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「IT導入補助金」2022年度のポイントとは?

掲載日:2022/04/26

「IT導入補助金」2022年度のポイントとは?

コロナ禍の影響で働き方に多くの変化があったことが後押しする結果となり、全国的に企業のDXが大きく前進している。しかし、DX実現を目指すに当たって大きな壁となるのがコストの問題だ。多くの企業が抱えているであろうこの課題の解決の糸口として期待されているのが、経済産業省・中小企業庁が実施する「IT導入補助金」だ。本記事では、2022年に注目すべきIT導入補助金のポイントを紹介する。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、企業や個人事業者が業務にITツールを導入する際の経費を、国が一部補助する制度だ。主に中小企業や小規模事業者の支援を目的としたものであり、課題やニーズに見合ったITツールの導入を後押ししてくれる。

補助金を申請する企業や事業者にとってみれば、業務効率化や売上拡大の実現に向けてITを活用できる、有用な制度と言える。規定を満たせば補助金は原則返済不要なので、多くの企業がノーリスクで制度の恩恵を受けられるだろう。

2022年に注目すべきポイント!

ひとくちにIT導入補助金といっても、大きく分けて「通常枠(A・B類型)」と「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)」の2種類が存在する。

「通常枠(A・B類型)」は、顧客対応や会計・人事システムといったITツールの導入に対する補助金。申請企業が導入するITツールが担うプロセス数や導入費などに応じて、補助額に差があるA類・B類から適切なものを選択する枠組みだ。

「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」は、令和3年度補正によって追加されたもの。コロナの影響を受けながら生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者に、会計ソフトや受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトなどを導入する費用などについて補助金を出す枠組みである。PC・タブレット、レジ・券売機などの導入費用も補助対象となっており、さまざまな業種で活用できる汎用(はんよう)性の高さも魅力的だ。

この枠組みの特長は、インボイス制度への対応を見据えていることだ。2023年10月から対応が求められるインボイス制度では、インボイス(適格請求書)を発行して取り扱う作業が重要になる。この制度移行に取り組む企業を支援するために、クラウド利用料を最大2年分補助するなど取引のデジタル化を推奨する補助項目が設定されているのだ。

また、デジタル化基盤導入類型とは別に「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」という枠組みも用意されている。これは、複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールおよびハードウェアを導入する取り組みを支援するものだ。具体的には、商工団体や、複数の小規模事業者によるコンソーシアムなどがこちらの枠組みに申し込む対象となる。

スケジュールを要チェック

IT導入補助金を受ける際は、まず実際にどのようなITツールを導入するのかを選定して、その内容を基に経済産業省へ交付申請を行わなければならない。その後、所定の審査などを経て交付の決定を待つという流れだ。既に発表済みの要項を確認する限り、申請の締め切りから交付決定までには1カ月程度のタイムラグが発生するようだ。

デジタル化基盤導入枠の一次締め切りは2022年4月20日に終了してしまったが、今後も複数回の募集締め切りが設定されている。2022年5月現在、6月13日17時締め切り(予定)の4次締め切りまで発表されているため、申請を希望する企業には早めの手続きをお勧めする。

なお、 IT導入補助金の対象となるITツールは、補助金事務局に登録されたIT提供事業者の提供するものに限られる。申請前に必要なITツールが対象事業者から購入できるかを十分に確認してから、手続きを行いたい。またベンダーは、申請を希望する企業にとってどの事業者が本当に必要なITツールを提供できるのかを吟味し、最適な紹介ができるように選定を進めておきたいところだ。