クラウド

2024年のクラウドトレンドをチェック!
対処すべき「2026年問題」とは

掲載日:2024/01/23

2024年のクラウドトレンドをチェック!
      対処すべき「2026年問題」とは

総務省の発表によると、日本のパブリッククラウド市場は右肩上がりで成長しており、2026年には2022年の約2倍となる約4兆円規模へ成長する見込みだという。クラウド活用の普及が広がる中、一歩先にトレンドをつかむことで今後のビジネスにおけるヒントとしたい。

クラウド活用を前提とした2024年のトレンド

ITリサーチ大手のガートナージャパン(以下ガートナー)はクラウドを巡る状況を分析し、今後のビジネスにおける先進的な情報を毎年「クラウド・コンピューティングのトレンド」として発表している。2024年のトレンドは、2023年のトレンドをさらに進歩させた内容となった。そこで2023年版のトレンドを振り返りつつ、2024年版で追加された項目についても紹介したい。

クラウドという言葉の視野を広げさせた2023年

2023年版では、「クラウドの正しい理解」という目標に対して、どのようなアプローチに注目すべきかということが重視されていた。この背景には、クラウドに対するガートナー独特の定義が影響している。

そもそもガートナーでは、クラウド・コンピューティングを「スケーラブルかつ弾力性のあるITによる能力を、インターネット技術を利用し、サービスとして企業外もしくは企業内の顧客に提供するコンピューティング・スタイル」と定義している。すなわち、クラウドストレージやクラウドデータベースなどといったサービスだけではなく、IoTや量子コンピューターなどの活用なども含めて把握しなければ、クラウド・コンピューティングを適切に理解できないと主張しているのである。これは、現在のクラウドサービスが膨大な数のサーバーによって、地球規模の顧客に対し多様なサービスを提供しているためである。旧来的な印象でクラウドを理解することは、その本質を見誤ることにつながりかねない。

今日においては業務遂行に必要不可欠な要素(基幹システムや送電システムなど)のクラウド化も可能だ。重要な要素だからといってオンプレミス環境のみにこだわることなく、利害をよく理解した上で取り入れる価値があると説明している。

2026年に向けた対応を念頭に置くべき2024年

一方、2024年版では「クラウドはもはやオプションではなく、必須要件となっている」旨が語られている。この波に乗るためには、クラウドの正しい理解に加え、2026年問題への注目も必要だという。

2026年問題とは、クラウドに対応できない日本企業が直面する状況を表した言葉だ。ガートナーの説明によると、クラウド・コンピューティングという言葉は2006年に登場し、ITインフラを変革するサービスとして注目を浴びた。しかし、日本にはいまだクラウドへの理解が足りず、先進的な企業に後れを取っている企業も多い。クラウドが誕生して20年となる2026年にはその差がより顕著なものになり、最悪の場合企業自体が存続の危機に陥る可能性があると言われている。

そこで、2026年問題に対処する方法の一例として紹介されているのが「マルチクラウドの活用」だ。マルチクラウドとは、複数のプロバイダーが提供するクラウドサービスを意図的に併用することを指す。ひとくちにマルチクラウドと言ってもその活用法は複数存在する。業務レベルが発展することに応じてクラウドを提供するプロバイダーを乗り換える方法(発展形マルチクラウド)や、どこか一つのクラウドサービスが終了したり、トラブルが生じたりするときに備え、あらかじめ複数のクラウドにリスクを分散させておく方法(分散マルチクラウド)などが例として挙げられよう。このように、企業形態に応じて適切にマルチクラウドという手法を取り入れることが、企業が納得してクラウドを取り入れる手助けになるとされている。

また、生成AIの活用も2026年問題に対処する一助となるだろうとされている。大規模なデータを取り扱うAIはクラウドとの相性が良い。近年のブームに乗じて自社データの収集や分析といった業務にAIを取り入れることは、業務におけるクラウド活用を促すと期待されている。

2026年問題に対処する際の落とし穴とは

目前に迫った2026年を見据え、日本企業にも本腰を入れてクラウド導入を検討してもらいたいが、重要なのは導入前に綿密な計画を立てることだ。例えば、マルチクラウドを導入したことによりどの業務をどのサービスが担っているのか、誰が担当なのか把握できていないという状況が発生することが考えられる。いわゆるシャドーITに陥り、社内統制できなくなるような状態は避けなければいけない。

そこで重要となるのが、確かな知見と提案力を持ったベンダーの存在である。トラブルの発生を未然に防ぎ、企業にとって最も効果的なクラウド活用が実現できるよう、最適な提案をもって貢献していきたい。