ワークスタイル改革

デジタルネイティブなZ世代が求める働き方

掲載日:2022/09/27

デジタルネイティブなZ世代が求める働き方

1990年半ば〜2010年代初頭に生まれた世代のことを、一般的に「Z世代」という。部下や後輩として入社したZ世代の振る舞いに、ギャップを感じている先輩世代の方々は多いのではないだろうか。そこで、Z世代がどのような考え方を持ち、どのような仕事との関わり方を求めているのかについて解説する。Z世代との接し方を考える一助となれば幸いである。

プライベート重視で残業を望まない仕事観

Z世代の様子を観察すると、どのような心持ちで仕事に接しているのかがよく分かる。最も目立つのが、「仕事よりもプライベートの時間を重視すること」「プライベートの時間を確保したがること」だ。この特徴は、2018年にとある大手コンサル会社が同社開催の社員研修に参加者した新入社員を対象に調査した結果からも読み取れる(言うまでもなく、2018年は、1995年生まれがストレートに大学を卒業して新卒で就職した年=実質的にZ世代が初めて社会に進出した年である)。

この調査によると、「今後3年間の会社の労働時間について、あなたの考えに近いものを選んでください」という質問に対し、42%が「定時に帰りたい」と回答。同質問においてトップの割合となった。この質問は同調査が始まった2014年から継続して設けられている項目だが、「定時に帰りたい」という回答がトップの割合となったのは2018年が初めてである。

ちなみに、2014年の同質問についての回答は「①定時に帰りたい」が27.4%、「②週に2~3日の残業まで」が43.5%、「③毎日残業でも構わない」が7.8%、「④仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」が21.2%だった。すなわち2014年の時点では①よりも③と④を合わせた割合の方が多く、当時はむしろ残業を求める新入社員が多数派だったと分かる。わずか4年でこれほど意識が変わっていることからも、Z世代の特異性が伝わってくることだろう。

近い将来の転職も視野に、安定した待遇の獲得を目指す

前述した2018年の調査の「今の会社で働き続けたいですか?」という質問に対しては、53.8%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答している。この調査において同質問の項目が最初に求められた2014年の段階では、同回答の割合が63.4%であるため、離職を視野に入社する新入社員が3年間で約10%増えていることが分かる。

だからといって、Z世代は無闇に転職だけを求めているわけではない。2022年にとある人材サービス会社がユーザーを対象に調査した内容によると、「今後転職するとしたら、年収に対する考え方として近いものをお選びください」という質問に対して「希望条件が叶えば年収が下がっても良い」と答えた割合は、23~26歳(Z世代)で3.3%、27~30歳で15.6%、31~34歳で11.6%だった。

同調査には「今後転職するとしたら、どのような条件や待遇をご希望でしょうか。(複数回答可)」という質問も設けられている。この質問に対してZ世代は他の世代に比べ、「収入が安定している」「福利厚生などの待遇がよい」「勤務地が希望するエリアである」などの項目を選ぶ割合が突出して高いという結果になった。これらの調査から、Z世代は「収入が下がることを強く拒否し、働きやすく安定した職場を求めている」ということが分かる。

透明度の高い情報を求めるデジタルネイティブ世代

また、Z世代の特徴として、物心がついた頃には既にITが生活の中に浸透していたデジタルネイティブ世代であることも挙げられる。青春期以降はスマートフォンを持つことが当たり前になり、SNSやビデオ通話を日常的に活用していた世代でもある(1995年生まれが高校1年生になり、一般的に自分専用のスマートフォンを持つようになった2011年には、iPhone 4Sが発売されている)。自ら情報を発信し、規模の大小はあれど学生時代から社会に影響を与えることに慣れている者も多い。

このような背景が故に、Z世代は「本音に近い意見を社会に提示する人」のような存在を身近に感じている。転じて、仕事においては透明度が高くフェアな情報のやりとりを求めているとも言える。これまでの世代が使う「しきたりだから」「普通はこうするものだから」といった言い回しに納得せず、明瞭に理論や裏付けのない情報を良しとしない性質であることを踏まえておくべきだろう。

Z世代の期待にどう応えるか

では、このような特徴を持つZ世代の期待に応え、共に仕事を進めていくためには何が必要なのだろうか。

残業を望まない、という特徴について最も求められることは、端的に業務時間を縮めることだろう。しかし、それは多くの企業にとって容易なことではないため、代わりに多様な働き方を認めていくことが大切になる。各々の得意分野を生かし、自由な場所や時間から仕事にアクセスできる環境を整えることで、結果的に仕事を効率的に進めて業務時間の短縮を目指すことが望ましい。デジタルネイティブ世代であることも生かし、ビデオ会議やコラボレーションプラットフォーム、オンラインストレージツールなどを積極的に業務へ取り入れて利便性の高い業務基盤を構築することが重要だ。

安定した待遇の獲得を目指す、という特徴についても、全ての会社が一朝一夕に完璧な環境を整えることは困難である。短期的に手を加えることで最大限の効果を得るとするならば、テレワークやハイブリッドワークを取り入れて、場所という負荷を取り除くことが重要だろう。幸い、コロナ禍でテレワークが浸透し、場所にとらわれない働き方を取り入れることは多くの企業にとって以前よりは容易になっている。前述の調査で、Z世代が転職を検討する待遇として「勤務地が希望するエリアである」という項目が望まれていたが、テレワーク環境が充実した企業であれば勤務地の要求は相対的に低くなる。この点でも高評価を得る一助にはなるだろう。

新たに労働市場に参入する若者に伴う企業の事業運営の進化は、時代に共通する永遠の課題だ。企業はZ世代という新たな人材を活用していくために、DXを進める必要があるだろう。パートナー様においても、こういった時代の変化にアンテナを張り、ビジネスチャンスを逃さないようにしたい。