マーケティング

コスパ、タイパに続く「スぺパ」とは

掲載日:2023/08/08

コスパ、タイパに続く「スぺパ」とは

費用に対する利益や成果を比較するコスパ(コストパフォーマンス)、かけた時間に対して得られる満足度を指す、タイパ(タイムパフォーマンス)。この二つの言葉に続いて注目されているのがスペパ(スペースパフォーマンス)だ。どのような場面で用いられるのだろうか。

スペパが注目されている理由

費用対効果を意味する「コスパ」という言葉は、ビジネスでもプライベートでも普及している。このコスパから派生して、時間対効果を表す「タイパ」、空間対効果を表す「スペパ」という言葉が生まれた。スペパは、限られた空間をどれだけ有効に使えるか、利便性や快適さが得られるか、という意味をもつ。

スペパが注目されるようになったのは、都市部の住居の面積が縮小してきたことに始まる。近年、片付け術が流行したことや、物を持たない暮らしを送るミニマリストが脚光を浴びたことも影響していそうだ。

さらに、コロナ禍でスペースに対する意識が高まっている。理由として、さまざまな場所で感染防止のためのアクリル板が設置されたことが挙げられる。透明とはいえ、圧迫感を抱く従業員が多かった。また、在宅で仕事をする場合に、居住空間と業務スペースを分けることができずに狭く感じることが多かったということも理由の一つとして挙げられる。

日用品も小型化

オフィスや住居のスペースを広くするためには、使用頻度の低いものはできるだけ減らし、必要なものは小さくする。スペパ需要が増えてきていることは、「省スペース」「小型」と銘打った製品が増えていることからも分かる。

一例として、箱入りティッシュペーパーの高さはこの40年で約半分になったという。現王子ネピアのティッシュペーパーの場合、1965年に販売していたものは5箱積み上げたときの高さが42.5㎝。これが現在は22.5㎝になっている。圧縮しても柔らかい触感は変わらないようにパルプの配合などで工夫を重ね、ティッシュの箱の高さを減らした。その結果、トラックに積める数が増え、陳列時に従来よりも多く積むことができるという効果も出ている。

省スペース家電や家具も続々登場

前述のように、スペースを有効に使うためのキーとなるのは、「できるだけ物を持たない」「必要な物は省スペース・高性能・多機能製品を選ぶ」ということになる。

家電コーナーでは、各種製品に「省スペース」をうたったものが増えている。代表的な三つの製品を紹介しよう。

一つ目はオーブントースターである。縦型で場所をとらないうえに、専用トレーで目玉焼きなどが同時に調理できるなどの工夫がされている。

二つ目は、調理方法を選ばず使えると人気なマルチポットだ。煮る、焼く、揚げる、沸かす、和えるなどの調理がマルチポット一つで可能だ。

三つ目は、スペパを気にする人に人気がある、キャンプ用品だ。使用しないときは片付けておけるエアカウチや、寝袋などを上手に取り入れて生活する人もいる。

オフィスでもスペパを

コロナ禍でハイブリッドワークを推進し、オフィススペースを縮小した企業もある。また、ペーパーレス化もスペパを高めることにつながる。

ハブやルーターをコンパクトに片づけられるラックなど、省スペースの収納はオフィスのスペパ向上に有用だ。またノートPCは、持ち運びしやすく場所をとらない13.3インチ~14インチのものが人気。デスクトップPCも、小型やスリムの省スペースタイプ化が進む傾向にある。さらに、オンプレミスクラウドやNASをクラウド化することもオフィススペースを有効に使うには大切だろう。

スペパのこれから

2010年以降のデータを見ると、東京都内のオフィス賃料は2020年にピークを迎え、以降下落傾向が続く。とはいっても、下落幅は小さく、この先大きく下がることはなさそうだ。オフィスを縮小すればその分、経費削減になることは間違いない。

働き方改革やライフスタイルの変化により、スペパを重視したオフィスや自宅が増えるだろう。省スペース製品をチェックしておき、オフィス転居などでスペパが必要になるお客様に提案していきたい。