組織改革

新たな企業教育プラットフォーム LXPに迫る

掲載日:2022/07/26

新たな企業教育プラットフォーム LXPに迫る

企業が成長するためには従業員のスキルアップが欠かせない。そのため従業員への教育に力を入れている企業は多いが、実際は思うように結果が出ないという声も聞こえてくる。そんな中注目が集まるのが、企業教育のあり方を大きく変える「LXP」というプラットフォームだ。これまでの一般的な企業教育のプラットフォームのどこに問題があり、LXPがどのような点で変革をもたらしてくれるのかを解説する。

学習体験プラットフォーム「LXP」

LXPとは「Learning Experience Platform」の略称で「学習体験プラットフォーム」という意味を持つ。受講者の特徴を分析することにより、最適な学習体験を実現できるよう、パーソナライズされたカリキュラムがキュレーションされるというプラットフォームだ。

LXPは「いつでもどこでも自由なデバイスから学習教材にアクセスできる」「受講者は動画、音声、記事など、さまざまな形式の教材を組み合わせて学習できる」「受講者それぞれが求めるスキルを学べるよう、自由に学習内容をカスタマイズできる」といった機能の組み合わせで構成されている。

LSMとLXPを比較してみる

今日、企業教育におけるeラーニングのプラットフォームとして一般的なのがLMS(Learning Management System:学習管理システム)だ。LMSとは企業や講師が従業員に学ばせる情報を体系化して整備したものであり、スムーズな学習とその管理を徹底するためには便利な手段である。しかし、用途に応じてLXPと使い分けることが望ましい。ここでは、ポイントごとにLMSとLXPを比較してみよう。

パーソナライズ

LMSはあらかじめ定められた内容を元にカリキュラムを進めていくものなので、従業員それぞれに合わせた適切な教育を施せないという欠点がある。ビジネスマナーや社内規則のように、どの従業員も同様に把握すべき情報についての教育であれば適切だが、おおむね発展的な内容の教育はパーソナライズが必要であるため、場合によっては適さないことも考えられる。

対してLXPは受講者の学習結果や傾向をAIが分析し、今後はどのようなカリキュラムが有効なのかをレコメンドしてくれる。これはECサイトが購入履歴を元におすすめの商品を紹介するようなものなので、従業員は自ら受講内容を選ぶことなく自然とパーソナライズされたルートでスキルを身につけられる。

モチベーション

LMSには受講者全員が同じカリキュラムを受け、かつ有効な教育効果を得られることが求められる。そのため「こんな話、わざわざ勉強しなくても知っているよ」というような内容を教えられることも多々あり、これでは受講者のモチベーションが上がらない。

対して、LXPの場合はパーソナライズされたルートで学習可能なため、受講者は自分の弱点を補う内容やアピールポイントを強化する内容を選ぶことができ、無駄のないスキル習得を実感できる。そのため、企業教育自体に対するモチベーションの向上も期待できる。

LXPはなぜ普及したのか

LXP普及の背景には、DXの概念が広く浸透したことがある。多くの企業がITを活用して業務を改革したことで、さまざまな分野の効率化、最適化が進んだ。当然、企業教育においても改革の必要性が高まり、学習環境の改善が求められるようになったのだ。

また、ECサイトをはじめとして、近年のWebサイトにはユーザーの興味に沿って情報を最適化するサービスが増えている。自分で探すよりもAIにレコメンドしてもらった方が効率的に必要な情報を得られたという経験を持つ方は多いだろう。この経験を企業教育に生かそうという風潮も、LXP普及に影響を与えていることだろう。

実際、導入した多くの企業がLXPに好意的な印象を抱いていることも普及の後押しとなっている。例えば、とある世界的な金融企業では、社員の自主的なスキル学習割合が約15%だったところ、LXPプログラム導入後はその割合が約40%に跳ね上がった。同社内には自主的な学習グループが形成され、そこで得た知見が日々の業務に生かされているという。

このように、LXPには従業員の学習意欲を効率的に大きく高める魅力がある。ベンダーとしては、成長のきっかけを探している企業に対しておすすめできるようなソリューションを、今のうちから準備しておきたい。