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今までのITでは見えなかったデータの蓄積で
誰も気づいていない潜在需要を掘り起こせる
~感動ITビジネス講師/ドルフィア株式会社 代表取締役
井下田 久幸 氏~

掲載日:2023/10/24

今までのITでは見えなかったデータの蓄積で
      誰も気づいていない潜在需要を掘り起こせる
      ~感動ITビジネス講師/ドルフィア株式会社 代表取締役
      井下田 久幸 氏~

2025年、日本は4人に1人が後期高齢者となる。高齢化社会の最先端を走る日本の課題を解決する方法はあるのだろうか。感動ITビジネス講師として、難しいITを分かりやすく、役に立つ情報として伝える講演を全国各地で行うドルフィア株式会社 代表取締役の井下田久幸氏に超高齢化社会で生き残るためのヒントを聞いた。

現代のITを活用する勝利の方程式とは?

BP:日本社会が抱える大きな課題として、超高齢化社会が迫っています。今後、ますます人手不足が深刻になる中で、中堅中小企業の皆様の経営課題をどのように解決すべきかのご意見をいただけないでしょうか。

井下田久幸氏(以下、井下田氏):おっしゃるように日本は少子高齢化社会となり、しかも世界の最先端を走っています。日本の使命としては、これから各国が少子高齢化の波を迎えるにあたってどう乗り越えていくべきかを示すことだと思います。

20世紀、日本の人口は増える一方でした。たくさんの需要が見込めたので、物を作れば作るほど売れました。また、この時代は欲しいものが分かりやすかったともいえます。例えば「家が欲しい」、「テレビが欲しい」、「車が欲しい」など、同じものを手に入れることがステータスでした。この時代のビジネスにおける勝利の方程式は、効率化を支援するITの使い方だったように思います。大量生産により、原価を下げて利益を上げるよう仕組みです。

ところが、21世紀に入ると日本の人口は減少し始めます。高齢化社会を迎えて大きく変わったのは、作っても作っても売れない時代の到来です。当然、同じやり方で、ITを活用しても売り上げは増えません。同じものが同じような価格で大量にあふれている。その中で買ってもらうためには、何らかの価値が必要です。その価値を提案しないと生き残ることが難しい時代です。

今の世の中では、自分だけのオリジナルが好まれています。ですが、現代は情報過多の時代です。自分がどの情報を選んでいいか分からない。だから、誰かに選んで欲しいといった矛盾したことも現象として起きています。世の中が裕福になって、自分自身で何が欲しいかすら分かっていない。ニーズが見えなくなって、いわゆる潜在ニーズがビジネスチャンスとなる時代でもあります。本人も気づいていない需要を、ITの力を使って気づかせることがすごく大事だと思いますね。

求められる真のDXは、意識の改革で実現する

BP:ITの活用の観点では、拡大再生産でうるおっていた昭和時代の感覚がまだまだ残っていると思います。今後、どのような意識改革が必要でしょうか。

井下田氏:これまでのITの活用方法は、POS(Point Of Sales)に代表されるように、誰が何を買ったかというデータの蓄積です。そのデータベースから需要予測を行うのですが、このデータからは、なぜ買わなかったかという理由はわからないんですね。

例えば、あるお客様がパチンコ店に入ったとします。その方はAという台が好きでしたが、Aの台は混んでいて遊べません。仕方なく、Bの台で1時間ほど遊びました。そろそろAの台が空いたかなと思ってAの台を確認しても、まだAの台は空いていません。そのためCの台で30分遊んで帰りました。

今までのITシステムだと、お客様は、Bの台で1時間遊んだあと、Cの台で30分遊んだ、という情報がデータベースに蓄積されます。このデータからの需要予測では、このお客様はBの台を好んでいるということで、Bの増設という計画が提案されます。

ところが、お客様はAの台が好きなんです。それを知るために必要なデータは、その人がどう動いてAの台の周辺を歩いたかという情報が必要なのですね。

これからは「今までのITでは見えなかったデータを蓄積しないと、本当の需要は見えてこない」という理解が必要です。

潜在需要が大事だと理解できていても必要なデータが足りないと、正しい結論を出せません。例えば、欲しいデータが入っていない、もしくはデータの精度が低いという場合です。

なぜそうなるのかというと、今までは手作業でデジタルデータを入力していたからです。

今までのITというのは、入力した後のプロセスだったり、アウトプットの進化の歴史でした。入力については、あまり重要視されていなく、人力で入力するがゆえにボトルネックになっていました。

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