中小企業

Windows 365で中小企業の働き方はどう変わる?

掲載日:2021/11/16

Windows 365で中小企業の働き方はどう変わる?

働き方改革やコロナ禍など、さまざまな要因により、多くの企業で業務形態の変化が求められている。しかし、機器を準備する手続きに時間がかかったり、コストを気にして変革に踏み切れなかったりといった声が、中小企業を中心にしばしば聞こえてくる。そんな中、Microsoftが発表した「Windows 365」が注目されている。自由な働き方を実現するうえでも大きく役立つこのサービスは、中小企業の業務環境整備にも一役買いそうだ。

Windows 365とは?

2021年7月14日(現地時間)、米Microsoftは「Windows 365」を発表した。Windows OSの新バージョンのように聞こえる名前のサービスだが、実態は全く異なる。

Windows 365最大の特長は、買い切り型サービスであった従来のWindows OSとは異なり、月額(または年額)固定のサブスクリプションサービスで利用可能な「クラウド版Windows」であることだ。契約期間中は最新のOfficeソフトやグループウェアなどを利用できる。

Windows 365を導入するメリット

斬新なサービスに注目が集まるWindows 365。実際に利用するうえでのメリットは、大きく分けて2つある。

導入や運用が簡単で低コスト

Windows 365最大の利点として、端末やOSの種類に関係なく利用が可能なことが挙げられる。実際にWindows 365を利用する場合は、Webブラウザーからクラウドにアクセスする。インターネットを使って仮想マシン上のWindows 365にアクセスする形だ。

Webブラウザーとネットワークが備わっていればよいため、Windows 365は幅広い種類の端末で利用できる。すなわち、iOSのiPadやAndroidのスマートフォンなどでも、Windows 365を利用可能ということだ。

さらに、最新のWindowsをインストールするのが困難だった低スペックのPCや、macOSのPCでも気軽にWindows 365を利用できる。例えば「新規に利用可能なWindows端末を増やしたい」と考える事業所は、保有済の古い端末やmacOSの端末をWindows 365用として再利用すれば、新規に端末を買いそろえる必要がなく低コストで目的を実現可能だ。

セキュリティ性が高い

Windows 365のメリットとして、セキュリティ性の高さも挙げられる。これは、端末に依存せずどんな場所からでもWindowsの利用が可能なためだ。

従来のWindows OSはインストールして利用する製品だったため、外出先で作業する際は端末の持ち歩きが必要だった。そのため、利用者が目を離したすきに盗難や紛失といったアクシデントに巻き込まれ、端末内の情報が流出する可能性があったのだ。

一方、Windows 365を利用した際のデータはクラウド内に保存されるため、端末内には記録されない。そのため、これまで想定すべきだった端末の持ち歩きによる情報漏えいの問題を容易に回避できる。

選択できる2つのプラン

Windows 365は1台/1ユーザーごとに利用料金が発生する。契約内容については2つのプランが存在するほか、希望する仮想マシンの性能にあわせて細かに料金が設定されている。その中から利用人数・利用場所・デバイスなどに応じて最適なものを選択することが重要だ。

最大限にWindows 365を利用する場合は、Windows 365 Enterpriseプランがおすすめだ。このプランは利用できるユーザー数が無制限なほか、オンプレミス拠点との通信やマスターイメージの作成が可能など、大企業でも利用に耐えうる機能を有している。さらに、実際に契約して利用感を確かめてから後述の「Windows 365 Businessプラン」にアップグレードすることも可能だ。ただし、利用時に別途Azureサブスクリプションの契約が必要になるなど、コスト面での負担が大きい。

中小企業での利用におすすめしたいのは、Windows 365 Businessプランである。1法人で利用可能なアカウント数が300ユーザーまでに制限されるものの、これに満たない社員数の企業であれば十分に活用できる。そのほかにも機能面に一部制限がかかっているが、コストが安く済むという意味ではメリットが大きい。

Windows 365の導入で中小企業の働き方はどう変わるか

Windows 365は月額料金制のため、イニシャルコストが低く導入しやすいサービスであると言えよう。また、環境やデバイスが変わっても継続して同じOSを使っての作業が可能なため、コロナ禍より広まり始めた「ハイブリッドワーク」という働き方を推進する企業にとっては強い味方となる。

企業によっては、Windows 365を利用することで、普段使うツールが一カ所に集約されるということも大きなメリットとなるだろう。Windows 365にアクセスさえすれば場所や時間を問わず業務が行えるため、ツールを複数契約する必要がなくなり、コストカットが期待できる。

コロナ禍が収まった後も、働き方改革などにより仕事のスタイルはますます多様化することが予想されている。大企業だけでなく、中小企業もITツールを活用した新しい働き方の模索をしていくことが重要だ。