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収益最大化を目指す「RevOps」解説!

掲載日:2022/04/12

収益最大化を目指す「RevOps」解説!

海外では、数年前から注目度が急激に上昇している言葉「RevOps」。それが昨今、日本でも注目され始めているのはご存じだろうか。顧客の購買行動の変化やコロナ禍でのビジネス形式の見直しによって、顧客との継続的な関係性維持や、社内連携の重要さが浸透している。本記事では、一貫性のある顧客体験を提供する取り組み「RevOps」の概要や活用事例などを紹介し、その重要性について説明する。

RevOpsとは?

RevOpsとは、Revenue Operations(レベニューオペレーションズ)の略。これは、「良質な顧客体験を提供することで、収益を最大化する取り組み」を指す言葉だ。具体的には、マーケティング、営業、カスタマーサポートといった収益向上に影響を与える部門が連携して、一貫性のある顧客体験を提供し、収益拡大を目指すという考え方である。

これまで、企業における営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの各部門は、それぞれが異なる情報や知識を活用して、異なる業務を取り扱うことが一般的であった。このような役割分担は、各部門が専門的に技術や経験を高めることができる一方で、いわゆるサイロ化を引き起こし、社内連携を阻害する原因となっていた。RevOpsの実現によって、各部門が連携して商品やサービスに関わることにより、サイロ化の防止につながるのだ。

RevOps導入で何が変わる?

RevOpsを導入して成果を出した具体例として、とあるソフトウェア企業のケースを紹介する。

この企業では、優秀な製品を提供しているにもかかわらず売上が伸びないという悩みを抱えていた。そこで原因を調査した結果、顧客が製品を知るきっかけがバラバラであり、既存顧客についても製品ごとに異なるプロバイダーを利用しているため、顧客管理が難しいとの問題があることが判明した。

つまり、マーケティングや広報、カスタマーサポートの分野が製品に対して異なる認識や規範をもって対応していたために、適切な業務ができていなかったのだ。

この問題を改善するためにRevOpsを導入。広告管理ツールを統一し、顧客が望ましい反応を見せる形式の広告に一本化することで、見込み顧客数の増加に成功。さらに、製品契約に利用できるプロバイダーを制限することにより、顧客情報を一元的に管理できる環境を整えた。

また、フィードバックを各部署で共有・改善することにより、同社は過去最高の売上高を記録したという。

では、具体的にRevOpsを導入する際に行われる手順とはどのようなものだろうか。一般的な例は、以下のとおりである。

データ分析・予測

RevOpsを実行する際、まず取り組むべきは顧客情報やサービスの情報といったデータの分析である。マーケティング部門であれば、現在の顧客や見込み顧客がどのような層であるのかを確認する。開発部門であれば、製品の特色や他社との差別化がどのような点であるかを確認する。また、カスタマー部門であれば、顧客からの問い合わせの内容を確認する必要があるだろう。RevOpsにおいては、これらの確認によって得られたデータによって今後の業績を予測することが基本だ。経験則や勘による判断はRevOpsとは見なされない。

従業員のパフォーマンス分析と業務プロセス・システムの効率化

同様に、従業員がどのようなパフォーマンスを発揮しているのかというデータも分析する必要がある。アプリケーションなどを活用して、どの従業員がどういったフローで動いているのかを確認することが重要だ。

RevOpsの効果を最大化するためには、企業が適切な形にならなくてはいけない。業務プロセスやシステムがRevOpsに最適化されているかを確認し、問題がある場合は調節しなければならない。

収益戦略の策定

上記2項目の分析を元に、中長期的に企業の戦略を練ることも重要だ。現状の企業環境ではどの程度まで収益を拡大できるのかを把握し、これを高めるための改善点を洗い出す必要がある。

なぜRevOpsが重要なのか

米データ解析ソフト開発会社のLeanDataと米営業メディアのSales Hackerとの合同調査によると、アメリカ国内では2018~2019年の1年間で、RevOps 部門のある企業が20%から31%に増加したという。

このようにRevOpsの重要性が増したのは、顧客の購買行動が大きく変化したことが大きく影響している。これまで多くの企業は、商品を顧客に購入させることで利益を得るのがビジネスの終着点だと考えていた。そのため、優れた商品が効率的に顧客の目に留まるよう、マーケティングやプロモーションに力を入れることが重要とされていたのだ。

しかし、近年はサブスクリプションサービスのように、顧客が商品と長い期間接するビジネスが普及し始めている。そのため、単に商品を購入させるだけではなく、継続的に顧客と良好な関係を維持することが相対的に重要視されるようになった。製品やサービスについて、川上の部門から川下の部門まで一元的な情報や規範によって最適な対応をすることが利益の最大化を生むと、多くの企業が気づいたのである。

また、コロナ禍により、これまでの形式のままでビジネスを続けることが困難になった企業は多いだろう。現状の環境を把握して問題点を洗い出し、収益を安定させるためにもRevOpsは効果の大きい考え方である。急激な変化が多発する近年のビジネス業界だからこそ、安定性を上げるためにRevOpsの評価が相対的に高まっているともいえる。今後の不透明な先行きに不安を感じている企業に貢献するためにも、RevOpsの実現を支えられるソリューションやサービスの紹介ができるように備えておこう。