業務改善

ICTの導入でニーズに合わせたオフィス環境の改善を

掲載日:2024/01/30

ICTの導入でニーズに合わせたオフィス環境の改善を

2023年5月、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した。これを機に多くの企業で出社を中心とした業務へ切り替える流れが進んだが、依然テレワークの継続を求める従業員も多い。このような状況の中で従業員にオフィス回帰を促すには、ICTの導入により生産性の向上が期待できるオフィス環境が不可欠である。

テレワークからオフィス出社回帰への流れ

株式会社ネクストレベルが2023年9月に発表した調査によると、2023年4月までのコロナ禍では調査対象のうち約10%が「フル出社」の勤務形態だったのに対し、同年5月以降は約40%までその割合が増加した。さらに同調査では、出社回数の多い勤務形態ほど従業員の満足度が下がるという傾向もまとめられている。ただし、テレワークに対しては「必要な設備や環境を個人で構築するのは負担が大きい」という声も挙がっており、出社回数を減らせば全員が満足できるというわけではない。

また、株式会社ワークが2022年に発表した調査によると、「オフィス環境の良さは何に影響を与えると感じていますか。」という質問に対し約60%が「仕事の生産性」と回答している。以上の2つの調査から、従業員がテレワークから出社勤務へ前向きに切り替えられるように、生産性を向上させる環境を企業が構築することが今後の働き方を考えるうえで重要になるだろう。むしろ、オフィス環境を整備できないと従業員の目には魅力的な企業に映らないとも言える。オフィス回帰を目指す企業ほど力を入れるべき課題だ。

ICTの導入で従業員にとって魅力的なオフィスを目指す

オフィスの設備や環境の整備の際におすすめしたいのがICTの積極的な活用である。特に全社的に活用できる規模のソリューションの導入は、従業員への有効なアピールとなるだろう。前述した調査結果のように、個人が自費でICTソリューションをそろえること、あるいはテレワーク場所のそれぞれに企業がICTソリューションを導入することはコストの面からも現実的ではないためだ。

実際にICTを導入する際は、単に機器やシステムを整備するだけではなく、中長期的な流れを想定することが重要である。まず、どのようなオフィス環境の向上を目指すのかという目的を明確化し、その目的に対して不足している要素を確認する。そのうえで要素を補強するチームを編成し、導入後の利用状況や効果を確認。そして今後の改善に向けてフィードバックする、あるいはよりICTを活用してもらうために社員への研修を実施するといったサイクルで取り組むことなどが重要だ。

ICT導入に活用できる各種補助制度を紹介

なお、ICT導入については、省庁を中心にさまざまな団体が補助金や助成金を設けている。例えば中小企業庁では「IT導入補助金」という、企業や個人事業者がITツールを導入する際の経費を国が一部補助する制度を実施している。具体的にはRPAツールによる業務の自動化やCRMツールによる顧客情報管理の見える化などの導入費用に対し、最大450万円を補助する。

また、厚生労働省は「働き方改革推進支援助成金」を実施している。生産性を高めながら労働時間の削減などに取り組む中小企業・小規模事業者などを支援するものだが、補助金の支給条件として「労務管理用ソフトウェアの導入・更新」や「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」などに取り組むことが定められている。ICTの導入によって項目をクリアし、なおかつ働き方改革を推進したいという企業にとってはうってつけの補助金と言えよう。

参考にしたいソリューションの紹介

では、オフィス環境の改善に取り組むために、具体的にどのようなICTソリューションを導入するべきなのだろうか。

導入しやすく汎用性の高い製品の一例として、電子ボードがある。これはタッチパネル機能を搭載した大型の多用途ディスプレイを総称したもので、手書き入力によるホワイトボード的な活用はもちろん、PCなどに接続することで画面を共有し、会議やプレゼンで資料を提示する役割も担う。ソリューションによってはPCから出力したデータへ手書き入力した内容を反映させて保存することも可能なため、参加者の反応をダイレクトに記録・共有できる点で利便性が高い。

また、来客を管理する無人受付システムも紹介したい。これは来客が通話できる受話器と情報を表示できるタッチパネル、オフィス内の従業員へ連絡をつなぐモデムといった機能がオールインワンパッケージになった製品である。これまで来客対応のためオフィス外に出向いていた手間を解消し、またその記録などを自動で保存してくれる点でメリットがある。

ICTソリューションを提案する際は、提案先の企業が直面している問題をよく理解することが重要だ。各種補助金があるとはいえ、多くの中小企業にとってICTソリューションの導入は金銭的負担になる。コストパフォーマンスに優れ、企業の成長に貢献可能な製品を提案できるよう、ベンダーとしてはヒアリングにも注力したい。