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仕事の副操縦士『Microsoft Copilot』を解説!

掲載日:2024/01/23

仕事の副操縦士『Microsoft Copilot』を解説!

Microsoft 365アプリケーションに対話型AIを埋め込んだ『Copilot for Microsoft 365』が2023年11月1日にリリースされた。ライセンスや価格の関係で導入できる企業はまだ一部だが、AIの新しい活用法であり、かつ実用的なソリューションとして注目を集めている。Copilot(副操縦士)は、我々の業務をどのように変えていくのだろうか。

『Copilot for Microsoft 365』の機能

Windows 11の2023年秋の大型アップデートでバージョンが23H2になり、チャット型AI・Copilotが有効になった。2023年12月現在、北米・アジア・南アフリカの一部が初期市場で、「PRE」と表示されたプレビュー版での使用が可能だ。

『Copilot for Microsoft 365(以下、『Copilot』)』はこれと異なり、『Microsoft 365』と組み合わせて利用するもの。必要なのは、規定のライセンス契約と『Copilot』の契約だ。『Copilot』にはGPT-4ベースのAIが搭載されており、大規模言語モデル(LLM)を使用してMicrosoft 365アプリを利用した業務をサポートしてくれる。

対応するアプリは以下のとおりだ。

どのように業務に役立てられる?

Word
「このデータを基にして企画提案書を作成してほしい」など、プロンプトと呼ばれる指示文を入力すれば、記事や報告書、議事録などの文面を自動作成できる。既存の文章の文体などの修正や要約も可能だ。

Excel
用いるべき関数が分からない場合でも、『Copilot』に指示すれば適切な関数を選んで計算を行い、ピボットテーブルやグラフをデータに合った形式で生成できる。重要な箇所のハイライトやデータの並び替えなども自動で実行してくれる。

PowerPoint
完成済みのWordファイルから、ニーズに合ったプレゼンテーションファイルを自動で作成できる。デザインのテンプレートがある場合はそれを保持してデータ作成可能で、作成したPowerPointファイルをセクションごとに整理、要約が可能である。

Outlook
作成したいビジネスメールの概要を指示すれば、適切な文章を作成する。メールテキストの要約や返信の内容提案も可能だ。

Microsoft Teams
会議参加者の発言をリアルタイムで文字起こしし、参加者の意見が一致しているところ、相違しているところなどのポイントをまとめることができる。また、会議に遅れてしまっても、それまでに話し合われた内容の要約文が表示される。さらに過去のチャット内容の要約も表示できるため、休暇などでしばらくチャットを確認できなかった場合にも、その間のハイライトを確認できる。

OneNote
記入したテキストやメモなどの要約が可能で、メモを基にTo Doリストも生成できる。技術仕様書や顧客からの要望などをOneNoteに記入し、プロジェクトの計画を自動作成するといった利用方法も考えられる。

気になるセキュリティ

生成AIや会話型AIで気になるのは、セキュリティやプライバシーの問題ではないだろうか。『Copilot』でつながるのは、LLMやMicrosoft 365の各アプリ、アクセス許可のあるメールやチャット、ドキュメントなどMicrosoft Graph内にあるコンテンツだ。

基礎的なLLMに、組織内の『Copilot』で用いられたプロンプトやデータが使用されることはない。外部で学習したデータが新たに『Copilot』に追加されることはあっても、各組織内で学習したデータが外部に流出することはないため、大抵の場合、社外秘の情報が外に漏れる心配は不要だろう。

導入に向けて確認しておきたいこと

『Copilot』の利用資格を得るためには、Microsoft 365 E3またはE5のライセンスが必要だ。そのため現状の対象はエンタープライズ企業で、中小企業や個人での購入は難しい。

2024年1月から、Microsoft 365 A3またはA5ライセンスを保持する教職員ユーザーも購入可能になった。また、18歳以上のすべての教職員と学生は2月初旬から利用できる予定だ。いずれも価格は月額30ドル、1テナントあたり最低300シートから購入可能である。

『Copilot』が日本の企業で広く利用されるまでには少し時間がかかりそうだが、教育機関での開放により、数年後には学生が『Copilot』を使いこなしているかもしれない。近い未来、ビジネスの進め方はAIによって大きく変化していく可能性がありそうだ。