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注目技術「ブロックチェーン」の仕組み解説!

掲載日:2022/05/31

注目技術「ブロックチェーン」の仕組み解説!

ブロックチェーンという単語をよくメディアで見聞きするようになって数年。いまだにブロックチェーンが何を指す言葉なのか、理解できていない人も多いだろう。「なんとなく、仮想通貨に関係する言葉だと思う…」程度に、ぼんやりと 認識している方に向けて、本記事ではブロックチェーンの特長や、その活用方法を紹介する。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは、何らかの取引データを記録するデータベース技術の一種。具体的には、取引履歴を暗号技術によって「ブロック」という単位ごとに時系列で記録し、それを一本の鎖(チェーン)のようにつないで保管するものだ。構造上、情報の改ざんが非常に困難なため、データのセキュリティ性・透明性を担保できる技術として注目が集まっている。

仮想通貨の取引での活用

ブロックチェーンの活用事例として代表的なのが、仮想通貨の取引である。そもそも、ブロックチェーンは仮想通貨の一種であるビットコインを実現するために発案された技術だ。そのため、「ブロックチェーン=ビットコイン(あるいは、仮想通貨そのもの)」だと思っている方も多いが、実際はビットコインをはじめとした仮想通貨取引などで中心的にブロックチェーン技術が活用されているにすぎない。

さて、仮想通貨の取引においてブロックチェーンが活用されているのは、前述のとおりデータのセキュリティ性・透明性を担保できる技術であることに理由がある。仮想通貨は交換媒体として機能するように設計されたデジタル資産であり、その取引においては公正な記録を残さなくてはいけない。また、公正な記録は個人や特定の企業などのみならず、誰もがその内容を確認・検証可能であるべきものだ。

ブロックチェーンにおいて取引データがブロックごとに保管されるのは先に述べたとおりだが、このブロックには、直前のブロックの内容を表すハッシュ値という文字列が書き込まれている。

そのため、仮に第三者がブロックチェーン上の文字列を改ざんし、かつその事実を隠蔽(いんぺい)しようとした場合は次のブロック以降のハッシュ値を全て書き換える必要がある。しかし現実には全てのハッシュ値を書き換えることは不可能なため、改ざんを防いで公正な記録を残すことが可能だ。

また、ブロックチェーンではデータベースの一部(台帳情報)をブロックチェーンのネットワーク参加者に共有する。したがって参加者全員で取引データを監視でき、透明性を保つことが可能になるのだ。

これらの構造によって、仮想通貨は価値を担保された交換媒体として市場から認識されている。これは、現金がそれぞれの中央銀行が価値を担保する中央集権的な資産であるのに対し、仮想通貨は構造が価値を担保し、不特定多数によって監視される非中央集権的な資産であるという特徴にもつながっている。

取引の利便性を高めるスマートコントラクト

ブロックチェーンにおいては、スマートコントラクトという概念が用いられている。これは、取引における契約プログラムを自動で行う仕組みのことだ。取引成立のための内容や条件といったルールを設定しておき、それが満たされた際には自動的にプログラムが実行される。

このスマートコントラクトは、ブロックチェーンでの取引を安全かつスムーズに進めるうえで大きな役割を担っている。旧来、取引というものは信頼できる第三者を仲介することが一般的だったが、スマートコントラクトがあれば仲介が不要である。ルールどおりに条件をクリアした場合のみ取引が成立するので、信頼できる第三者の判断が必要ない。取引のスピードアップはもちろん、人件費の節約や、仲介者に情報を盗み見られる心配もなくなる。

ブロックチェーンの幅広い活用性

上記のような特長、仕組みをもって、ブロックチェーンは今後さまざまな分野で活用できる重要な技術だと言われている。例えば、 NFTはブロックチェーンの「改ざんが困難」という特長を生かしたデジタルデータだ。最近は数百万円単位でNFTアートが取引されたというニュースをよく聞くが、これもNFTがブロックチェーンを活用し、単なるデジタルデータを唯一無二の資産価値として担保できているためである。

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また、スマートコントラクトという特長を生かすことで、幅広い業務の効率化・自動化にもつながる。賃貸物件契約を例にして考えてみよう。これまで、賃貸物件を契約する際は大家と借主の間に不動産業者が入って正当に手続きを仲介することが一般的であった。しかし、スマートコントラクトを活用すれば、必要書類の確認や処理などをあらかじめ設定し、不動産業者の負担を大きく軽減できるのだ。

そのほかにも、透明性の高さを活用して選挙の投票をIT化するのに役立てる計画が構想されているなど、今後もブロックチェーンの活用は広がっていくことが予想されている。