マーケティング

マーケティング戦略の鍵 
「エンゲージメント」に向き合おう

掲載日:2021/12/21

マーケティング戦略の鍵 「エンゲージメント」に向き合おう

2021年8月にセールスフォース・ドットコムが発表した調査によると「マーケターの最優先項目」と「マーケターの最優先課題」において「リアルタイムの顧客エンゲージメント」という項目が上位に挙げられている。エンゲージメントに向き合うことが求められている今、あらためてエンゲージメントの重要性やエンゲージメント向上に向けて求められるものは何か、解説する。

エンゲージメントとは?

日本語で「約束」や「契約」を意味する言葉である「エンゲージメント」は、お互いの深い関係性を表すもの。つまり「顧客エンゲージメント」とは、企業と顧客との間に築かれる関係性や信頼性を示す指標である。これは「顧客満足度」のような製品やサービスに対する感情ではなく、企業と顧客による直接の関係性を表す。

顧客エンゲージメントは顧客の行動に基づいて評価される指標である、ということにも注目すべきである。例えばSNSの評価指標には「エンゲージメント数」「エンゲージメント率」などが挙げられる。このエンゲージメントとは「いいね!」やシェアなど、ユーザーの積極的なアクションを示す言葉だ。

エンゲージメントの重要性

近年はインターネットやSNSの普及により、双方向性のあるアクションを起こすことが容易になった。さらに情報量の増加、オンラインショッピングの普及などから、企業側は単に良い製品を作って安く売るという従来のやり方だけでは顧客に振り向いてもらいにくくなっている。

今日の激化する価格競争から抜け出すためには、顧客の期待に応えるためのさまざまな施策が必要なのだ。これまでのマーケティングにおいて主なターゲットとされていた顧客は、商品の値段だけを重視していた層だった。しかし今後は、ブランドや製品・サービスに価値を見いだしてくれる顧客との関係を大切にすることが重要だ。

エンゲージメントを高めるためには?

顧客エンゲージメントを高めるためには、以下のような施策が有効である。

現状把握

まず手軽に始められるものとして、SNSやWebサイトなどを分析する施策が挙げられる。

SNSで商品やサービスといった商材を紹介した場合、顧客から求められている内容ほど「いいね!」やシェアの数が多いはずだ。また、個別に商材を紹介しているWebサイトのアクセス数やブックマーク数を確認することにより、どのページに記載されているものが求められているのかを分析できる。これらの情報を基に顧客エンゲージメントの状況を把握することで、どの商材が顧客エンゲージメントに結びつきやすいのかを理解することが大切だ。

カスタマージャーニーの分析

次に実行すべきは、カスタマージャーニー(顧客体験)を向上させるための施策である。

カスタマージャーニーとは、顧客が商材に興味を持ってから購入・利用し続けるまでの接点において、企業をどのように評価したのかを指す言葉である。顧客が高く評価した商材は、引き続き高い顧客エンゲージメントの原動力となる可能性が高い。また、同じ商材でもCMの内容やECサイトの手続き、店舗での応対などによっては全く異なる体験になる可能性があるため、個別に分析する必要がある。この分析によって自社顧客と商材との接点を特定し、顧客エンゲージメントを向上させることが重要だ。

顧客にパーソナライズされた情報を提供

現在、ECサイトでは顧客に応じて提供する情報を変化させることが一般的だ。これは、顧客ごとに閲覧履歴や購入履歴を分析し、最適な情報を選んで表示する「パーソナライズ」を行っているためである。

最近はAI技術の発達により、パーソナライズで顧客本人が気付いていない需要を感じ取ってレコメンドすることも容易になった。不要な情報を提供することは、むしろ顧客エンゲージメントを下げる結果の原因にもなり得る。既にキープしている顧客を逃さないためにも、パーソナライズを積極的に利用するべきだ。

ツールを活用する

ここまで挙げたさまざまな施策を最大限に効率化するためには、マーケティングツールの積極的な活用をおすすめしたい。

例えば、顧客の状況を正確に把握し自動的に最適なアクションが提案されるツールは、選ぶべき施策を判断してくれる。また、SFA ・CRM ・ MAとの連携で見込み顧客の育成に役立つアクションなどを把握できるツールを利用すると、今後注力すべき商材の分析が進むことだろう。

ほかにも電話やメール、Web会議での顧客とのやりとりを分析してインサイトを提供するツールなど、顧客エンゲージメントを向上させるために利用すべきツールはさまざまだ。

年々エンゲージメントへの注目度や必要性が向上し、エンゲージメントにフォーカスを当てたサービスやソリューションの需要も加速している。顧客エンゲージメントはもちろん、どのような関連ソリューションに需要が高まるのかも含めて注目し、最適な商品を提供できるよう心がけたい。