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5Gの次は6G? 次世代通信技術情報を先取り!

掲載日:2023/03/21

5Gの次は6G? 次世代通信技術情報を先取り!

2020年に5Gのサービスが提供開始されてから早2年以上が過ぎた。サービス開始当初はその性能の高さを生かして完全自動運転やIoTを全面的に取り入れたスマートシティの実現に大きく寄与したが、今のところ、その傾向は見られない。しかし、そのような状況の中で、早くも次世代規格である6Gの開発が始まっているという。今回はその6Gについての情報を先取りしよう。

第6世代の無線通信システム

6Gとは第6世代移動通信システムの略称であり、現在普及が進んでいる5Gからさらに進化した無線通信システムとして開発されている規格だ。総務省が2020年に公表した「Beyond 5G推進戦略」という、6G推進の実現に向けて掲げた目標によると、2025年の大阪・関西万博を6G技術のショーケースとして活用し、2030年頃の普及を計画している。

名称からも分かるように、これまで無線通信システムはいくつかの段階を踏んで進歩してきている。もともと車内電話サービスとして開発された1Gに始まり、デジタル方式の通信に対応した2G、世界基準に整備された規格の3Gと、携帯電話の進歩に伴って無線通信システムも改良が加えられ続けている。スマートフォンの普及とともに商用化された4G以降はより大容量のデータを高速にやりとりすることに主眼を置いて開発が進み、2020年からは現行の最新システムである5Gのサービスが開始された。

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6Gの特徴とは

前述のとおり、6Gはまだ開発段階にある。従って、今のところ明確に6Gを定義する要件はまだ定まっていない。しかし、6Gを開発する企業や研究団体の取り組み内容を見る限り、大まかに以下のようなビジョンの実現を目指していると読み取れる。

通信速度100Gbps超え

あくまで理論値ではあるものの、6Gでは最大100Gbpsを超える超高速通信が可能だ。5Gにおける通信速度の最大値が10Gであることと比べると、実に10倍の速度を実現できる。この通信速度であれば2時間の映画をおおむね0.3秒でダウンロードできるため、6Gが浸透した社会では、今以上にサブスクリプションやクラウドといったサービスでコンテンツを湯水のように取捨選択することが可能になるだろう。

タイムラグを感じさせない超低遅延

6Gは常時安定した形でE2E(通信を行う2者間)の遅延を1ms以下に抑える超低遅延通信ができる。これにより、遠隔手術や災害地でのロボット操作のようなタイムラグの発生が致命傷になる遠距離通信を今以上に違和感なくこなすことが可能になる。

通信領域の大幅な拡大

2023年現在においても、日本国内の一部には電波が届かないため通信環境が整っていない地域が存在する。もちろん、海上や上空、宇宙空間なども含めると、人間が行動できる範囲で電波が届かない地域は数多く存在するが、6Gではカバレッジ(網羅率)を拡張し、このような地域でも高速通信を可能にすることが期待されている。

6G普及に至るまでの課題

多数のメリットに期待がかかる6Gだが、普及における課題も山積みである。現在特に問題視されているのは基地局アンテナ設置の問題だ。6Gは高い周波数帯(電波の届く範囲が狭い)の電波を利用することが計画されているため、サービス範囲に対して高い密度で基地局アンテナを設置する必要がある。同様の課題は4Gから5Gに移行する際も問題視されていたが、その影響が顕著に出ると考えられる5Gから6Gへの移行においては、より広い範囲での設置実現までに時間がかかることが考えられる。

2022年10月に総務省が発表した資料によると、国内の5G人口カバー率は同年3月末で93.2%に達したという。

一方、同年10月にMMD研究所が発表した調査によると、国内において「メイン端末が5Gに対応しているか」という質問に対しYesと回答した人の割合は34.5%にとどまった。このことからも、仮に新規格の通信システムがある程度整備されたとしても、一般に広く普及し利用されるまでにはタイムラグがあると予想される。6Gの普及においても、同様のタイムラグは避けられないことだろう。

5Gが我々の生活に深く馴染んでいない状態では、6Gが普及した社会の青写真を描くことは難しい。まずは5Gが浸透し、その利便性に人々が強く関心を抱くようになってからでなければ6Gの普及は実現できないだろう。一方で、5Gを普及させる際に培われたノウハウは、きっと6G普及の際にも活用できるに違いない。(総務省の計画どおりになるならば)2030年に訪れる6Gのビジネスチャンスに備え、5G普及の一翼を担ってみてはどうだろうか。