、電子帳簿保存法および、電子取引における署名・捺印の取り扱いを定めた「電子署名法」における法的要件を満たしており、業務システムとの連携も可能な電子契約システムだ。

最大の特長はシンプルかつ使いやすい仕様であることで、メールアドレスとブラウザさえあれば簡単に電子署名ができる。自社にとっても取引先にとっても使用が容易なため、契約業務における双方の負担を軽減可能だ。

また、Adobe Signではログを保存することで、文書の作成者や送受信者、署名を行った日時などの記録が保持される。そのうえで、メールアドレスとIPや電話番号認証を組み合わせた本人性の確保や、誰がどのような処理を行ったのかを記録することによる非改ざん性の保証が行えるため、証跡となるデジタル文書の作成が可能だ。

このように、Adobe Signの導入は脱ハンコのみならず、ワークフローの改善やセキュリティ性の向上など、副次的にさまざまなメリットをもたらす。社内の業務改革を考える企業に向けて、これらのメリットをアピールしてみてはいかがだろうか。