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メタバースはコミュニケーションツールになる?

掲載日:2022/03/29

メタバースはコミュニケーションツールになる?

リモートワークの普及は、企業に多くのメリットをもたらした。しかしその一方で、社員間のコミュニケーションが取りづらくなったと悩む声が多いのも事実だ。社員のモチベーション維持はもちろん、正確でスムーズな報連相を実現するためにも、コミュニケーション環境の再整備は多くの企業にとって死活問題となる。そんな中、ビジネスにメタバースを積極的に導入することで、コミュニケーションの活性化に役立てようという動きが広がっている。その魅力と効果について、詳しく紹介しよう。

メタバースとは?

メタバースとは、英語の「Meta(超越した)」と「Universe(世界)」を組み合わせた造語のこと。インターネット経由でアクセス可能な仮想空間上にある「現実世界のミラーワールド(鏡像世界)」を指す言葉だ。

概念自体は以前より存在したものの、コロナ禍によって世界的に人々の接触が制限されるようになったこともあり、急速に注目度が増している。特に、近年はコンサートやイベントをメタバース内で開催する試みも増え、新たなエンタメの場として認知している方も多いだろう。

メタバースの詳しい解説はこちら!

メタバースはコミュニケーションツールになるのか?

メタバースの一歩進んだ使い方として最近話題となっているのが、ビジネス面での活用法だ。特にコミュニケーションツールとしての活用は大きく注目されている。

例えば、リモートワークの普及によって社員間のコミュニケーションが希薄になった、という企業は多くあることだろう。各種チャットツールやWeb会議ツールの活用により業務連絡を済ませられても、オフィスで顔を合わせていた頃のように、密接かつスムーズなコミュニケーションの実現は難しくなったという声もある。

メタバースは、このような問題の解決策として活用可能だ。メタバース上では、アバターを通じて従業員同士がコミュニケーションを取る。これが、コミュニケーションに大きな影響を与えるのだ。アバターは、恐竜や宇宙人、アニメーションのキャラクターなどの見た目にすることもできるため、対面でのコミュニケーションとは良い意味で異なるコミュニケーションを取ることが期待できる、という訳だ。

また、企業によっては研修や交流会といった社内行事の実施がかなわないと悩むことがあるかもしれない。このようなケースについても、メタバースの活用により解決の糸口を見つけたい。

例えば、メタバース上に仮想の会議室や集会所を作り、そこに社員のアバターが集う形でオンラインの研修や交流会を実施できる。テキストや写真のやりとりだけでは味気がなく、他者が存在するという実感も湧きづらいコミュニケーションだが、アバターがぞろぞろと一カ所に集まる感覚を味わうだけでも、ある種現実的な没入感に浸れる。もちろん、高度に発展したVR技術をメタバースと組み合わせて活用すれば、実践的なテクニックの習得などの面でも効果が期待できる。

Microsoft Teamsもメタバースに対応

2021年11月には、『Microsoft Teams』もメタバースに対応することが発表された。発表によると、従来はWebカメラで映し出された映像で行われていたビデオ会議を、メタバースへと拡張するサービスが計画されているという。Webカメラからの映像の代わりに、今後はユーザーが設定する2Dないしは3Dのアバターを利用してビデオ会議が可能になるのだ。没入感のある形で交流を進められ、チームの効率化と個人の積極性の向上が期待できるとされている。

多くの企業にとって身近なコミュニケーションツールであるMicrosoft Teams が、メタバースに対応するようになると、業務でのメタバース活用も現実的に感じられるのではないだろうか。2021年からは旧Facebook社も社名を「Meta」に変更している。ビジネスツールがメタバースに対応するムーブメントは、今後も続きそうだ。

プレゼンテーションやミーティングなど、メタバースに最適化するためのアイデアが、まだまだそろっていない業務は多数存在する。これらをいかにメタバースへ対応させるか、ということが、ベンダーが解決すべき課題となる日は近いかもしれない。