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法人向けオンラインストレージを選ぶポイントとは

掲載日:2022/12/20

法人向けオンラインストレージを選ぶポイントとは

クラウドサービスに音楽や映像のデータを入れて管理している方は多いだろう。これらのようなサービスはオンラインストレージと呼ばれ、ビジネスにおいても広く利用されている。コロナ禍でテレワークが普及すると、業務で利用するデータに自宅などからアクセスする機会が増え、法人向けオンラインストレージの需要もさらに高まることとなった。では、実際にオンラインストレージを選ぶ際はどのような点に注目すべきなのだろうか。

オンラインストレージのメリットとは

オンラインストレージ最大のメリットは、インターネットに接続できる環境さえあればいつでも物理的な制約を受けずにデータを取り扱えることである。

物理的なストレージに保存したデータは、当然のことながらPCに接続しなければ利用できない。出張先やテレワーク先で、荷物としてストレージを持ち歩くことは非常に面倒である。もちろん、物理的に持ち歩くということは、紛失や盗難の被害に遭う可能性もある。

しかし、オンラインストレージであればこれらの心配は一切不要だ。たとえ地球の裏側にいようと、仕事で利用するデータへ即座にアクセスできることは、フレキシブルな働き方が求められる現代において大きな強みとなる。

また、(サービスにとっては追加の料金が発生するものの)膨大な量のデータを一元的に格納できる点もメリットだ。さらに、この膨大な量のデータを管理・運用するのはサービス側であり、利用者側の手間を省ける点もうれしい。これまでビジネス用途のストレージの管理・運用をしていた企業にとって、オンラインストレージへの切り替えは、その分の人件費や人的リソースを削減することにもつながるのだ。

オンラインストレージの選び方

オンラインストレージは多数の企業によってサービス提供されており、その特徴も多様である。実際にサービスを選ぶ際、多くの人にとって最も重要な特徴は、利用できる容量とそれに見合ったコストパフォーマンスだろう。

ほとんどのオンラインストレージサービスは、利用料金に応じて利用可能な容量が定められている。そのため、単純にそれぞれの料金を比較するのではなく、利用可能な容量を料金で割った数字で比較することが重要だ。

なお、一部の法人向けオンラインストレージは利用可能な容量が無制限というプランを設けている。ただしこういったプランは、一般的に1ユーザーごとに利用可能な容量が制限されている。また、料金も1ユーザーごとに発生するため、本質的なコストパフォーマンスを見分けるためには実際の利用用途と見合った内容であるかを確認すべきだ。

そのほかに注目すべき部分としては、以下の2点が挙げられる。

  

データの保存地域

オンラインストレージの種類によっては、データの保存地域が海外である場合も考えられる。この場合、万が一オンラインストレージに保存したデータにトラブルが発生すると、海外の法律が適用される可能性がある。予想外のトラブルを避けたい場合は、日本の法律が適用されるよう、データの保存地域が国内のオンラインストレージを選ぶべきだ。

近年は、海外発のオンラインストレージサービスであっても、日本の利用者向けにデータの保存地域を国内に設定できる機能を有したものが増えてきた。また、グローバル向けとは別に、データの保存地域を日本に設定した日本独自のサービスを別途提供している企業もある。

セキュリティ対策

場所を選ばずデータを扱えることがオンラインストレージのメリット。ということは、裏を返せば「誰でも、どこからでもデータにアクセスできてしまう」ということである。ビジネスで利用する場合は、十分なセキュリティ対策が施されたオンラインストレージを選ばなくてはいけない。もとより最近は「テレワークの浸透により、情報漏えいのリスクは高まっている」と言われている。オンラインストレージはテレワーク先から業務に必要な情報にアクセスするために使われることも多く、不適切な運用をしてはなおさら情報漏えいの原因になりかねない。

セキュリティ対策における重要なポイントは、適切な人のみがデータにアクセスできる環境を整えることである。ログインに際し、2要素認証(パスワードとは別に、あらかじめ設定したスマートフォンからコードの入力を求めるなどする認証システム)やワンタイムパスワードを設定可能なオンラインストレージを選ぶことが望ましい。

大手オンラインストレージサービスの比較

大手オンラインストレージのサービスを比較すると、「容量優先」か「サービスの特色優先」の大きく二つに分類できることが分かる。業務形態に応じ、適切なものを選びたい。

容量を優先した選び方の場合

大容量のオンラインストレージを利用したい方には、『OneDrive for Business』の選択をおすすめする。この製品はWindows PCの標準機能であるOneDriveのビジネス版であり、複数ユーザーで一つのストレージを共有して使うことに特化していることが特徴だ。容量は1ユーザーあたり最大1TBを利用できるほか、別途サポートに問い合わせることで5TB以上の拡張も可能である。

それ以上に容量を求める方は、『Dropbox Business』を選択しよう。こちらはチーム向けプランに加入すれば最初から最大5TBの容量を利用できる。また、Dropbox Advancedというプランに加入した場合は利用可能容量を無制限に拡張可能だ。

サービスの特色を優先した選び方の場合

オンラインストレージに保存された大容量のデータから必要なものを探し出すことは、PCの操作が苦手な人にとっては難しい場合もある。そこでおすすめしたいのが『NotePM』だ。この製品はデータに任意のタグを付けられるほか、ファイルの中身まで検索可能な「高度な検索機能」が備わっている。誰でも視覚的に分かりやすくデータを管理できるという点で魅力的だ。

また、オンラインストレージに保存したデータを社外と共有しながら利用したいという場合もあるだろう。その場合は『Smooth File クラウド』が便利である。このサービスは大容量のファイルをスムーズかつ安全に共有することに特化しており、スマートフォンやタブレットでも利用可能という対応範囲の広さが魅力だ。誰が・いつ・どこに対してやりとりしたのかというログが詳細に記録されるため、万が一の場合も原因を特定することに役立つ点がうれしい。

テレワークの導入が当然となっている今、オンラインストレージのメリットとその選び方を説明したうえで、以上のサービスを活用できれば良いだろう。