DX

スマートフォンは私にとって
便利な『電脳万能小箱』なんです
~NPO法人ブロードバンドスクール協会理事
一般社団法人メロウ俱楽部理事
熱中小学校教諭(一般社団法人熱中学園)
若宮 正子 氏~

掲載日:2023/04/18

若宮 正子 氏

「DX」という言葉が当たり前となってきた昨今、「パソコン通信」と言う言葉はもはや隔世の感がある。その時代から現在に至るまで、ITの進化とともに歩んできたのが、若宮 正子氏だ。58歳頃から初めて触れたというPCから、独自の観点から生み出される「Excelアート」、Apple WWDCに招待されるに至ったシニア向けアプリ「hinadan」の開発などをはじめ、さまざまなデジタルに向き合ってきた若宮氏に「今まで」と「これから」のITについて話を聞いた。

PCは私にとっての「お助けマン」

BP:本日は、30年以上にわたって若宮さんが付き合ってきた「デジタル」についてお話を伺います。銀行に定年まで勤められていたとのことで、当時のことから教えていただけますか?

若宮 正子氏(以下、若宮氏):私が銀行に入った頃は全て手作業の時代でした。高卒で銀行に入ったのですが、当時、女性に期待され「優秀」とされる基準は、手でお札を数えるような「単純反復作業」を素早く正確にできることでした。私は仕事が遅く、それにはかけ離れた存在だったのです。そのうちに銀行もお札を数える機械や計算機が導入されて、その基準が関係なくなり、その後、企画開発のセクションに異動しました。時代とともに銀行も変わりました。銀行も自分たちで商品を考えて商売をする、ということになり、新商品開発チームにも入れていただいたり、上司も理解がある方が多くて、色々作りました。その後、管理職の端くれまで務めさせていただきました。比較的、恵まれた銀行員生活だったと思います。

BP:PCとの出会いもその頃になるのでしょうか。

若宮氏:定年後もしばらく、関連会社や出向社員として働いていましたが、完全に退職したのは62歳の頃で、PCは現役の時に購入していました。

BP:PCを購入するに至った経緯とはどういうものだったのですか?

若宮氏:機械より早くお札を数えられる人はいないので、機械化が進むと、私を助けてくれるのではないかとの思いからです。当時、普通の人はPCなんて嫌いという人も多かったですけれど、私にとっては「お助けマン」です。とても便利だなという感覚で割と早い時期に購入していました。

表計算ソフトを見て、何か描けそうだと感じた

BP:PCを購入されてまず最初は何をされていたのですか?

若宮氏:私は新しいものを買うんですけど、全く正統派ではありません。入門書や教則本とかの類は一切見ないんです。自分のやりたいことをやってみようという感じで、まずは触れてみようと思いました。色々やっていくうちに、表計算ソフトの中で、枠線に色を付けたり、セルにグラデーション効果を使って色付けをしたりとか、「これは面白いな、何か描けそうだな」って気が付きました。

BP:それが「Excelアート」の元となるわけですね。表計算のソフトって「数字を計算するもの」という固定概念がある方も多いと思いますが、それをまず「何か描けるもの」として考えられたわけですね。

若宮氏:「計算するもの」という感覚はありませんでした。今でもよくお話しするのですが、PCもスマートフォンも計算機や電話ではなくて、「電脳万能小箱」なのです。例えばWordでふりがなを付けるのにはどうするかという場合、Webブラウザーの検索窓に「ふりがなをふりたい」と打てば、あらゆる情報が出てくるわけですから、PCの勉強なんてしなくて良いですよね。

「パソコン通信」での交流にロマンを感じた

BP:おっしゃるとおり、プロのデザイナーや映像関係のお仕事をされている方でも、チュートリアルはネットで検索するという方が今は多いようです。そのようなPCとインターネットを使ったコミュニケーションというものに初めて触れたのはいつ頃でしょうか。

若宮氏:「パソコン通信」というものに関しては、何かの雑誌でPCで交流できるという記事をきっかけに知りました。元来、新しいもの好きなので「パソコン通信」というもので、遠くにいる、顔を見たことも会ったこともない人と繋がるなんて面白いじゃないと、ロマンを感じてしまいました。

その頃のコミュニティといえば、niftyのニフティーサーブとか、NECのBIGLOBEなどです。そこの高齢者が集まるフォーラムに入って活動していました。その後、インターネットが普及してプロバイダーが「パソコン通信」から撤退し、根無し草になったのでインターネット上に自主運営のメロウ俱楽部を設立しました。私も設立発起人の一人です。最初のスタートからもう30年近くになりますね。

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