中小企業
企業が成長するためにはITリテラシーが不可欠!?
掲載日:2023/07/04
いまやどの業種においても、従業員のITリテラシーは不可欠だ。ガートナージャパン株式会社は、2023年5月に「従業員のITリテラシーの向上のために企業が取り組むべき4つのアクション」を発表しており、ここでも従業員のITリテラシー向上が重要だとされている。本記事ではガートナージャパンの提唱と併せて、DXに必要なリテラシーも見ていこう。
ガートナージャパンが提唱する4つのアクションとは
リモートワークやハイブリッドワークを導入する企業が増加し、従業員には自身の生産性が向上する場所や時間で働くことが求められている。この新しい働き方である「デジタル・ワークプレイス」において不可欠なのが従業員のITリテラシーである、というのがガートナージャパンの発表の趣旨だ。
また、企業が取り組むべき4つのアクションも提示されている。
従業員がITリテラシーを向上させられる機会を継続的に設ける
ここで言うITリテラシーの向上は、PC操作ができ、Excelや業務ソフトが使えるということだけではない。IT機器やソフトウェアを利用して何ができるか、企業の抱える課題がどのソリューションで解決できるのか、といった知識や能力の向上も指している。リモートワーク環境でセキュリティ意識を高めることも、これに含まれるだろう。
研修や自己学習サイトの充実、業務時間内での学習時間の設定など、従業員に負担なく続けてもらう工夫が必要だ。
ITスキルをビジネスと連動させ、目的に合わせて体系化する
全社員が同じようなITスキルを向上させれば良いわけではなく、業務内容に見合ったスキルの向上を目指すべき、という考え。ガートナーは3つの分類を推奨している。
1. コア・スキル(全社員が身に付けておくべきスキル)
2. ロール別スキル (職務にひも付くスキル)
3. 差別化スキル(将来の企業競争力につながるスキル)
優先度が高いのは、「コア・スキル」だろう。セキュリティについての知識やIT機器の扱い方などがこれに含まれる。
スキル・ロードマップを定期的に見直し、短期間で学べるアジャイルな方法を取り入れる
スキル・ロードマップは、昇進など従業員の立場の変化、業務内容の変更などに合わせて見直す必要がある。さらに、従業員にスキルアップの意義を見出してもらうことも大切だ。
スキル向上の意義を周知する
スキル向上のメリットを伝えると同時に、人材流出を防ぐため、会社にいるメリットも併せて意識付けすることが重要だ。
DXにもITリテラシー向上が必須
ここからは、DXを推進する際に必要なITリテラシーについて見ていこう。DXはデジタル改革と言われるだけあって、デジタル化することが目的のように語られがちだが、デジタル化は手段であって目的ではない。
IPAと経済産業省が2022年12月に発表した「デジタルスキル標準」では、全てのビジネスパーソンが身につけるべきものを「DXリテラシー標準」、その中で特にDXを推進するロールにある人材が学ぶべきものを「DX推進スキル標準」と定義している。
DXリテラシー標準
「DXリテラシー標準」で必要なのは、DXの背景やDXで活用されるデータや技術などであり、その技術そのものではない。
学習内容としては、データの取り扱いやAI、ハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク、ツール利用、セキュリティ、モラルなど。「クラウド」を例にすると、オンプレミスとクラウドの違い、IaaS、PaaS、SaaSの提供形態が理解できれば、自分でサーバーを設定するだけの技術までは必要ない。
自社を取り巻く社会情勢などを鑑み、自社の目指すべきDXの方向性を示す。そのために、最低限知っておくべきITリテラシーに絞り込んでいけば良い。
DX推進スキル標準
「DX推進スキル標準」では、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティのロールに分け、それぞれのロールに合ったスキル内容を定めている。
求められるスキル例はさまざまだ。
ベンダーの担うべき部分
IT業界以外の企業では、ITリテラシーのスキルアップにも限界がある。その場合、ITベンダーとの協業で進めることが多い。依頼者である企業のITリテラシーレベルはさまざまだ。場合によっては、セキュリティなどのレクチャーもベンダーが担うケースもあるかもしれない。
お客様には、目指すべきビジネスモデルをしっかり描いてもらうことを最優先にしながら、ITリテラシーの向上を図るべく、ベンダーがフォローしていきたい。