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データドリブン経営 成功のヒントとは

掲載日:2024/01/30

データドリブン経営 成功のヒントとは

データを活用して経営判断を行う「データドリブン経営」。競争力強化を図るため、この経営手法を検討する企業が増えてきている。ただ、効果的にデータを活用できていない事例があるのもまた事実だ。本記事では、データドリブン経営が機能しない原因を探り、成功させるためのヒントを紹介する。

進まない日本企業のデータドリブン経営

日本では、効果的なデータドリブン経営があまり実現していない。このことを間接的に示す調査がいくつかある。

アイティメディア株式会社が運営する企業向けIT総合サイト「キーマンズネット」は2022年12月に「データ利活用・BIツールに関する意識調査」を実施した。同調査では、データを活用する従業員に対して「現在の業務環境で必要なデータを必要なタイミングで不自由なく利用できているか」と質問。これに対して「利用できていない」と回答した人が過半数の53.5%に上ることが明らかになった。

参考:企業におけるデータ利活用の実態(2022年)/前編|キーマンズネット

また、株式会社セールスフォース・ジャパンが2023年3月に発表した調査「Untapped Data Research」によれば、日本のビジネスリーダーの84%は、経済状況に合わせた価格設定をするためにデータを利用していないことが判明した。加えて、新規市場参入時の戦略立案にデータを活用している日本企業は22%に留まることも明らかにされている。

これらの調査結果から、効果的なデータドリブン経営は日本企業の課題と言ってよいだろう。

参考:Salesforce、データ活用に関するレポートを発表日本のビジネスリーダーの84%は意思決定でのデータの重要性を認めているが、利活用は不十分|株式会社セールスフォース・ジャパン

データドリブン経営が機能しない理由

それでは、日本でデータドリブン経営が十分に機能しない理由を解説しよう。

データドリブン経営の導入が目的化している

中には、データドリブン経営の導入自体が目的になってしまっているケースも見受けられる。しかし、データドリブン経営は企業が経営目標を達成するための手段にすぎないのを忘れてはいけない。

例えば、日本郵政グループでは「JP ビジョン2025」にてデータドリブンによる郵便・物流事業の改革を掲げている。具体的には、データ活用によってオペレーションの効率化や郵便物の差し出しやすさ・受け取りやすさを追求すると明言。こうした姿勢から、日本郵政グループにとって、データドリブンはあくまで郵便・物流事業改革を実現するための手段であることがうかがえる。

データドリブン経営の導入を検討する場合、どのような経営目標を達成したいのかを明確にすることが大切だ。

従業員の意識変革や人材育成が後回しになっている

データドリブン経営という言葉だけが先行し、従業員の意識が追い付かない場合もある。現場の従業員の意識が低ければ、当然データドリブン経営を軌道に乗せることはできない。そのため、データドリブン経営で達成したいことなどの明確なビジョンを従業員に共有したうえで、必要な知識やスキルを習得する研修の実施などが必要だ。従業員がデータを積極的に活用しようと思える意識改革が重要なのである。

並行して、効果的にデータを利活用できる人材の育成も大切だ。例えば、大手家具メーカーでは全従業員を対象にレベル別の教育を行うことで、データ分析ができる人材の育成を進めている。意識改革や人材育成といった従業員に対するアプローチもまた、データドリブン経営を進めるうえで不可欠だ。

データがサイロ化している

サイロ化とは組織や業務システムなどが孤立していることで、部門間で情報の連携や共有がされていない状態を指す。データがサイロ化されていてはデータ連携が十分にできず、組織横断的なデータ活用に支障が生じる。結果として、データドリブン経営が機能しなくなってしまうのだ。

データのサイロ化を改善するためには、各部門でのデータの管理状況や連携状況を整理したうえで、データの統合やアクセス権限の設定などを行う必要がある。

成功のために重要なのは入手する情報

データドリブン経営を成功させるためには、従業員の意識改革やデータのサイロ化などへの対応が必要だ。特にデータのサイロ化は、ツールの導入によって改善・解決を図れるケースも少なくないだろう。

データドリブン経営を検討している企業へはツールの提案を含め、失敗のリスクを下げられるような情報を提供してみてはいかがだろうか。