組織改革

注目が高まる企業成長への取り組み「ESG」を解説!

掲載日:2022/03/01

注目高まる企業成長への取り組み「ESG」を解説!

CSR(企業の社会的責任)を重視し、利益だけを追求するわけではない、という企業が増えてきた。また、近年は「ESG」と呼ばれるさらに先進的な言葉を重視する企業も続々と出現。そこで本記事では、企業活動におけるメリットも期待できるESGについて、どのようなものかを詳しく説明する。

ESGとは?

ESGとは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの視点でビジネスを行うべき」という考え方を表した言葉である。

一見すると、持続可能なより良い世界を目指すための国際目標である「SDGs」と同じようなものだと考える方も多いだろう。実際に、ESGとSDGsで取り扱う内容は少なからず重なっている。しかし、ESGはビジネスにおける取り組みを指す言葉であるのに対し、SDGsはビジネスのみを指した言葉ではない、という点では違いがある。ただ、企業がESGの実現に取り組むことが結果的にSDGsの実現に結びつくケースも多々存在するため、決して無関係ではないということを強調しておきたい。

企業にESGが重要なワケ

近年、「ESGへの配慮ができていない企業は大きなリスクを抱えている」という考え方が浸透してきた。これは、ESGが中長期的な目線を重要視する概念なためだ。短期的な利益を上げることができても、中長期的に安定した成長を期待できない企業は、将来的なトラブル発生時に対応できる地力が少ない。そのためESGに配慮した取り組みは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながるとも言えよう。

事実、最近は「ESG投資」という言葉があるように、グローバル市場においてESGに配慮した企業へ注目が高まっている。日本においても、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人が、国連責任投資原則(投資にESGの視点を組み入れることなどを原則として掲げるガイドライン)へ署名したことで飛躍的に注目度が上がった。

日本における2020年のESG投資額は2兆8740億ドル(約320兆円)で、運用資産総額の約24%を占めている。このことからも、今後の企業活動においてESGへの配慮が重要であることは明白だ。

気になるESGへの取り組み

ESGという概念で取り上げる3つの視点については、具体的に以下のような取り組みが推奨されている。

環境(Environment)

環境の面においては、地球温暖化問題の対策が特に重要視されている。地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出を削減するため、地熱や太陽光といったクリーンエネルギーへの転換は、世界中で推奨されている取り組みだ。

また、海洋中のマイクロプラスチック削減や排水による水質汚濁の防止など、いわゆる環境保護の観点についても企業の貢献が求められている。

社会(Social)

社会的な面においては、誰もが多様な生き方を実現することが求められている。例えば、ダイバーシティへの配慮や個人情報の保護などをないがしろにするような対応は、ESG的視点からすると望ましくないものだ。

また、人材育成や産休・育休制度の確保など、適切な人事業務を行うことも企業が中長期的に成長するための重要な要素である。社員が働きやすい環境の企業は、ESG投資の点でも高く評価されやすい。

ガバナンス(Governance)

ガバナンスの面においては、経営者がいかにリスク回避をし、企業をコントロールできるかどうかが求められる。ただし、株主や従業員、地域社会といった周辺要素の意見や立場を無視して独善的に判断することは望ましくない。公平・公正を意識し、スムーズに最適な判断を下せるかどうかが重要となる。

ESGへの取り組みは、ステークホルダーへの有力なアピールになる。早い段階からこの言葉に注目しておくことで、投資家やユーザーからの信頼を獲得しつつ、より良い社会の実現にビジネス面から貢献していきたい。