製造業

2022年の重要トレンド!?自動運転の情報をキャッチ

掲載日:2022/07/05

2022年の重要トレンド!?自動運転の情報をキャッチ

現在、日本の各地で自動運転の実装実験が行われている。かつては「SFの世界のもの」というイメージを持たれていた自動運転だが、生活の中で実用される日はそう遠くないと予測されている。では、その自動運転は具体的にどのように成立し、どのようなメリットがあるのだろうか。今回は自動運転の仕組みを説明し、近未来の日本における活用見通しについて説明しよう。

自動運転の6つのレベル

自動運転は、運転の主体や搭載される技術に応じて「レベル0」から「レベル5」の6段階のレベルに分類されている。全ての操作をドライバーが判断する運転をレベル0として、通常の操作をAIが担当し、緊急時の操作などのみをドライバーが担当する運転はレベル3、決められた条件下であれば全ての操作をAIが担当する運転はレベル4。そして場所を問わず全ての操作をAIが担当する運転が、最高段階のレベル5に該当する。

これはNHTSA(米運輸省道路交通安全局)が策定したもので、日本では2020年4月にレベル3が解禁。2022年4月にはレベル4を解禁する改正道路交通法が可決成立されたとして、大きく話題になった。

自動運転の仕組みとは

自動運転は、「認知」・「判断」・「操作」の3要素の活用によって成り立っている技術だ。それぞれについて見ていこう。

認知

自動運転車が周囲の情報を収集するのは、「認知」の要素。認知の対象は、周囲を走行する車両や歩行者、道路の白線などさまざまだ。このように周囲の状況を常に認知するためには、複数のカメラやセンサーが必要だ。また、自車が地球上におけるどの座標に存在しているのかを把握する際には、GPSが必須となる。

自車がどのような動きで走っているのかという状態も認知において重要な情報だ。加速・減速や走行角度を計算し、高速で移動する自車をどのように進行させるのかを瞬時に把握する必要がある。

判断

認知した情報を基に、自車をどのように動かすのかを裁定するのが「判断」の要素だ。認知の要素で得た情報は非常に複雑なため、高性能なAIで早急に判断を下す。

安全な自動運転を実現するためには、その際に用いる判断アルゴリズムの細かな設定が重要だ。例えば、走行する自車の前に障害物が落ちてきたとする。それが紙切れだった場合は問題なく直進できるが、石の塊だった場合はどうだろうか。直進すればフロントガラスに当たり乗員がけがをするかもしれない。このように、アルゴリズムにはトラブルの原因に合わせ臨機応変な判断が求められる。

また、一見障害物のない道路を走っていても、急に子供が飛び出してくる可能性はゼロではない。状況を察知し、危険がある場合は速やかに予知して速度や走行位置を調整することも、判断の要素に求められる。

操作

自動運転ではAIの判断を基に実際の操作に移るわけだが、その際、車体の各部位は電気信号の送信によって制御される。アクセルやステアリングといった車体が移動するための機器はもちろん、ウィンカーやハザード、ドアの開閉といった部分までAIが担当することによって、レベル5ではドライバーが一切手を加えることなく運転が可能になる。

ただし、AIの誤作動やサイバー攻撃によるシステムの乗っ取りなどといったさまざまな原因によって、自動運転が制御困難な状況に陥ることも予想される。このような事態でも安全な運転を実現することを目指して、遠隔地から車両の監視・制御を行うシステムの開発も進んでいる。

自動運転が実現する未来

これらの仕組みによって成り立つ自動運転は、具体的にどのようなメリットをもたらすのだろうか。

特に注目したいのが、高齢者や過疎地域住民のための移動手段の確保ができる、というメリットだ。地方の過疎地では特に公共交通機関へのアクセスが難しく、高齢化も進んでいる。そこで自動運転を優先的に導入すると、効果的に住民の生活を支えられる。

もちろん、都市部に住む人間にとってもメリットは大きい。自動運転を活用することにより、これまで運転に費やしていたリソースをほかの用途に向けられる。多くの企業は人材不足解消や人件費の削減に結び付けられるはずだ。

社会全体としても、自動運転が十分に浸透すれば交通事故と渋滞の減少という大きな2つのメリットを享受できる。これはAIによる統率の取れた運転により、人間が判断していた頃よりも安全かつスムーズな交通を実現できると考えられているためだ。また、ドライバーの負担を考慮する必要がなくなるため、 24時間パトロールが可能になって、安全な社会を作ることもできると期待されている。

前述のとおり、日本ではレベル4の解禁に向けて新たな道路交通法の改正が動き出した。自動運転技術の発展によって我々の生活が一層よいものになることに期待するとともに、自動運転の実用化に向けた各業界の動きにも注目したい。