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AI PC時代の幕開け Core Ultraが描くPCの未来とは

掲載日:2024/02/06

AI PC時代の幕開け Core Ultraが描くPCの未来とは

2023年12月14日(米国時間)、インテル社は新世代CPU「Core Ultra プロセッサー(以下、Core Ultra)」を発表した。AI専用プロセッサー「NPU (Neural Processing Units)」を搭載した同CPUの登場は、AI PC時代の幕開けを告げる象徴的な出来事になり得る。そこで今回は、Core Ultraの特徴やAI PCの未来について紹介する。

Core Ultraとは

Core Ultraは、2023年12月14日にインテル社が発表したノートPC向けの次世代CPUだ。同社の既存CPUとは異なる設計・新技術の活用により、半導体業界大手のインテル社が「過去 40 年間で最大のアーキテクチャー変革」と称するCPUである。なお、Core Ultraは高性能ノートPC向けの「Hシリーズ」および薄型ノートPC向けの「Uシリーズ」の2シリーズが展開予定だ。

Core Ultraの特徴は電力効率が良く、消費電力が少ない点にある。Core Ultraには性能重視の「Pコア」、電力効率に優れた「Eコア」に加え、メモリ制御などを担当するSoCタイル中にも「低電力Eコア(LP Eコア)」が搭載されている。従来では、作業内容に応じてパフォーマンス重視のPコアがマルチタスクの得意なEコアに作業を割り振る設計だった。しかしCore Ultraの場合は、最初に消費電力の低いLP Eコアが作業を行い、負荷の大きな処理についてはEコア、Pコアの順に割り振って対応する仕組みになっている。

このようにCore Ultraは必要最低限の電力で作業をこなし、消費電力が抑えられる設計だ。

Core UltraとAIの関係

Core Ultra はAI専用プロセッサー「NPU (Neural Processing Unit)※」を内蔵しており、クラウド側ではなく、より遅延の少ないローカル上でAI学習・推論計算が可能だ。つまり、Core Ultra搭載のPCではよりスピーディーなAI体験ができるということだ。具体的には、生成AIの処理パフォーマンスが1.7倍に上るといい、まさにCore Ultra はAI時代にふさわしいCPUと言えるだろう。

※「AI Accelerator」とも呼ばれる、AI専用のプロセッサー

AI PCの展望とビジネス活用

AI専用プロセッサーのNPU を実装するCore Ultraは、AI PCに欠かせないCPUである。そもそもAI PCとはインテル社が提唱する概念で、インターネットに接続していないローカル上でAI処理を実行できるPCを指す。

インテル社はAI PC登場のインパクトを以下のように表現する。

『AI PCの登場は、PC業界の転換期、つまりAIやMLのアルゴリズムによって機能拡張されたソフトウェアの利用拡大が進む時代の象徴でもあります。』
出典:インテル、業界初となるAI PCアクセラレーション・プログラムを始動|インテル

さらに、インテル社は2025年までに1億台のPCへのAI導入を目指す「AI PCアクセラレーション・プログラム」を始動させている。2024年はAI PCが大きく飛躍する年になるかもしれない。

AI PCを使用することで、スピーディーかつ低コストでAIサービスを活用できるようになる。さらに、インターネットに接続せずにAI処理ができるAI PCであれば、これまでセキュリティの観点から入力を避けていた機密情報をAI PC上で生成AIサービスに読み込ませることが可能になる。その結果、AIのビジネス活用の幅が大きく広がるだろう。

ベンダーとしては、顧客に対してはAI PCに関する情報提供のみならず、その有益性を紹介したうえで積極的に提案をしていきたい。