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ビジネスでの活用が進む
ウェアラブルデバイスの実態

掲載日:2023/04/11

ビジネスでの活用が進む ウェアラブルデバイスの実態

体に装着して使用する小型のデバイス「ウェアラブルデバイス」。2021年7月にREPORT OCEANが発行したレポートによると、ウェアラブルデバイスの世界市場は、2030年には約1,400億ドルに達する見込みとされている。現在、ウェアラブルデバイスはどのような分野で、何を目的として利用されているのだろうか。また、今後どのように生かされるのかを解説する。

ウェアラブルデバイスの登場

ウェアラブルデバイスの研究は1980年頃から始まった。1990年代にスティーブ・マン氏が、カメラ付きヘルメットやPCを入れたリュックサックを開発したのがウェアラブルデバイスの始まりと言われている。

しかし、その後携帯電話が先に普及して高性能になったことから、ウェアラブルデバイスが実用的になるまでに時間を要することになった。ウェアラブルデバイスが一般的になってきたのは、Fitbit、ナイキなどが発売したリストバンド型のものからだ。歩数や心拍数などの活動量を測るものとして、スポーツをする人たちの間で人気を集めた。そして、Google社の「Android Wear」が2014年、Apple社の「Apple Watch」が2015年に発売され、広く浸透していくようになった。

ウェアラブルデバイスの種類

スマートウォッチとも呼ばれる腕時計型、リストバンド型以外にも、さまざまな形態のウェアラブルデバイスが販売されている。

腕時計型・リストバンド型

スマートフォンと連動させて使う機種と、単体で使う機種がある。Webサイトでの検索や道案内、通話、メッセージの送受信ができるほか、心拍数をはじめとした健康状態の計測や音楽プレイヤーとしての働き、交通ICカードや電子決済などの幅広い機能が備わっている。

メガネ型・ゴーグル型

メガネ型はスマートグラスとも呼ばれ、BluetoothやWi-FiなどでスマートフォンやPCなどのデバイスと連携する。身に着けて使うモニターとしての機能を持っているものが多い。ゴーグル型では、VR(ヴァーチャル・リアリティ)が目の前で実現する。

イヤホン型

普通のイヤホンとして音楽を聴きながら、心拍数や消費カロリー、ランニングの記録などを行う。

衣類型・シューズ型

衣類型は、スポーツウェアや下着などにセンサーが付いていて、心拍数、ストレスレベル、体温などを計測。同様にシューズ型もセンサー付きであり、移動距離を歩幅や歩く速度、足裏にかかる圧力分布などで測れる。主にランニングやウォーキングに用いられている。

指輪型

機能としては、スマートウォッチと同様で、スマートフォンのメッセージ受信時の通知や、通話、電子決済などができる。基本的にスマートフォンと連動して使う。

ウェアラブルデバイスはビジネスでどう生かされているのか

現在、いずれかのウェアラブルデバイスを取り入れているのは主に製造、建設、流通、医療、エンターテインメント業界だ。

流通

倉庫で商品をピッキングする際や棚卸しの際、メガネ・ゴーグル型デバイスをかけて、どこにどの商品があるのか、在庫数がどれくらいなのかを確認する。目で見る情報だけで全てが把握でき、手がふさがらないため作業しやすくなるといったメリットがある。

医療・介護

腕時計型・リストバンド型のデバイスで患者の体調の変化をモニターできる。歩き回れる患者でも、ウェアラブルデバイスなら常に身に着けておけるため、安全管理に有用なることがメリットだ。また、認知症の人がいる介護施設では、見守りに用いることも可能である。

エンターテインメント

メガネ型・ゴーグル型でVRを使ったゲームやアトラクションを提供している。また、舞台の多言語字幕をデバイスに表示するサービスも行われている。

今後は農業や漁業など、高齢化により人材不足が問題になっている分野でも、ウェアラブルデバイスにより遠隔で熟練者が指導することが可能になると考えられる。また、ウェアラブルデバイスは日進月歩で機能が高くなっているため、これからさらに広く使われていくことは間違いないだろう。