業務改善

重要な分析業務を効率化しよう

掲載日:2023/01/17

重要な分析業務を効率化しよう

DXやICT化の促進に伴い、データ活用に力を入れる企業が増えている。しかし、データ分析に時間を掛け過ぎて、分析業務に疲弊してしまうケースも少なくない。分析業務のフローをいま一度見直し、無駄な時間を割いていないか検討してみよう。

データ分析が重視されている理由

データ分析をビジネスに利活用することは今に始まったことではない。だが、データ活用の範囲はここ10年ほどで広がりを見せている。2011年に統計検定が発足したことや、データサイエンティストの需要が増えていることなどからも、データ分析を重要視している企業が多いことは明らかだ。

データ分析がここまで注目されるようになった背景には、データの種類が増えたことが挙げられる。かつてはアンケート調査など、限られた手段で集めていたデータも、IoT機器や通信デバイス、SNSなどさまざまなところから得られるようになった。

総務省が2020年に行った「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」からは、2015年の調査に比べ、POSやeコマース、IoTによる販売記録など自動取得データの活用が進展したことがうかがえる。それにより、調査対象の5年間で、データ分析によって企業経営が高度化されていることも見えてきた。

部門ごとに見ると、多くデータが活用されているのは「経営企画・組織改革」、「製品・サービスの企画、開発」、「マーケティング」などである。2020年時点で、データ活用をしているのは大企業で約9割、中小企業でも5割以上。産業別では製造業が進んでおり、エネルギー・インフラ、サービス業では6割程度に留まっている。

データ活用は、まず過去の事例を可視化して、経営・リスクを管理するところから始める。データを収集・分析し、ボトルネックになっている原因を洗い出し、そこから将来起こりうる事象や市場ニーズを予測する。最終的には、データ分析を通して新たな製品・価値を創造していくことにつなげることが理想だ。

顧客や社会の課題を競合他社より早く察知し、それに合うソリューションを提供するためにも、データ活用を戦略的に取り入れていくことが大切になる。

データ分析業務の課題

ICTの進化などに伴い、大量のデータが迅速に入手できるようになった。これはデータ分析に大きなメリットにもなり得るが、その反面、分析業務が煩雑なものになりがちだ。データ分析に時間を取られすぎて、せっかくの分析結果が肝心な業務に生かせないということも起きているという。その原因として考えられることは幾つか挙げられる。

1. 分析業務が属人化して担当者が疲弊してしまうケース
ほかの業務も同様だが、分析ツールを使いこなせる、または分析業務に長けている人材に分析業務が集中している状態。

2. データの取得や管理がうまくいかないケース
分析データの活用のイメージは描けていても、それに対してどのようなデータを集めて分析を行えばいいのかが固まっていないために、ただ闇雲にデータ収集している状態。

3. データ構築はできても、活用につながらないケース
先行してデータをかき集め、分析を行っているが、その活用が限定的でビジネスが広がっていかない状態。

分析業務の効率化を図るには

データ分析のチームを作るときは、全体をマネジメントできる人材を立て、分析のプロフェッショナルと、その分析を活用する各部署の業務を熟知している人材を集めると良いだろう。

データの取得、分析、活用といった三つの視点から、お互いに意見を交換し合いながら同じ方向を目指し、1.現状の経営の見直し、2.業務改善、3.商品・サービスなどのブラッシュアップ、4.新しい業務の創造とつなげていこう。

分析業務に適切なツールを導入することで、作業者の負担軽減を図ることも検討する。このとき、扱うデータ量や分析内容に合ったレベルのものを選ぶことが大切だ。機能性が高くても、利用者が使いこなせなかったら無駄になるだけである。逆に、複雑な分析をする必要があるチームなら、柔軟性の高いツールを選ばなければ、拡張のたびに手間とコストがかかってしまうので注意が必要だ。

データ分析をしたら、まずは社内で多く活用してもらいたい。そのために発表用の資料をグラフや図を用いて誰にでもわかるように見せる工夫も必要だ。また、データ収集の際には、外部データをRPA(Robotic Process Automation)などのプログラムを用いて簡単に取り込むなどの工夫もおすすめしたい。

分析業務は楽ではないが、少しでも作業の効率化を図り、分析データを効果的に活用できる環境を整えて、作業者の負担を減らすように工夫すべきである。