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ビッグデータ活用に目を向けよう!

掲載日:2023/12/19

ビッグデータ活用に目を向けよう!

Panorama Data Insights社の調査によると、世界のビッグデータ・ビジネス分析市場は2031年までに約8,000億ドルに成長する見込みで、この間のCAGR(年平均成長率)は13.5%に達すると予想されている。ビッグデータ活用を推し進める動きは日本でも広がっており、機運が高まっている今こそ、ビッグデータ活用に目を向けるチャンスと言えよう。

そもそもビッグデータとは

総務省によるビッグデータの定義は、
1.国や地方公共団体が提供する『オープンデータ』
2.暗黙知(ノウハウ)をデジタル化・構造化したデータ
3.M2Mから吐き出されるストリーミングデータ
4.個人の属性に係る『パーソナルデータ』
の4つである。

ビッグデータと呼ばれるものは、構造化データと非構造化データの2つに分類できる。構造化データは、主にERPやSFAといった管理システムで扱うことを前提に構造定義されたデータを指す。データの順列や特徴ごとに整理されているため、分析に用いるのが容易という特長がある。一方、非構造化データはそれ以外のデータである。画像や文章、センサーで取得した数値など、構造定義されていないあらゆるデータが非構造化データとなる。

構造化データと非構造化データの詳細はこちら!

ビッグデータの活用事例

ビッグデータは、業種を問わず幅広い企業で活用されている。

例えば、飲食業を営む企業ではビッグデータ分析によって顧客の動向を分析し、業務の効率化を実現している。観光地に店舗を構える同社では、これまで来客数を経験と勘で予測していた。しかし、近年はインバウンド需要による団体ツアー客の増加もあり、従来のような方法でピークタイムを予測することが困難になった。そこで、過去の売上や近隣イベントの開催状況や気象データなどのビッグデータを、AIで分析するシステムを導入したところ、来客数を9割以上の精度で予測でき、効果的な人員配置が可能になったという。また、廃棄ロスの削減や従業員の負担軽減といった予想外のメリットを得られたほか、このシステムを自社で開発したことが功を奏し、他社にシステムを販売するという新しいビジネスも創出できた。

また、とある輸送機器メーカーでは工作機械にIoTを導入し、工場作業の見える化を実現している。同社では、ベテラン職人が生産ラインの重要な工程を担っていたために属人化が激しく、技能伝承が進まないという問題があった。そこで工作機械にセンサーを設置し、その稼動内容をデータに変換するシステムを構築。複雑な作業内容もAIによって最適化した資料を用いることで、技能伝承に成功したという。同様に工作機械全般をIoT化したことにより、工場全体の稼働状況を見える化し、生産性の妨げになる要因を発見することも可能になった。

見逃せないセキュリティの課題

メリットの多いビッグデータ活用だが、その一方でセキュリティ面の課題にも目を向けなければならない。例えば、多くの業界には「産業スパイ」という言葉が存在する。以前は他社の情報を盗んだとしても、専門的な知識や経験がなければ悪用することができなかった。しかしビッグデータ活用のために構造化されたデータを入手できれば、その前提条件は不要になる。自社にとって利便性の高いデータは、悪意ある第三者にとっても同様であるということには注意しなければならない。

また、ビッグデータには個人情報が含まれていることが多く、流出したときのダメージは大きい。サイバー攻撃の防御も重要だが、ビッグデータ活用が一般化するほど全ての原因を除去することは難しい。むしろ、Webからのデータ収集にはCookieレス化を推進する、もしくは社内ネットワークにおいてゼロトラストセキュリティを導入するなどの対策を行い、サイバー攻撃の標的になったとしてもダメージを最低限に抑えられる組織を作る方が建設的だろう。

ビッグデータ活用が完全に浸透しないのは、このようなセキュリティ面の課題も影響しているだろう。ユーザー様には、まずは不安を取り除くことからアプローチしていくことが有効かもしれない。