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2023年度版! BCP対策事情をリサーチ

掲載日:2023/08/01

2023年度版! BCP対策事情をリサーチ

BCPという言葉やその重要性は認識しているものの、実際の策定や運用まで進められない企業は少なくない。企業の根幹を担うほど重要な役割を持つからこそ、慎重になる企業もあるだろう。しかし、災害やテロなどの危機的状況がいつ発生するかは誰にも分からない。ここでは、BCPの策定に踏み切れない企業が前進するために参考にすべき指針を紹介する。

スキルやノウハウに不安を感じる企業へ

災害やテロなどの緊急事態が発生した際、企業が損害を最小限に抑えて事業の継続や復旧を図るための計画をBCPと呼ぶ。コロナ禍を経て、この言葉自体は多くの企業に浸透しているように思える。しかし、大半の企業はBCPの策定や運用を進められていない。株式会社帝国データバンクが2023年5月に発表した調査によれば、BCP策定済みの企業の割合は全体の18.4%である。前年5月の結果に比べ0.7ポイント増加したが、依然として少ない割合となった。

BCPが浸透しない背景には、BCPをどのように策定すべきか悩んでいる企業が多いという現状がある。実際に前述の調査の中で、BCPを策定していない理由として多く回答されたのは「策定に必要なスキル・ノウハウがない(42%)」というものだった。

そこで参考としておすすめしたいのが、中小企業庁が公表している「中小企業BCP策定運用指針」である。これは中小企業の特性や実状に基づいてBCPの策定や運用の方法を具体的に説明した資料だ。1人で必要最低限のBCPを取りまとめることが可能な「入門コース」から、他社との連携も視野にBCPサイクル(教育や更新、実施などを通じて恒常的にBCP内容の向上を目指すプロセス)の構築を目指す「上級コース」など、4コースから練度に応じて選択できる。スキルやノウハウの不足に悩む企業ほど、このように公開されている資料を基に策定を進めていきたい。

各業界向けBCPガイドラインも参考に

ビジネスの内容が異なれば、BCPにおいて注意すべきポイントも異なる。より具体的で有効な対策を講じるためには、各業界団体や所管の官公庁が発表しているBCPガイドラインを参考にしたい。

一般社団法人日本自動車部品工業会では、製造業におけるBCP対策に特化した内容の「JAPIA BCPガイドライン」を公開している。このガイドラインでは、例えば災害対策の想定対応例として「配管破損から生じる二次災害の防止」「地震による工場機材のズレが生む被害とその防止」などが記載されており、工場業務が基盤となる製造業にとって参考にすべき情報が多いのが特徴だ。

また、厚生労働省では、医療施設や介護施設向けにそれぞれのBCP策定ガイドラインを公開している。このうち医療施設向けのガイドラインにおいては「災害拠点病院向けガイドライン」「それ以外の病院向けガイドライン」をそれぞれ用意するなど他業種とは異なる観点で情報が充実している。

BCP策定・運用を助ける最新ソリューション

BCPの策定、そして運用においてよく重要視されるのが、適切なソリューションの導入だ。企業内外の連携に役立つコミュニケーションツールや、停電時などに一定時間電源として機能するUPS、常時データを記録し続けるクラウドバックアップサーバーなどが定番のソリューションとして注目されていたが、最近は、IT設備のリモート監視サービスの需要も高まっている。

これは、データセンターやサーバールームの運用状況を社外の専門オペレーターが24時間監視し続け、異常が発生した場合は即座に通知するというものだ。障害発生後の迅速な対応が実現することはもちろん、管理に割くリソースを外注できるというのもメリットである。

このほかにも、サーバーやネットワーク機器など、BCPを策定するうえで効果を発揮する新しいソリューションは数多くある。これらのソリューションに注目することがBCP策定における重要なポイントであることは言うまでもない。ぜひこちらを参考に、理想のIT-BCPを実現してほしい。