ワークスタイル改革

アフターコロナに導入を検討したい
新しいワークスタイル

掲載日:2022/11/29

アフターコロナに導入を検討したい新しいワークスタイル

コロナ禍を経て、多くの企業がこれまで以上に自由な働き方を模索するようになった。テレワークを経験したことにより、「今までとは異なる働き方を導入することは、想像よりも難しくない」と気づいたことが大きく影響したのかもしれない。そこで、アフターコロナの時代の今、導入をおすすめしたい新しいワークスタイルを紹介する。

フリーアドレスでコミュニケーション活発化

各社員の固定席を設けず、社内の好きな場所で働くスタイルのことをフリーアドレスと呼ぶ。フリーアドレスを採用している企業では、共有の机を設置しておき、社員が適宜空いている場所を確保して働くという形が一般的だ。また、1人もしくは少人数が集中して作業を進めるための個室を用意したり、チーム・部署単位で作業したりするためのソファ席を設けるといったケースも見受けられる。

フリーアドレスを導入する最大のメリットは、社員の働く場所や時間が変動することによる、社内コミュニケーションの活発化だ。これにより、イノベーションの発生や社員同士でスキルを共有することなどが期待できる。実際、とある大手eコマース企業が2016年に本社オフィスでフリーアドレスを導入した際、勉強会やLT(Lightning Talks:ライトニングトーク)といったイベントの開催機会が大幅に増えたことが報告されている。

また、オフィスの面積を数字以上に有効活用するメリットもある。例えば、とある大手教育系企業は2021年に本部オフィスを全面的にリニューアルしてフリーアドレスを導入した。その結果、オフィス面積の4割を削減することに成功できたほか、チームビルディングやコラボレーション用のスペースを大幅に拡充できたという。空いた面積を有効活用できただけではなく、拡充したスペースを利用することで社員間のコミュニケーションも増大した。

テレワークとフリーアドレスのいいとこ取りなABW

社外を含む好きな場所で好きな時間に働くスタイルをABW(Activity Based Working)と呼ぶ。ABWを採用している企業においては社内で仕事をする制限がなく、社員は自宅やカフェなどから働くことも可能だ。

ABWの特徴は、社員の希望するワークライフバランスを可能な限り実現できることだ。例えば、子育てや介護をしながら働きたい社員にとって、自宅で作業ができるメリットは大きい。

また、「働くことに特化した場所」としてオフィスを残せることも利点である。最近は「フルリモートに移行したのは良いものの、自宅やカフェでは周囲の声がうるさくて、いわゆる『Zoom難民』になる社員が続出している」という声を聞くことも多いが、ABWであれば出社することでこの問題を解決できる。困ったときに無料で好きなだけ働ける場所、という意味でオフィスが存在することは重要だ。

中国地方のとある自治体では、ABWにも対応できる設備の一環として7,000台のLTE対応PCを導入した。自由な場所・時間での仕事を実現することはもちろん、災害時に庁外で作業することも想定したものだという。以前の同自治体では外出時に専用PCを用意して回線も別途確保していたため取り回しに難があったのだが、LTE対応PCの導入後は極めて柔軟な対応が可能になった。実際、コロナ禍でリモートワークを実施した際は、LTE対応PCの準備が進んでいたためにスムーズな移行が可能だったと報告されている。

フリーアドレスやABWの実現を下支えする
サービス・ソリューション

フリーアドレスにしても、ABWにしても、同僚がどこで何をしているのか分からないことは寂しいものである。寂しいだけならともかく、仕事の状況を把握できないことは問題だ。そのような状況で効果を発揮するのが、仮想オフィスである。

仮想オフィスとは、文字通りオンライン上に仮想のオフィスを構築し、勤務状況などをリアルタイムに反映するサービスだ。フリーアドレスに対応したものであれば社内のどの位置で誰が働いているのか、ABWに対応したものであれば出勤情報などが共有される。

また、サービスによっては「社員同士のコミュニケーションを予約する機能」などを有している場合もある。働き方が自由になることには多数のメリットがあるものの、コミュニケーションを取る相手が個々人の交友関係に依存しやすいというデメリットもあるため、ある程度はサービス用いたコントロールも重要だ。

このように、フリーアドレスやABWを導入するためには、仮想オフィスのような管理サービスを使うことが重要であるは言うまでもない。併せて注意しなければいけないのがセキュリティ対策だ。これまで、物理的に企業の中で働いたり社内ネットワークに接続したりして通信環境を整えていたのに対し、自由な働き方ではこのような制限がない。機器の盗難や不正アクセスによる情報漏えいを防ぐためのセキュリティソリューションなどの提案も求められるだろう。アフターコロナのワークスタイル改革に伴って、求められるソリューションにも注目していただきたい。