組織改革

経営情報を見える化できる「経営ダッシュボード」とは?

掲載日:2023/05/09

経営情報を見える化できる「経営ダッシュボード」とは?

「経営ダッシュボード」とは、売上や営業活動、人事、予実管理などの企業経営に必要な情報を一カ所にまとめて分かりやすく可視化したものである。経営ダッシュボードを用いるとリアルタイムで経営状態が把握でき、素早く次のプランへと移行できる。では、具体的にどのような活用ができるのだろうか。

経営ダッシュボードの特徴

ダッシュボードというのはもともと自動車や飛行機などの運転・操縦に必要な計器を搭載したボードのことを言う。そこから転じて、ITではさまざまなデータや情報を可視化し、一つの画面にまとめたものを指す。

その中でも経営ダッシュボードは経営に必要な情報を可視化したもので、特定のツールを示すものではない。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを用いることもあるため、同様のものを「BIダッシュボード」と呼ぶこともある。

近年、経営判断を行う際に数多くのビッグデータを収集し、分析することが増えてきた。各部署が集めたデータを経営陣が一つ一つ確認していくようなやり方では時間がかかり過ぎてしまい、いち早く改善すべき問題への対応が遅れてしまう。

経営ダッシュボードを導入しデータを一元化すると、アクションを起こしやすくなる。さらに、経営ダッシュボードを作成するとKPIを関連部署共通のものにすることができ、部署間での情報共有も簡単になる。例えば、レポートの作成が属人化してしまっているのなら、その手間が軽減される可能性もある。

実際に経営ダッシュボードを作成する場合、必ず特定の情報を入れなければならないという決まりはない。一般的にどのようなデータが集められているのかを、参考として挙げたい。

経営ダッシュボードの柱となるのは予実管理だろう。予算と実績を比較して、現時点でどこまで目標を達成できているのかを確認する。目標への到達までに時間がかかっていたら、経費をかけ過ぎていないか、あるいは目標達成のために何かボトルネックになっているものがないかを確認し、解決していく。細かい項目としては、売上高、変動費、固定費、営業利益、仕入れなどが挙げられる。また、人事情報を入れるケースもある。

役に立つ経営ダッシュボードにするために

せっかく経営ダッシュボードを作成しても、作成に時間がかかり過ぎたり、ツールの導入に費用がかかっていたりして、挙げ句、活用されないのでは元も子もない。ここでは、役に立つ経営ダッシュボードにするためのポイントを五つに絞って解説する。

経営ダッシュボード作成の目的を考える

まずは、誰が何を把握するためのものにするのか、目的を明確にしておく。それにより、ダッシュボードに載せる情報が変わってくる。必要な情報をもれなく入れるのと同時に、不要だと思われる情報を省くことも必要だ。情報量が多過ぎると、画面を見たときに分かりにくくなってしまう。

KPIを定める

経営ダッシュボードに盛り込む指標を定めておく。適切な情報収集や分析を行ったうえでKPIに関連するデータの変化を追跡できれば、的確な経営判断に役立てられる。

レイアウトを考える

誰が見ても分かりやすいレイアウトを考える。重要度が高い項目は上部左側に置いて大きく表示させる、データの種類によって一番適したグラフを用いるなど、直感的に分かりやすいビジュアルにすることが大切だ。

情報をリアルタイムで更新する

経営ダッシュボードは、経営のスピード化も目標となるため、情報が常にフレッシュであることが必要だ。複数のツールを連動させる場合は、自動更新の設定をするか、マメな更新を心掛ける。

必要に応じて適宜改善を行う

載せる情報やレイアウトなど、経営向上につながっているかの確認を行い、不備があれば改善していく。

はじめに述べたように、「経営ダッシュボード」というツールがあるわけではない。Excelなどの表計算ツールやPower BIをはじめとするビジネスインテリジェンスツールを用いるケースもある。また、「予算管理ツール」「経営管理ツール」「予実管理ツール」などのツールを用いても良いだろう。会計管理と連動して使える予実管理ツールなら、経費や売上もそのまま連動できる。

お客様が経営ダッシュボードで実現したいことに合わせて、使いやすいツールを紹介できることが重要だ。特に経営状態が伸び悩んでいるお客様には、経営ダッシュボードを設けることのメリットも積極的に伝えよう。