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Web3.0が実現する新時代

掲載日:2022/07/05

Web3.0が実現する新時代

今日までインターネットは「Web1.0」から「Web2.0」へと進化を遂げてきた。2000年代以降にWeb2.0が一般化して以降、人々はインターネットへ常に接続する生活を当たり前のものとして捉えている。しかし、近年このWeb2.0に問題意識を持ち、「Web3.0」への進歩を求める声が増えてきていることをご存じだろうか。今回は、そんなWeb3.0を解説する。

Web2.0が抱える問題点

2000年代以降、インターネットは「Web2.0」の時代に突入。音声や映像の受発信が容易になったほか、ブログやSNSの普及によって双方向のコミュニケーションが盛んにもなった。このような進歩を大きく支えたのが、ビッグテックと呼ばれる大手IT企業の提供するプラットフォームサービスである。生活の中で人々のIT機器を利用する割合が大きくなるにつれて、巨大プラットフォームの影響力が強まり、今日のインターネットは中央集権的な構造になっている。

これほどまでにプラットフォームに依存した社会は、多様な問題を抱えているのではないかと指摘する声もだんだんと増えてきた。第一に注目すべき問題は、セキュリティリスクが高くなっていることだ。巨大プラットフォームには膨大な量の個人情報が蓄積されている。一度攻撃を受ければ、重大なプライバシーの侵害につながる情報漏えいが起こりかねない。

Web3.0で何が変わる?

そこで注目されているのが、2018年に提唱された「Web3.0」という言葉だ。Web3.0では、ブロックチェーンなどの新しい技術を活用することによって個人が「直接」データを保有する。これによって中央集権的な管理から分散型の管理へ移行するため、Web 2.0の問題を解決することが期待されているのだ。それでは、具体的にどのようにして分散型の管理が可能になり、セキュリティリスクの問題を解決に導けるのだろうか。

Web3.0では、ウォレットアドレスと呼ばれる30字前後の文字列が活用される。ウォレットアドレスは元々仮想通貨トークンを取り扱うために使われるアドレスであり、ブロックチェーン上ではユーザーを識別する指標として用いられる。これがWeb 2.0以前におけるIDやパスワードの代わりになることで、さまざまなインターネット上のサービスのログインに利用可能だ。これまではIDやパスワードにひも付けられた多くの個人情報が巨大プラットフォームに収集されていたものの、ウォレットアドレスがその代わりになることでプライバシーの確保ができる、というわけだ。

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ほかにも多くある、Web3.0がもたらす影響

セキュリティ面以外にもWeb3.0がもたらす影響は大きい。例えば、Web3.0ではアクセス制限がなくなると言われている。これは、Web 2.0以前のように中央集権的な組織が存在しないため、巨大プラットフォーム側の判断で個人のアクセスに制限をかけられなくなる、ということだ。

さらに、NFT(非代替性トークン。デジタルデータ作品に資産価値を持たせる技術)や、Social Token(特定の個人やグループなどにひも付くトークン。サービスの利用や権利をトークンを使って管理できる)といった新技術の活用も容易になる。

このような新技術の中で、特に大きな影響を与えることを期待されているのがDeFi(ディーファイ)だ。これは「Decentralized Finance:分散型金融」の略で、管理者に頼ることなく金融資産管理が行えるサービスのことを指す。

具体的には、DeFiを活用することによって銀行や証券会社などを通さずに賃貸物件やローンの契約が可能になる。これらのサービスが手数料なしで流通可能になるため、消費者はこれまで以上に負担の少ない環境で活発に取引をするだろう。

多方面でメリットのあるWeb3.0だが、その先進性が故にどのような概念なのかが一般には伝わっていないのも事実だ。ベンダーとしてはその特徴を押さえ、Web3.0の実現によるビジネスの変化に備えておきたい。