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コミュニケーションのフレキシブル性を向上させるデジタルサイネージの効果とは

掲載日:2023/06/20

コミュニケーションのフレキシブル性を向上させるデジタルサイネージの効果とは

株式会社CARTA HOLDINGSの発表によると、2022年のデジタルサイネージ広告市場規模は690億円の見通しとなり、前年比119%を記録するようだ。同発表によると、2026年には2022年比で194%増の1,338億円にまで市場規模が膨れ上がるという。これほどまでに躍進を続けるデジタルサイネージとは、どのような特徴を持つシステムなのだろうか。

そもそもデジタルサイネージとはどのようなものか

ディスプレイやプロジェクターを利用し、映像や写真などによる情報を発信するシステムのことをデジタルサイネージと呼ぶ。従来の看板やポスターと異なり、紙や板の原料費がかからないほか、設置に必要な人件費を削減できる点がメリットだ。また、時勢に応じてフレキシブルに表示する内容を変更できるうえ、単純に光や音といった視認性の高さで注目を集めやすい点も魅力的である。

なお、ひとくちにデジタルサイネージと言ってもその種類は大きく二つに分類できる。具体的には以下のとおりだ。

ネットワーク配信型

ネットワーク配信型とは、その名のとおりネットワークに接続することを前提とする種類のデジタルサイネージを指す。デジタルサイネージに表示する情報をインターネットで供給するため、リアルタイムに内容を変更できる利点があり、為替や天気といった変動のある情報はもちろん、ニュース速報や警報の表示にも適切だ。複数のデジタルサイネージをネットワーク内に構築することも可能なため、それぞれを同期させ一斉に同じ内容を表示させることも可能である。

さらに、ネットワーク配信型は接続したデジタルサイネージの表示内容を一括で管理できるという点もメリットだ。後述するスタンドアロン型の場合は複数のデジタルサイネージの表示内容を変更する際、それぞれの機器に担当者が実際に赴いて手作業で記憶媒体を管理しなければならないのに対し、ネットワーク配信型は接続したPCを操作するだけで済む。

スタンドアロン型

スタンドアロン型とは、ネットワークに接続することなく単体で機能する種類のデジタルサイネージのこと。USBメモリーやSDカードなどと接続することにより、それに記録されたデータをデジタルサイネージに表示するといった形で運用される。

ネットワーク型と異なるのは、複数のデジタルサイネージを管理する際は台数に応じて手間が増大するという。ただその一方で、ネットワークに接続していないために外部から不正にアクセスされる可能性が低く、セキュリティ性の担保が容易という点は魅力的である。

デジタルサイネージの導入事例

デジタルサイネージは実際に多くの企業で業務に活用されており、ポスターや看板の掲示では不可能な効果を発揮している。例えば、とある交通系企業では駅構内のコンコースにネットワーク配信型のデジタルサイネージを連続で配置し、電子クーポンを配布するという実験を行った。実験の結果、クーポン利用者を極めて高い割合で送客できることが分かり、デジタルサイネージの視認性の高さが実証されたという。同社では、今後も同様にマーケティング施策でデジタルサイネージを活用することを予定している。

また、とある商社系企業ではオフィスにデジタルサイネージを設置することで、業務連絡のスムーズ化を実感しているという。同社の業務では物流の状況をリアルタイムで把握することが重要だが、その情報をオフィスのデジタルサイネージに表示しておくことで、ほかの作業に当たる社員にも常時視覚的な訴求が可能になった。作業の手を止めることなく情報を確認できるため、重要事項の共有という点について効果的であるという。

おすすめ製品の紹介

では、実際にデジタルサイネージを導入する際はどのような製品を選べば良いのだろうか。表示するコンテンツや設置方法の種類に応じて選択ができるよう、特徴のある製品を紹介する。

シャープの『PN-HP』シリーズ

『PN-HP』シリーズは、4Kの高解像度でコンテンツを表示可能なデジタルサイネージである。HDMIとDisplayPortという2種類の入力端子を備えており、万が一どちらか一方の映像信号が途切れても、同時出力するもう一方が無事であれば引き続き映像を表示できる。

また、画面を2分割あるいは4分割してコンテンツを表示できるマルチ画面モードを使用可能なため、設置できるサイネージの枚数が限られた環境でも大量の情報を見やすく表示させられる。

シャープの『PN-HS』シリーズ

柔軟な掲示方法に対応したデジタルサイネージ。縦置き・横置きの両方に対応することはもちろん、壁掛けや床置きなど多様な設置が可能である。

また、製品内に簡易表示メディアプレイヤーを内蔵しているため、写真や映像といったデータを記録したUSBメモリーを挿入するだけでコンテンツ再生が可能な点も魅力的だ。USBメモリーの盗難を防止する専用のカバーが付属しているため、不特定多数の往来がある場での利用も安心である。

アイ・オー・データ機器の『LCD-SU551EPB』

『LCD-SU551EPB』は4Kの高解像度でコンテンツを表示可能なワイド液晶デジタルサイネージである。一般的に明るい場所でのデジタルサイネージは見づらいが、同製品は700cd/㎡という高輝度に対応しているため、照明を焚いたショーケースに設置しても視認できる。また、同製品は2台合計20Wのスピーカーを内蔵しており、別途スピーカーを用意せずに音声を使った表示が可能であることもメリットだ。

サイレックス・テクノロジーの『POP Vision』

中小企業や小規模店舗でも導入しやすいネットワーク配信型のデジタルサイネージだ。PCはもちろんスマートフォンやタブレットからもコンテンツをサイネージ上にアップロードできる。無線LANのない環境でもワイヤレスでアップロード可能なため、開業したばかりで設備の整っていない店舗などで急にデジタルサイネージを使うことになった……といった状況に役立つだろう。5年間のセンドバック保守が無償で付属することも魅力である。

デジタルサイネージで効果的な宣伝を

デジタルサイネージは、単なる映像を映し出せるディスプレイではなく、目的を持ってコンテンツの内容を入れ替えられるシステムである。すなわち、サイネージの視聴者の反応を追いながら、コンテンツの内容を適宜切り替えられるのが特徴ということだ。反応の分析と組み合わせることで、求められる情報をタイムリーに表示できる運用環境を整えて活用したい。